Dr.喜作のブログ

2013年8月 の記事一覧

  • 8月10日 お盆休みで道路が混みこみ

     今朝、とある用事で6時過ぎに車を運転しましたが 何時もなら8時を過ぎると混みこみになる道路がすでに渋滞していました。帰ってテレビを見ると 帰省ラッシュとかで高速道路が延々と渋滞のニュースを放送していました。お盆や年末年始、ゴールデンウィーク等すんごく渋滞することが分かっていながらその時間帯に高速道路へ向かう方の気持ちが私には理解しがたいです。何故強引にでも休みを取ってその時間帯を避けるとか 他の交通手段を選択しないのか不思議です。ひょっとしたら そのような渋滞に巻き込まれて苦労することも 帰省の欠くべからざる一つの要素になってしまっているのかもしれません。私は一生そんな解りきった渋滞に巻き込まれることのない人生を送りたいです。
     子供の頃 お盆休みと言っても うちのお墓は両親が福岡県出身なので 当然お墓は九州にあり たまたま帰省していた時しかお墓参りとかもしなかったので いわゆるご先祖様がお越しになってお帰りになる、という行事とはほとんど無縁のお盆休みでした。子供にすれば夏休みの一部分にすぎないし サラリーマンの父親が休日で家にいるのが非日常なくらいでした。お盆休みはどこに行っても込み合うし、宿泊しても料金は高いしサービスは悪いので 殆ど出かけた記憶がありません。
     数年前に母親が他界して 近所にお墓が出来たので ここ数年はお墓参りの真似事をしていますが 病院がある意味稼ぎ時なので 相当に忙しくて 正直な所あまり実感を伴いません。病院は有難いことにペットホテルで犬猫があふれていますので 勿論その世話は結構大変ですが 病院としては不労所得のようなものがたっぷり入り助かります。お盆休みを取られる病院も多いのでその分患者さんも増えて 夏の臨時ボーナスがもらえるようで 暑い最中ですが 元気いっぱい働きます。
     自分ではお盆が近づいた実感はありませんが スーパーに行けばお盆向けのお供え品などがズラッと並んでいます。きれいな落雁を見て 子供の頃の懐かしい思い出が蘇えりました。母親の実家が大きな菓子屋で店の裏の工場で 落雁づくりを見学させてもらい ほんの少しだけれど 手伝わせてもらったことです。木製の鯛や果物の形にくりぬかれた枠にまず緑やピンクの色のついた粉をさっと一振りします。次に白い粉を枠いっぱいに詰め込みます。へらで余分な粉を落として 枠をひっくり返してそのふちをコンコンとたたくと色鮮やかなきれいな形の落雁がまるで魔法のように出来上がります。見ていると子供の私にもできそうなくらい簡単そうだったので ためしに手伝わせてもらいました。 当たり前なのでしょうが プロの職人さんだから 難なく出来上がっているわけで 子供の私が見よう見まねでやっても 上手く出来るわけがありません。最後の木枠をコンコン叩いて中身を抜く作業だけ 手伝わせてもらいました。ちなみに、落雁は粉砂糖を固めたものですから 齧ってもただ甘いだけで 子供の頃から美味しいと感じたことがありませんでした。甘いものが貴重だった時代なら 喜んで食べる人もいたかもしれませんが 甘いモノがあふれている現在 落雁を食べる人がいらっしゃるのか少し疑問です。殆ど食べずに捨てられるのだとしたら もったいない話だと思います。
     また今年もお盆が何となく過ぎてしまいますが いわゆる年中行事をきちんと経験しないのも 一年が過ぎるのを早く感じる原因かもしれません。五月の誕生日も奥様からプレゼントをもらって思い出すぐらいだし、クリスマスも奥様へのプレゼントとケーキの準備を忘れるとえらいことになるので その二点だけ気を付けるぐらいです。せめて月に一回ぐらいはその時期、季節を感じる行事を 例えばお花見とかお月見とか紅葉狩りとか餅つきとかを企画して 大いに楽しむことによって 何となく過ぎてしまう年月からの脱却を図りたいと思います。
     

  • 8月9日 20年前に細川内閣が発足しました

     「今日は何の日カレンダー」を見るとちょうど20年前の今日 日本新党の細川護煕さんによる内閣が発足しました。それまで自民党の内閣しか知らなかった私にはとても新鮮で大きな期待を持って成り行きを見守りました。長年の自民党一党支配の汚れや歪みをすべて取り除いてくれるのではないかと 国民の支持率も70%を超えていたと思います。当初はいろんな方面の改革に積極的に取り組もうとしていたようですが 実際にハンドルを握ってみるとなかなか思う方向に進めなくて 悩んでもがき苦しんでのた打ち回った結果として 選挙や政治資金についてのいくつかの法律が成立したけれど 国民の大きな期待に応えたとは言い難い印象でした。結局はそれまでの野党の寄せ集め内閣で内部から崩壊したような形で一年ももたずに 首相としての責任を放棄するような形で コソコソと逃げるように退陣した印象でした。
     短命内閣がコソコソ逃げ出すように政権を放棄して 新しい首相が誕生する風潮の先駆けだったと言えるのかもしれません。その後新進党等という寄せ集めの党が出来たりしましたが 当たり前でしょうが長続きするはずもなくていつの間にか再び 自民党に政権が戻ってしまって ダラダラ政権交代を繰り返しているうちに 国民が嫌気がさして 脱自民党の受け皿として民主党が躍進しました。その民主党が案の定国民の期待に応えられずに再び自民党の政権に逆戻りしたのが現在です。
     よく歴史は繰り返す、と言いますが女性のファッションでも10年、20年周期でスカートが長くなったり、短くなったりを繰り返していますし、自家用車のスタイルもやたらと角ばったかと思うと しばらくしたらどの車もまん丸くなったりして周期的に人気のあるスタイルを繰り返しているようです。
     女性のファッションや車のスタイルはどうなろうと構いませんが、国民の生活に大きな影響力を持つ政権は 自分たちの利権を重視する人たちではなくて 国民の幸せを優先して考える人たちに担ってもらいたいです。

  • 8月8日 高校野球が始まりました

     凄く暑い時期から 高校野球が始まりました。正直言って今はあまり興味がわきません。今年はプロ野球もドラゴンズのあまりに情けない戦いぶりに興味が薄れていますが 高校野球には殆ど関心がありません。小学生の頃から夏休みにはテレビの前にはりついて聞いたこともないような高校を 結構一生懸命に応援していたのに 何故関心がなくなったのでしょう。甲子園のチケットを手に入れた時には弁当と水筒を持って朝から夕方まで必死で観戦していました。今ではどんなに特等席のチケットが手に入ってもせいぜい一試合しか観戦できそうにありません。
     一つ目の大学時代は各地の予選大会の戦いぶりから資料を集めて 戦力分析をして 優勝候補を予想して楽しんでいました。サラリーマン時代には各校の戦力分析能力を認められて会社でやるトトカルチョのグループ分けなどを担当していました。その頃が少額とはいえお金がかかっていましたから一番応援に力が入ったかもしれません。
     まあ人の趣味や関心事は時代とともに変化するわけだから 当然かもしれませんが音楽の趣味も年々変化しています。私が初めて買ったレコードは中学生の頃でビートルズの「ヘルプ」でした。大体うちは電化製品の購入が他の家よりも遅くてそれまではラジカセは持っていましたがステレオが無かったのでレコードが買えなかったのです。当時はすでにビートルズは解散していて 各メンバーがソロ活動をしている時期でしたが せっせとビートルズの過去のレコードを買い揃えていきました。当時LP盤の価格が2000円でその頃の一月にもらう小遣いが2000円でしたから一枚買うと一文無しになってしまいますが 一生懸命に辛抱して せっせとビートルズのレコードを買っては それこそ擦り切れるぐらいに繰り返し聴いていました。モンキーズやカーペンターズ、ローリングストーンズを経て大学時代になると クラシックを聴くようになりました。自分が小さい時から10年以上ピアノを習っていたことも影響したのか 最初の頃はピアノ協奏曲ばかり聞いていました。やがて交響曲もきくようになり 最初はチャイコフスキーやブラームスから入りましたが 音楽にすごく詳しい友人の影響で ブルックナーにハマってしまいました。
     現在では 殆どCDを聴く機会はありません。音楽と言えば 暇があればもっぱら奥様とカラオケに出かけています。私はAKBや乃木坂も勿論歌いますが、沢田研二やさだまさしの古い歌をよく歌います。奥様はいきものがかりや西野カナも歌いますが百恵ちゃんの時代のアイドル曲がお得意です。トーナメント形式の採点法にハマっていて その採点法のできる部屋を回っては過去の履歴の最高点を更新するのが 最大の楽しみになっています。ただ奥様と二人きりで歌っていますから どうしてもマンネリ化しますので 誰かほかの人にも参加してほしいです。カラオケ代はすべて私が持ちますので どうぞ声をかけてください。心よりお待ちしております。

  • 8月7日 往診車のラジエーターが壊れました

     昨日、トリミングの送迎をしているうちに クーラーが効かなくなり 何か焦げ臭いにおいがしていきました。温度計を見ると普段はCとHの中間にある針がHを指していてオーバーヒートしているようでした。慌てて 行きつけのガソリンスタンドで診てもらうと ラジエーターから液が漏れて オーバーヒートしているのでラジエーターの修理若しくは交換が必要とのことでした。私は往診車は最初から中古車を乗り継いできたので 現在の往診車が何代目になるのか覚えていません。中古車ですからとても状態の良い車に当たったり,悪い車にあたったこともありました。今回の車はそれまでがずっとミニカトッポだったのがさすがに生産中止になってから年数がたちすぎて中古車が見つからず 仕方なしにワゴンRに車種変更しました。荷台に大きめのかごを積む関係からトッポかワゴンRでないと不便だと思っていたからです。ボディのサイズがほんの少しずつ大きくなったので 感覚がなれるまでに結構ボディを擦って傷つけてしまいました。縁起が悪いので さっさと次の車に乗り換えようかなとも思いましたが ラジエーターの修理代が数万円で済みそうなので 修理して我慢して乗り続けようと思います。
     修理に出している間 代車を貸してもらうのだけれど 普通のハッチバックの軽でも大きめのかごが二つ乗せられるのが分かったのが 今回の故障事件での収穫でした。ワゴンRは人気があって中古車でも結構高いけれど ほかの車種ならもっと安い価格で かなりグレードの高い車に乗り換えることが出来そうだからです。病院の仕事をあと何年続けるのか現在の段階では見当がつきませんが 続ける限りは軽の往診車を乗り継ぎますから 次はどんな車に乗り換えるか今から楽しみにしています。
     病院を始めた時に 初めて軽の車に乗ったのだけれど 小さくてコンパクトでとても小回りが利いて便利な反面 パワーが足りなくて 加速時に物足りなさを感じていました。今ではパワーの無いのに慣れてしまいそれほど不満にも思わなくなりました。病院を止めたらすぐに ベンツに乗り換えるつもりですが ワゴンRに乗り換えただけであっちやこっちを擦りまくっただけに、けた外れに大きな車に乗り換えた時にどんだけ擦りまくるのか若干心配です。

  • 8月6日 二重被爆について

     本日は広島に原子爆弾が投下された日です。それほど原爆に興味があるわけではないし、世界で唯一の被爆国である、という事も身内にその被害で苦しんでいる方でもいなければ それほど実感がわきません。以前ならこの日の前後には原爆をテーマとした討論会やドラマ、映画などが放送されたりして いやでも原爆について某かの思いを胸に抱いたものです。所が 今日のテレビの番組表をみても 原爆についてニュース番組などでは冒頭にそれなりに触れられるのかもしれませんが 仰々しく取り上げている放送局は見当たりません。徐々にではあるけれど原爆を投下されて被害を受けたという歴史が風化していっているのかもしれません。日本には軍隊が存在しないし、当然徴兵制度もないので どんどん戦争が遠い存在になっていくのは必然的なことかもしれません。
     所で、私が「二重被爆」という言葉を知ったのは ほんの数年前の事です。たまたま聴いていたラジオでこの言葉をテーマにした番組を耳にしました。この言葉の意味は まず広島で被爆された方が三日後に長崎へ移動してまた被爆された かなり特殊なケースです。正式な調査は実施されていないので正確な人数は明らかになっていないけれど 百数十名いらっしゃるそうです。たまたま広島へ仕事や里帰りで出かけてこられて運悪く被爆して、命からがら本来の住処である長崎にもどられて また被爆された方々が多いと言われています。
     原子爆弾による被害が普通の空襲による被害とどのように異なるのか見当もつきませんし ドラマや映画の映像でしか想像できませんが この世のものとも思えない地獄のような状況を経験された方が やっとそこから脱出したと思ったら 再び地獄のような状況に追い込まれたのだから 肉体的にも精神的にも極限状態に追い込まれて なんとか切り抜けられた方々だと思います。現在もお元気に暮らされている方がいらっしゃるそうです。お元気でいらっしゃるという事と被爆による苦痛などの被害との戦いは別の次元の話だと思います。ですから、その方々のお気持ちを考えたら 世界で唯一の被爆国である日本の国民としては 被爆体験を決して風化させてはならないと思います。
     話は変わりますが、神戸で震災が起こってかなりの年月が経ちます。東北の震災が起こってからもそこそこの日にちが過ぎました。地震大国日本としては 何時また何処で同じような被害を受けるのか分からないのに 震災に対する準備や備える気持ちは 震災直後に比べてどんどんゆるんできているのではないでしょうか。備蓄食料には一般の食品に比べれば長いけれど賞味期限があります。懐中電灯や携帯ラジオにセットされている電池はどんどん消耗していきますからいざという時に役に立ってくれないかもしれません。震災備蓄袋の中身も少なくとも一年に一回は点検が必要なのです。 東北の津波に対する避難所では食料や水を十分量備蓄していたにもかかわらず 現実の津波を想定して準備していなかったものだからそれらの備蓄品はすべて一階に保管されていたためすべて津波にさらわれてむだになったそうです。準備はしているつもりでも現実に被災した時にきちんと役立つ備えをするには それなりに頭を使い手間暇を惜しんではいられないのだと思います。
     私も含めて一般庶民は日常の生活を乗り切るのに一生懸命で 過去の戦争体験や被爆経験 震災による被害について時間の経過とともに忘れていくのは仕方のないことかもしれませんが 安倍政権は自衛隊を軍隊にかえようとしているし、地震はいろいろな予測が尤もらしい顔で発表されていますが少なくとも私は全くあてにならないと思っていますから その恐ろしさを忘れずに十分な準備を心がけるようにしたいと思います。

  • 8月5日 パンケーキとホットケーキ

     今朝見たテレビで  この頃パンケーキが大人気で 行列ができるお店が一杯あるそうです。私が子供の頃には パンケーキという言葉はほとんど聞いたことがありませんでした。私たちの年代に馴染みがあるのはホットケーキではないでしょうか?喫茶店のメニューで ふっくらと焼き上げたホットケーキが何枚も重ねてられて バターや蜂蜜若しくはメープルシロップをたっぷりとかけてナイフとホークで頂くものでした。豪華版になると生クリームやあんこがどっさりとトッピングされていました。別に私の家はそんなに貧しくもないと思いますが 喫茶店では結構なお値段だったので 遠慮してホットケーキを注文したことがありませんでした。私にとってのホットケーキはホットケーキの素を使って母親が自分の家のフライパンで焼いてくれて 家にあるマーガリンやジャムを塗っていただくものでした。焼きたてのアツアツを頬張れば それなりにとても美味しいおやつでした。

     最近は疑問に思ったことをインターネットで検索すれば簡単に答えてもらえて 便利な世の中です。「ホットケーキとパンケーキ」と検索すれば両者の定義や違いをその成分やレシピ、歴史的流れなどから 事細かく説明してくれています。得られた知識を私なりに整理すると、パンケーキのパンとはフライパンの事でフライパンで焼くケーキをパンケーキというのだそうです。ですから、ホットケーキもパンケーキに含まれると考えていいみたいです。尚、ホットケーキとは日本語らしくてパンケーキなら世界的に通じるけれどもホットケーキでは日本以外では通じない言葉だそうです。

     成分的には砂糖を使用していてふっくらと甘めに焼き上げるので おやつに向いているのがホットケーキだそうです。パンケーキの場合 砂糖は使用せず水あめでわずかに甘さを加えてありホットケーキに比べて薄めにさくっと焼いてどちらかと言えば食事に向いているものなのだそうです。まあ、行列ができているパンケーキのお店は殆どがクリームやフルーツで豪華にトッピングしたスイーツみたいで 実際の用途はホットケーキに類似していると思います。

     久しぶりにホットケーキについて考えたので食べたくなってしまいました。早速ホットケーキの素を買ってきて牛乳と卵を加えてで焼いて食べてみようと思います。

  • 8月4日 安楽死について考えた

     本日、突然電話で安楽死を希望されて 戸惑いました。8歳の柴犬で お腹に大きな腫瘍が出来ていて、かなりの苦痛を訴えているが かかりつけの病院で「もう手の施しようがない」と言われたそうです。当院ではこの十数年で 数件安楽死を実施しました。勿論 うちにかかりつけの患者さんで 運悪く悪性の腫瘍が出来てしまい その成長を抑える治療や手術を精一杯実施しましたが 進行をどうしても食い止められず 症状として大きな苦痛が発生してしまった段階を迎えた患者さんでした。痛みをを和らげてあげる治療はできないこともありませんが 所詮対症療法で 根本的な解決にはつながりません。本人の肉体的苦痛と見守る飼い主さんの精神的苦痛を取り除いてあげるための 最終選択として安楽死という方法もあるわけです。

     当院で実施する安楽死は 薬剤を静脈注射したら ほんの数分で神経や呼吸中枢が麻痺して眠るように死に至ります。病気やけがで苦しむ動物を助けるために、獣医師になったわけですから、その目的と真逆の行為を実施するのは、正直なところ やりたくないし凄く疲れます。でも、患者さんと飼い主さんのために必要と判断した時には やらざるをえません。

     本日電話をもらった飼い主さんと話したところ かかりつけの病院では安楽死を実施していないので断られたそうです。当院としては まずじっくりと診察して必要と思われる検査を実施したうえで なんとか治療の可能性を探り それでも安楽死という選択肢しか残されていないという判断がくだれば 安楽死を引き受ける可能性があることを説明しました。所が 飼い主さんからはこれまでに相当の治療費や検査代を支払ったので 直ぐに安楽死を実施してほしいとのご希望でした。これまでにもほかの病院で見放された患者さんがそれなりのリスクを覚悟の上で手術にチャレンジして結果的に成功して その後数年元気に生きた例があることを説明しましたが ご理解いただけなかったので 安楽死はお断りしました。

     安楽死は割と安価な薬剤を静注するだけですみますし それ相当の料金を頂きますから 病院の利益だけを考えるなら 実施するべきだったかもしれませんが やはり飼い主さんと十分な信頼関係が出来ていないのに そのような処置は絶対にできません。もし本当にペットの事を大切に考えている飼い主さんなら 生き延びるほんのわずかな可能性でもあるのなら そこにかけるのは当然だと思います。勿論、そこに発生する費用も重要な問題ですが もし自分の事と置き換えて考えるなら そんな事は二の次でしょう。当院では分割払いもできるし 催促なしのある時払いでも結構だからです。

     以前に獣医師の知人がら聞いた話ですが ある飼い主が健康な10歳の柴犬を連れてきて 子供の情操教育のために犬を飼っていたが その子が中学を卒業するので 情操教育も終了するので その犬を安楽死してほしい と言われたそうです。その知人は 一瞬唖然としてしまい その後怒りが込み上げてきて 「まず その様な事を考えるあなた達が 情操を身に着ける必要があるし、その子供も何の疑問も持たずに安楽死を了解するようなら 全く情操教育の効果が無かったみたいだから もう一度一から情操を身につけるべく頑張られたらどうですか?」と言ってお帰り願ったそうです。知人は割と冷静な人物なので 落ち着いた対応ができたみたいですが 私なら頭に血が上って 大きな声で相手を罵倒していたと思います。犬には飼い主を選べないので その柴犬にその後幸せが訪れたことを祈るだけです

     動物の大好きな人間から見たら 縁があって一緒に暮らし始めた動物は家族と同じだから 病気やけがをすれば病院で最善の治療を望むのが当たり前じゃないかと思ってしまいますがペットの飼い主が動物が大好きとは限らないのが 現実です。以前にハムスターを診察して薬を処方して約3000円請求したところ 飼い主から「なんで500円で購入した動物に3000円も払わなければならないのか?だったら、別のハムスターを買いなおすわ。」と言われて悲しくなったことがあります。その方にすれば 子供が欲しがったから玩具代わりに買い与えただけで 壊れて修理代の方が高ければ新品を買いなおす感覚なのかもしれません。ハムスターは小っちゃな動物だけれども 人間と同様に 長生きしたい気持ちもあれば 生きる権利もあって生まれて来ていると思います。だから 安価でちっぽけな存在かもしれませんが最後まで責任を持って面倒を見れる人だけが飼ってほしいと真剣に思いました。

     

  • 8月2日 カラスが保護されました

     お昼すぎに、電話があって「けがをしたカラスを保護したので 面倒を見てほしい」ということでした。運び込まれたカラスは外傷は殆ど無いけれど右の翼が力強く羽ばたけないのでレントゲンを撮ると 翼の骨にひびが入っていました。テーピングで固定して骨がくっつくのを気長に待つしかなさそうです。以前にもカラスが体幹に大きな裂傷を負って運び込まれたことがありました。傷口を丁寧に縫合して10日後にはきれいにくっついたので抜糸して保護した人にお返ししました。今回も数週間にわたって入院することになるのかと思っていたら、保護した人が2メートル四方位の鳥小屋を持っているのでそこで面倒を見て頂けることになりました。テーピングの具合を確認するため、一晩は入院させるて明日迎えに来ていただくことになりました。夏休みでホテルで預かる子が増える時期なので長期入院にならずに助かりました。

     カラスというと 真っ黒で何か不吉なことを連想される方も多いのかもしれませんが 以前に裂傷のカラスを預かった時には 凄く賢くて直ぐに病院のスタッフに懐きました。性格は結構愛嬌があって可愛いし、まじりっけの無い真っ黒な羽はとてもきれいでした。退院する時はこちらが少し寂しい気持ちになったくらいでした。懐いてくれたといえばもう何年前になるか覚えていないくらい前に 交通事故にあった狸が治療のため数週間入院しましたが この子も凄く愛嬌があって あまりに可愛らしいので元気になっても病院のペットとして飼おうかと思うぐらいでした。

     野生の動物は原則として無料で面倒を見ているので 頑張って仕事しても一銭にもならないけれど やっぱり元気になって自然に帰っていける日が来ると 何とも言えない満足感があります。なお、野良猫の避妊や去勢の手術は保護された方と病院で 料金を折半にする つまり半額負担していただく形を取っています。ほったらかしにするとどんどん繁殖して増えつづけますから歯止めをかけるために避妊、去勢の手術を受けさせてあげてください。

  • 8月1日 23歳の柴犬が来院しました

     本日の昼前に 実に23歳という超御高齢の柴犬が来院しました。3日前から下痢が続いているという事で検便してみましたが寄生虫はいないことが分かりました。ここ数日の暑さと湿度で体調を崩したのだと思います。私が診察した犬としては25歳のマルチーズが 最高齢です。そのマルチーズはいかにも御爺ちゃんで 目が全く見えず 耳も殆ど聞こえません。足取りもフラフラで今にも死にそうな様子でした。所が本日来院した柴犬は目も見えるし 耳もそこそこ聞こえるし 白髪も殆どありません。足腰もしっかりしていて 見た目ではそれほどの高齢犬には全然見えません。心音も正常に近く 殆ど心雑音もありませんでした。念のため血液検査を実施しましたが 腎機能が少し低下しているぐらいであとの十数項目は正常値でした。

     食欲も普通にあるみたいなので いわゆる整腸剤と腸の粘膜を保護する薬とを内服で処方して様子をみることにしました。この猛暑に 庭に繋がれていて 家の中に入れるのは 飼い主さんが無理みたいなので 涼を感じられるもの 例えば保冷剤やペットボトルに水を入れて冷凍庫で凍らせたものを そばに置いてあげてせめて扇風機の風ぐらいはあててあげるようにお願いしました。室外で飼育される犬は室内で飼育される犬よりも生活環境が過酷なので平均で二年ぐらい寿命が短いそうですが、この子はよほど頑強な体を持って生まれてきたのでしょう。飼い主さんが大切に飼ってあげれば あと数年は長生きできそうに思います。

     人生にはいろいろな幸せがあると思います。やりがいのある仕事を成し遂げるのも立派な人生でしょうし、宝くじにでも当たって大金を手にして 一生のんびりと過ごすのも悪くないのかもしれません。でも、私ぐらいの年齢になると 健康で長生きした者が一番幸せなのではないかと思ってしまいます。この柴犬は家にはあげてもらえませんが長年きちんと面倒を見てもらい健康でとても長生きしているのだから 凄く幸せ者じゃないかと思ってしまいます。

     私は普通に大学を卒業して 普通に就職しました。誰もが名前を知っている一流の製薬会社でした。給料や待遇には満足していましたし、仕事にやりがいや楽しさは感じられませんでしたが 仕事は金を稼ぐためのものだから楽しくないのは当然だと思ってました。ある人に巡り合って人生の目標を簡単に諦めてはいけないことを教わり、長年の夢である獣医師になるために大学を再受験することを決意しました。そしてなんとか合格して かなり苦労して卒業し国家試験にパスして目標である獣医師になりました。運よく自分の病院を持ててなんとかつぶれずに経営できています。仕事にはそれなりにやりがいを感じられて幸せだと思います。

     私は病院を初めて普通に結婚しましたが、上手くいきませんでした。その後今の奥様と巡り合えて 今後も苦労は絶えないだろうけれど死ぬまで一緒にいてほしい女性に出会えて本当に幸せだと思っています。やりがいの感じられる仕事と一生ともに過ごしたい女性に巡り合えて 他人から見ればほんの些細な幸せかもしれませんが 私にとっては有難すぎる人生だと思って感謝しています。せっかく手に入れたやりがいの感じられる仕事と大切な女性を決して手放さない様に これからも頑張っていこうと思います。