1月25日 1900年の本日 石坂洋二郎さんが誕生しました

もう三十年以上も前に永眠された作家さんですから ご存知の方も徐々に少なくなってきているのかもしれません。私は高校生の頃に一番たくさんの小説を読んだ作家さんかもしれません。その後栗本薫さん 五木寛之さんの作品の方が沢山読んだのかもしれませんが 高校生の頃いわゆる青春時代に読んだ小説は 石坂先生の作品が中心でした。愛書に石坂さんの作品と出会ったのは 丁度その頃にテレビドラマ化されていた「光る海」でした。中高生の頃には ラジオ中心の生活をしていましたから テレビドラマなど殆ど見ていませんでしたが たまたま第一回目の放送を見てしまって はまってしまいました。出演していた役者さんも沖雅也さんや島田陽子さん中野良子さんなどかなり豪華な顔ぶれで とても魅力的な演技が展開されて 最終回まで毎週楽しみに見ていました。
テレビドラマを見終わったころに たまたま学校帰りに立ち寄った本屋さんで文庫本の「光る海」を見つけました。文庫本としてはかなり分厚くて その分価格もかなりしましたが 凄く面白かったテレビドラマの原作ですから 是非読んでみたくなり 直ぐに購入しました。家につくまで待ちきれずに 電車の中で読み始めてしまいましたが ドラマを見ていたので ある程度ストーリー展開が分っていたのもあり 確か600ページ位あったと思いましたが その日の夜中には最後のページまで目を通しました。原作よりも先に映像化されたテレビドラマを見てしまうと どうしても登場人物の姿が ドラマに出演していた役者さんの顔かたちでしか想像できなくなってしまいますから その事が少し残念に感じました。
私はそれまで あまり小説を夢中になって読んだ経験がありませんでしたが このことを切っ掛けにして 石坂先生の小説に完全にはまってしまいました。それからは当時部活動をしていませんでしたので 毎週土曜日のお昼 学校帰りに四条畷駅のすぐ前にあった本屋さんに立ち寄って 石坂先生の小説の文庫本を それこそ手当たり次第に購入して その日の夜中までかかりましたが 読破するようになってしまいました。石坂さんの小説は 「光る海」は 大学の卒業式から始まり新社会人が主要な登場人物でしたが その他の作品は高校生が主役の小説が多かったので 丁度自分の年代と重なっていましたから 本当に夢中になってしまいました。
石坂先生の作品は そのころまでにかなりの数がテレビでドラマ化されたり 映画化されたりしていました。先に原作の小説を読んでから 映像化された作品をみると 演じている役者さんの容姿や声が 自分の想像していたのと異なりますから 最初は若干違和感を感じることもありますが すぐに馴染んでくる場合が多かったです。どうしても馴染めないような作品の場合は そのキャスティングをした監督かプロデューサーに抗議したい気持ちになったこともありました。
高校生の頃は 特に部活動をしていなかったので 自由になる時間がたっぷりとありましたから 一二年生の頃に 石坂先生の作品は 殆ど読破したと思います。好きな作品は勿論沢山ありますが 一番好きなのは のめり込むきっかけを作ってくれたからかもしれませんが やっぱり「光る海」のような気がします。その他で特に気に入った作品をあげると「暁の合唱」「山の彼方に」「あじさいの詩」「丘は花ざかり」「あいつと私」「陽のあたる坂道」「河のほとりで」「だれの椅子?」などです。「若い人」や「青い山脈」「石中先生行状記」といった有名な作品は 読んでいてもあまり楽しくなかったので それほど魅力は感じませんでした。
石坂作品は テレビドラマ化されたものも多いですが 映画の全盛期にはかなりの数が映画化されていたようです。現在なら ツタヤなどでレンタルするなり インターネットで検索すれば 簡単に見ることが出来るのかもしれませんが 当時は勿論ビデオすら家庭で再生してみることが出来ない時代でしたから 極たまにテレビで放送されるのを 凄く楽しみにしていました。まあキャスティングに納得がいかなくて がっかりすることも時々ありましたが とにかくテレビで見られることが嬉しかったです。
私が高校生だった頃は もう四十年以上も前の話ですし 石坂先生の作品に登場する高校生たちは 勿論私の時代よりもさらにさかのぼった時代の高校生でした。現在の高校生は スマホが無ければ生きていけないようですし 私たち年寄りには理解できないような言葉を使うように 変貌してしまっていますから 全く異なる生き方をする存在かもしれませんが 時代の流れですから致し方のない事かもしれません。でも乃木坂や欅坂の高校生メンバーをみても そんなに縁遠い存在には感じないのは 彼女たちが普通の女子高生とはかけ離れた存在だからなのでしょうか。
久し振りに石坂先生の小説を読みたくなりましたので 時間を作って昔の本を引っ張り出して 読み返してみようかと思います。今年でとうとう還暦を迎えてしまい 正真正銘のお年寄りになってしまう私ですが 高校生の頃の 純粋でみずみずしかったであろうと思いたい感性が少しでも蘇ってくれたら嬉しいです。

ブログ一覧