10月15日 1953年の本日 チャーチルはノーベル文学賞を受賞しました

ウィンストンチャーチル というイギリスで長年にわたって首相を務めた政治家の事を 今のお若い方はご存知ないのかもしれません。何しろノーベル賞を受賞したのが 私の生まれる三年前の出来事ですから ご存知なくてもしょうがないのかもしれませんし 世界史の教科書でチャーチルの名前は第二次世界大戦について記したページや ポツダム宣言について説明した文章位にしか登場しませんから あまり印象的ではなくても 致し方の無い事だと思います。
何年も前に日本で長年首相を務めた佐藤栄作さんが ノーベル平和賞 を受賞しました。その時には 佐藤さんがそれほど外交的な事で 輝かしい実績を作っていたようには思いません。その次の田中角栄さんの方が日中国交正常化などを成し遂げましたから 平和に貢献したように思っていました。佐藤さんが平和賞を受賞した理由は 非核三原則(核兵器を持たない、作らない、持ち込ませない)や 専守防衛論を繰り返し訴えた事や 憲法九条にある戦争放棄を強調した発言を続けたことに対して 世界の平和に貢献したと認められたのだそうです。
ですから私はチャーチルさんがノーベル賞を受賞したのは知っていましたが 政治家としての認識しかありませんでしたので 佐藤さんと同様に平和賞を受賞したのだと勘違いしていました。文学賞と言っても 過去の受賞者には哲学者で文章としての作品は殆どないけれども その発言の重みから 受賞された方もいらっしゃったみたいです。チャーチルが文学賞を受賞した作品としては「第二次世界大戦回顧録」が挙げられるのかもしれませんが チャーチルの名言集を検索してみると 膨大な量の発言が見つかりますから哲学者と同様にその名言も文学賞の対象になっていたのかもしれません。
「第二次世界大戦回顧録」という作品は かなり分厚い書物で全六巻にも及ぶのだそうですから チャーチルの作品として完成され出版された数は少ないのかもしれませんが 決してうすっぺんらな作品ではなくて立派な文学大作と言えるように思います。調べてみると チャーチルは政治家として卓越手腕を発揮しましたが 文才も秀逸なものですけれど 実は美術の方面にもたぐいまれな才能に恵まれていたのだそうです。ですから 現代のレオナルドダビンチ並みに多方面にわたって才能に恵まれた人物だったみたいです。
ただ第二次世界大戦で ナチスドイツ軍の圧倒的な軍事力は あっと言う間にヨーロッパを席巻してしまい 隣のフランスは連合軍からかなりの援軍を受けていたにもかかわらず あっと言う間に全滅してしまいました。イギリスは島国ですから 海と言う防波堤に守られていたおかげもあり 辛うじて持ちこたえていた状況でした。ただ彼我の軍事力を比較すると イギリス軍の陸海空軍の戦力は ドイツの十分の一にも満たない寂しいものだったようです。そんな圧倒的に不利な戦況で 国民の士気を高めるとともに アメリカからの援軍を上手に掻き集めた その優れた政治力が無ければ ひょっとしたら第二次世界大戦はドイツの勝利に終わっていたのかもしれません。
あまりに卓越した政治力の為に 政治家としての評価しかされていない傾向があるのかもしれませんが 文学面での才能や美術の方面での才能も もっと評価されるべき人物なのかもしれません。チャーチルの文才を 正当に評価したノーベル賞の選定委員たちは 既成概念にとらわれず いい仕事をしたものだと 今更ながら感心してしまいます。「第二次世界大戦回顧録」は当然ヨーロッパ戦線の事ばかりが表現されているのでしょうから 読んでみようという気にはなりませんが チャーチルという偉大な政治家の意外な一面を知れていい一日でした。

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