10月7日 1986年の本日 石坂洋二郎さんがお亡くなりになられました 

今のお若い方には そのお名前を耳にしても あまりピンと来られる方は殆どいらっしゃらないだろうと思いますが 私が 高校時代に一番はまった小説の作家さんといえると思います。一番最初に 石坂さんの作品と接したのは テレビドラマ化された「光る海」という作品です。沖雅也さんや 島田陽子さん 中野良子さんなど 当時とても人気と実力を兼ね備えた俳優さん 女優さんが登場されていましたので 原作は全然知りませんでしたが 放送されていたテレビドラマを毎週すごく楽しみにしておりました。
私が高校生の時だったと思いますが 本屋さんでたまたまドラマの原作の小説の文庫本を見つけましたので 購入して読んでみました。家に帰って読み始めてみると そのあまりの面白さに600ページほどもあるかなり分厚い文庫本でしたが 土曜日の昼過ぎに読み始めて 日曜日の朝方までに読み切ってしまいました。石坂さんの小説を 初めて読んでみましたが すごく感動してしまいました。高校時代 最初にはまったのは 友人に勧められて読み始めた 五木寛之さんでその作品ばかり読み漁っていましたが この時を境にして 石坂さんの小説を片っ端から読み進めていきました。
石坂さんの代表作である「若い人」は 結構人間の気持ちの暗い部分に焦点を合わせているように感じて あまり好きにはなりませんでした。映画では 吉永小百合さんが出演していましたが 私の小説を読んでイメージしていた女性とはかけ離れていて 映画を見てもやはり面白いとは 思えませんでした。石坂さんの作品は 結構明るくて楽しい描写がふんだんに盛り込まれていますが 必ず人間の奥深いところにあるドロドロとした部分を描かれています。私がそれまで読んでいた小説には あまりそういう人間の裏の部分を描かれているものがなかったように感じて より作品に深みというか重みを新鮮に感じて とても好きになりました。ですから 石坂さんの作品では 割と明るく楽しい場面の多い作品のほうがを好きになり 気に入った小説は 何度も繰り返し読みなおしました。
高校時代 今はすごく後悔していますが 部活動をしておりませんでしたので 割と時間に余裕がありましたから 勿論そこそこ勉強はしておりましたが 好きな小説をせっせと読みふける文学少年でした。土曜日の昼に本屋さんに出かけて 読みたい小説の文庫本を購入して 土日で読み切るのが 習慣になっていました。高校時代の小遣いは ほとんどがビートルズのレコードと五木さんや石坂さんの小説の文庫本に代わりました。今思えば大好きなラグビー部にでも入部して 頑張っておけば良かったと思いますが まあレコードと小説三昧の高校時代も それほど悪くはなかったのかもしれません。
気に入って 繰り返し読んだ作品は「暁の合唱」「陽のあたる坂道」「山のかなたに」「丘は花ざかり」「山と川のある町」「河のほとりで」「あじさいの歌」などあげたらきりがありません。そして石坂さんの小説は かなりたくさんが 石原裕次郎さん主演で 映画化されています。石原さんが主演していたのですから かなり期待されて制作されていたのでしょうし 相当ヒットしたろうと思われますから 小説自体の人気があったのだと思います。私が高校生の頃にも 石原さんの演じた主役を 三浦友和さんでリメイクされていましたから 数十年を経過しても 依然として人気があったのだろうと思います。
私がこれまでに読んだ小説の数でいうと 「グインサーガ」がありますので 圧倒的に栗本薫さんでしょうが 十代の感受性が鋭い時期に 一番影響を受けたのは 五木寛之さんと 石坂洋二郎さんだと思います。五木さんの作品で一番影響を受けたのは 「青春の門」と「青年は荒野をめざす」だと思います。主人公の年齢が 自分に近かったので 特に思い入れが強かったのかもしれません。石坂さんの作品では 一番最初に読んだ「光る海」だと思います。早く大学を卒業して 働くところから 自分の本当の青春が始まるのだろうと ワクワクしたものです。ただし私の場合 働き始めてから 決意して仕事を辞めて 大学に入りなおしましたから ある意味本当に辛くて悩ましい青春時代だったようです。
今夜は 久しぶりに「光る海」を読み返してみようと思います。高校時代の 今よりは 純粋でまっとうな人間だったころに 戻れるわけはないけれど 当時の優しい気持ちに近づけるような気分だから 寝不足にはなるでしょうが しっかりと読書に勤しんでみようと思います。

ブログ一覧