11月21日 小さな動物が凍えて死んでしまいました

昨夜からそんなに冷え込んだようには感じていませんでしたが 朝から続けて恐らく凍えて体調を崩した小動物が 来院して命を落とす悲しい出来事がありました。朝一でやってきたのは ジャンガリアンハムスターでした。今朝の早朝にいつもなら活発に動くのに あおむけになって動かない と言う事で来院されました。触ると明らかに冷たくなっていましたので すぐにドライヤーで温めました。体温が少し上がってくると 微かに動き出しましたが 依然としてショック状態で ほとんど意識もありません。
温めながら 懸命に体をさすっていると 微かに鳴き声が聞こえるようになってきました。呼吸も安定してきました。取り敢えずはショック状態を改善する薬を皮下に注射して様子をみました。徐々に動き回るようになってきましたので 引き続き体をさすりながら温めていくと 何とか目の焦点があってきて 意識も戻ってきました。普段から気の強い子で 顔をなぜようとすると咬みつく癖があるのだそうですが おでこの辺りをさすると 咬もうとする仕草を見せるようになりましたから 取り敢えずは一安心でした。
何時までもドライヤーにあてておくわけにもいきませんから使い捨ての懐炉を十分に温めて渡して その上に体を寝かせて温めながら家まで帰ってもらう事にしました。飲み薬を準備して 飲ませ方を説明してから渡しました。来院した時には 殆ど呼吸が停止した仮死状態でしたから 何とか自宅までもってくれれば 病院に来てもらった甲斐がありそうに思いました。所が 車に飼い主さんが乗り込んでエンジンをかけるかかけないかのうちに また病院へ駆け込んでこられました。再び呼吸が停止してしまったようです。
慌ててまたドライヤーで温めながら 人工呼吸をしました。呼吸を呼び戻す薬を注射しましたが 残念ながら今度は息を吹き返してくれませんでした。私としては 考え得るベストの対応をしたつもりでしたが 結果的には死なせてしまいましたから 何とも悲しい一日の始まりでした。そのまま午前中は ワクチンを接種したり 手術後の抜糸をしたりして 割と平和に過ぎていきました。そのまま午前中が終了するのかと思っていましたら 終い間際の十二時近くになって ぐったりとしたウサギが運び込まれました。
朝見た時には 普段と変わりなかったのだけれども 買い物から戻って様子を見ると 急にぐったりとしていたのだそうです。朝与えたラビットフードはほとんど減っていなかったそうなので 朝から食欲がなかったみたいでしたが 普段から凄く大人しくて気づいてあげられなかったのだそうです。やはり体が冷え切っていて意識が殆どありませんでしたから 温めるながら 体を摩擦してショック状態から戻そうとしましたがなかなか安定して呼吸もしてくれません。
手術台に乗せて酸素マスクをして 人工呼吸をしましたが なかなか呼吸が戻りません。病院に到着する直前までは何とか呼吸をしていたのだそうなので 呼吸を促進する薬を胸に注射してみました。粘り強く人工呼吸をつづけると 何とか自発呼吸を再発してくれました。とはいえ一定のリズムでろっ骨を圧迫してやらないと すぐにまた呼吸が停止してしまうような 安心できない状態でした。入院をしてもらって病院で面倒をみることを勧めましたが 非常に大人しくて内向的な性格の動物なので 飼い主さん的には連れて帰りたい意向みたいでした。
致し方がないので 呼吸中枢を刺激して自発呼吸を何とか維持する薬を点滴とともに皮下に流し込みました。今日一日もってくれるかどうか かなり不安ではありましたが お返しする準備として内服薬を調剤しているうちに 再び呼吸が停止してしまいました。再度呼吸を呼び戻そうとしましたが 今回も残念ながらそのまま息を引き取りました。入院してもらっていても 結果は似たり寄ったりだったかもしれませんから 飼い主さんに看取られているうちに息を引き取ったのは 不幸中の幸いだったのかもしれませんが 朝から二匹も続けて小動物の最後に立ち会いましたから 正直な気持ち辛かったです。
ハムスターがわずか30グラム 兎が900グラムと 人間の赤ちゃんと比べてもずっとずっと小さな生き物たちです。二匹とも意識がなくて呼吸も殆ど停止したショック状態でしたから 何とか一時的にでも意識が戻り 自発呼吸ができるようになりましたので 私の施した治療が全く無駄であったとは 飼い主さんも思っておられなかったとは思いますが 結果的には病院内で息を引き取りましたから 動物の死が日常茶飯事である獣医師としては 深く落ち込んでいる場合ではないはずでしたが 久々にガックリときました。
小さな動物にとっては 冷え込んだ朝の寒さが 人間よりもずっとずっと大きなストレスになってしまいますから 十二分にも注意を払って面倒をみてあげて欲しいと 改めて思いました。

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