11月24日 本日は 爬虫類デーでした

うちの病院では 極力いろんな種類の動物の診療をするように心掛けております。ただ現在では ペットショップさんが頑張っているのか そのお客さんの好みが多様化してしまっているからなのか分かりませんが ショップで販売されているペットの種類が かなり多種多様になってしまっていますので 正直な所 本屋ネットで 写真でしかその姿を確認できていないような 珍しい種類の動物の診療を求められることがあります。私は チャレンジ精神が旺盛だからかもしれませんが 初めて接する動物であっても 頑張って診察 治療するよう心がけております。例えその種類の動物と接するのが初めてでも その親戚筋にあたる近い種類の治療経験があれば その種特有の病気の場合もありますが 例えば元気や食欲の消失のような症状の場合は 以前に治療した親戚筋の動物での診療経験を生かせる場合が多いと思うからです。そして初めての種類のペットの治療を経験することによって 少しずつ私の引き出しの数が増えていくことは 広く患者さんにとってもいいことだと考えるから あえて初めての種類の動物の診療にもチャレンジしております。
勿論 初めてその種類の動物を治療するが 近い種類の動物の治療経験があることを伝えて そのような状況でも治療を望まれる飼い主さんだけに来院をお願いしております。ただそのような珍しい種類のペットの場合 近所のいくつかの動物病院に電話をかけて 診療を希望しても 経験がないからといって 治療を拒否されている方が多くて とてもお困りの飼い主さんが多いみたいなので 大抵の飼い主さんは その種類の動物の治療が初めてであることが分かっていて 喜んで来院される場合が多いです。そのような珍しい動物の治療を希望される飼い主さんは 電話もしくはメールで 治療が可能かどうかの確認をされますので 実際に来院されるまでにそこそこ時間がありますから その間にそのたぐいの動物の種類による特異性や 想定される病気の原因と有効な治療法などを 所有している本やネットで調べて 自分なりに病気の原因を想定して 治療法や飼い主さんへの説明を準備して 来院されるのを待ちます。
本日来院されたのは グリーンイグアナと フトアゴヒゲトカゲとシマヘビという 今では 割とポピュラーな種類のトカゲと 昔からよく飼育されている蛇でしたので 勿論これまでに何度も治療経験があり それほど慌てて病気や治療法のおさらいをする必要はなくて そんなに慌てることもありませんでしたが もともと爬虫類が来院されること自体が 一月全然ないこともありますのに 一日のうちに三件も来られましたので ちょっと驚いてしまいました。まあ急に冷え込んでまいりましたから 変温動物である爬虫類の体調に異変が生じやすい季節といえるのかもしれません。
グリーンイグアナの子は 最近になって右側の首筋の皮膚の色が変化して その部分を触るのを嫌がるという事で来院されました。体長60センチ位ありますので そこそこ大きめの水槽で飼育されているのだそうですが 寒くなってきましたので 温めるために保温用のランプの使用を二週間ほど前から始められたのだそうです。ランプの側は暖かいので この子は当然その近所にじっとしていることが多かったのだそうで 皮膚の状態からすると一番外部にある鱗は無事のようですが その内側にあるいわゆる普通の皮膚の部分に 軽度に火傷しているようで おそらく細菌感染まで始まっているような状態になっているので 痛みや違和感があるので 触られるのを嫌がっているのだろうと判断して 消炎剤と抗生剤の合剤を塗布してもらいながら 同様の薬を内服薬としても処方しましたので 体の内側と外側から火傷を治療するようにお願いしました。そして暖房の仕方を 一か所からの集中的なものではなくて 水槽全体を温める方法を考えてもらうようお願いしました。大きめのホットカーペットをお持ちなのだそうですから 水槽の下にひいて温めてもらえれば 体のある部分を火傷することは防げるように考えます。
動物は全般的に 人間よりも痛みや熱さに対して鈍感にできています。但し熱さを感じにくいからといって その熱さによるダメージを受けにくいという事ではありません。人間でも懐炉などを直接皮膚にあててしまうと 低温火傷をしてしまいますが ペットも同様に熱さに対する反応が薄いために火傷をさせてしまうことがありますので 注意してあげていただきたいです。例えば犬を自宅でシャンプーされた場合 乾かすのに人間用のドライヤーを使用される場合が多いと思います。人間用のドライヤーは かなりの温度の熱風が噴射されるようにできています。人間が使用する場合は 近距離で一か所だけに熱風をあてていると 当然熱さを感じますので 自分で風の当たる位置をずらしたり逃げたりしますが 動物の場合熱さをあまり感じないので 逃げずに熱風を浴び続けて 軽いやけどを起こしてしまうことは 珍しくないことのように思います。
当院で犬を乾かすときには 勿論犬用のドライヤーを使いますが こちらは図体がかなりでかいのですけれど それは噴き出す風の温度を上げるためではなくて 風量を大きくするためです。それほど熱くないけれど大量の風によって水滴を吹き飛ばしながら 乾かすので 短時間で効率的に かつ皮膚に殆どダメージを与えることなく乾かせるのです。ですから 私は 犬を自宅でシャンプーされることは あまりお勧めしません。それに洗う前にかなり丁寧にブラッシングをしてからシャンプーしないと 汚れをきちんと落とせないのです。きちんと汚れを落とせないまま 不十分な乾かし方をすると せっかくシャンプーしても 皮膚の状態が悪くなるので 直ぐに匂いがして またシャンプーを繰り返すようなことが原因で 皮膚病になっている犬がかなりいますから やはり「餅は餅屋」という言葉通り 自宅でのシャンプーはなるべく控えられることが得策だと思います。
フトアゴヒゲトカゲとシマヘビは ここ二三日 ほとんど動かなくなり食欲も落ちているという事でしたが 今年から飼い始められた飼い主さんなので 飼育環境に十分な暖房ができておらず 体温の低下による 元気と食欲の低下だと診断されましたので 十分に暖かい環境を用意してあげるように指導して 食欲と元気が回復に向かう内服薬を数日分処方しました。但しイグアナのように 部分的に温めての火傷に注意したことは勿論です。三匹とも早く元気になってくれることを期待しております。

ブログ一覧