11月30日 二十年前の今日オランダで安楽死法が成立したそうです

 オランダという国は売春を公認しているなど 他の国と少し感覚が異なるのかもしれませんが 二十年前に成立した安楽死法により 条件さえそろえば自分の意志で安楽死を選択出来るようになったのだそうです。まあ。売春については人類最古の商売と言われ 日本でもどんなに取締りを強化しようと絶対になくならない商売ですから 下手に取り締まるよりも公認してしまう方が つまらないトラブルも減少して悪くないのかもしれませんん。こんなことを書くとまた良識ある女性の方々からいらぬ反感を買うだけかもしれませんが 普通の男なら大なり小なりそのようなご商売の女性のお世話になったことはあるのではないかと思います。

 ただ安楽死については 条件さえ整えば簡単に自分の意志で安楽死が選択できるとなると 一時の感情に流されたり、周囲への配慮が不十分になったりして 諸々のトラブルが発生しそうなので 一概に賛成はできません。日本では 勿論本人がいくら望んでも それを補助した医師が殺人の罪に問われる事件は過去に何度か起こっています。補助した医師にも 患者さんの辛さを熟知していれば安楽死のお手伝いをする気持ちは理解できないわけではありません。しかし残された家族が納得できるのかどうか等の非常にデリケートな問題が 必ず生じると思いますから 安楽死のお手伝いに重い罪を課せられるのは致し方のない事なのかもしれません。

 さて、動物病院を営んでいると 毎年ペットの安楽死を飼い主さんから希望されるケースに何度か遭遇します。当院で致命的な病気の治療をさせて頂いていて、これ以上の治療の継続が 患者である動物にとっても それを世話する飼い主さんにとってもプラスにならないと判断した場合には 安楽死を受け入れるケースもまれにはあります。薬剤を静脈注射することにより 速やかに呼吸中枢が麻痺して 本当に眠るように全く苦しまずに息を引き取ります。

 時々 他の病院で治療をしていて 安楽死を断られたので 当院に安楽死だけを望まれるケースがあります。その様なときにはまず細かく事情をうかがって 当院なりに十分な診察および必要と思われる検査を実施してから 安楽死をするかしないかを判断させていただいていますが その様に説明するとほとんどの場合他の病院に頼むからと断られます。恐らく治療を受けていた病院でも精一杯の治療をしなかったから安楽死を断られたのだと思いますが そんな無責任な飼い主に飼われた動物こそすごく不幸だと思います。

 人間でも同様ですが ある種の病気に対しては 全く有効な治療法がないケースも時にはありますが その様な状況を自分に当てはめて考えるとしたら 重大な苦痛を伴うのでなければ 一日でも長く生きていたい気持ちは誰にでも当然あると思います。ただ治療を継続しても治る見込みがないからとか 治らないのに治療しても金の無駄だ 等と判断して安楽死を望まれるのだとしたら ペットが可哀そうですから 私は絶対に安楽死を引き受けません。

 諸般の事情から どうしても致し方が無くて 安楽死を実施させていただく場合は 当院はできるだけ予防等の料金設定を安くしていますが 結構高額の料金を頂きます。することは必要な薬を調合して 静脈注射するだけですから それほど難しい作業ではありませんが 私も獣医師として越えたくないハードルを越えるので飼い主さんにもそれなりの負担をお願いしたいからです。安楽死を実施した日から二三日は 気持ちが落ち込んでしまいます。安楽死しか方法を見いだせなかった自分に対して 客観的には仕方がないことだし いつまでもそのことを引きずるのは獣医師として情けないことだとも思いますが なかなか理性ではコントロールできません。

 これからも動物病院を営んでいくからには 安楽死と向かい合っていかなければなりませんが あくまでも一方的に実施される動物の身になって考えて取り組んでいこうと思います。

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