2月1日 本日の夜間に変わった動物たちが来院しました。

一匹目は ハリネズミです。飼い主さんが 指の爪を切ろうとしたときに 急に足を突き出してきたので 深爪をして爪の血管を傷づけたのか ひょっとしたら指まで切ってしまったのか わからないのだけれど とにかく出血が止まらないので 何とかしてほしい との電話がかかってきました。その方のお住まいがなんと兵庫県の伊丹市にお住まいだと聞きましたので もう少し近所の病院を探されたら と申し上げましたが 兵庫県、大阪の近い所にある救急病院では ハリネズミは治療できない という事で断られたのだそうです。このまま出血が止まらなければ 命に関わるかもしれないので 何とか診てもらえないか という事でしたので ハリネズミの治療はこれまでに数回しか経験がありませんが 来院してもらうことにしました。
よほど急いで来られたみたいで 予想よりも早くに来院されました。包まれていたタオルにかなりの量の血液が付着していましたから 確かにそれまでかなりの出血があったようです。キャリーバックから 引っ張り出されたので 取り敢えず新しい真っ白なタオルに包みました。左後肢の一番外側の指 なのだそうですので 取り敢えず私が触らずに飼い主さんに体を伸ばしてもらって 足の先の出血点を確認しようとしました。最初は まだ飼い主さんの言いうことを聞いてくれていましたが ここが診察室であることを徐々に理解してきたみたいで あるときから体をくるんと丸め込んでしまって 全く動かなくなってしまいました。
一旦 この防御体勢に入られてしまうと 猛獣でさえ手が出せないで 諦めてしまうのだそうですが 厄介な状態になってしまいました。針がびっしりと生えている部分を外側にして 殆どボール状に丸くなってしまわれました。私のこれまでのハリネズミの治療経験では これほど完璧な防御体勢になってしまわれずに済んでおりましたので もしも丸まってしまわれても 皮手袋をはめていれば 針も痛くはありませんから 強制的に体を伸ばして 幹部を診察できるであろうと思っておりましたがこの子が よほど臆病だからなのか そのぼうぎょたいせいが あまりに上手だからなのか分かりませんが 本当に手も足も出せない状態になってしまいました。
勿論 400グラムぐらいの動物ですから 無理やりに力ずくで 体を伸ばすことはできますが 凄く大切に買われている子のようですから 力ずくでの診察は諦めました。
そのようにして 十分ぐらい格闘しましたが その間新しい真っ白なタオルには一切血がついていませんでしたから どうやら出血は一時的にであるのかもしれませんが 止まってくれたようです。そのことで取り敢えずは飼い主さんが安心されましたので 本来は 傷口の状態をしっかりと確認して 必要な処置を行いたかったのですが 傷口の確認は諦めました。恐らく自宅に帰れば もう少し警戒心を解いてくれるでしょうから 傷口の消毒などは 何とか自分でできそうだと飼い主さんが仰るので 取り敢えず注射で 抗生物質と止血剤を投与して 消毒薬と塗り薬 そして同じ内容飲み薬をの出して治療を終えました。
飼い主さんにお帰り頂き ホッとしていたら また電話がかかってきました。今度は 池の近くの道端に 多分水鳥 カモの類だと思われる鳥を保護したのだが 足を怪我しているみたいなので 診てほしいとの事でした。
野生動物は時々保護されて来院します。鳥でいうと カラスが猫に襲われたのか 交通事故にあったのかで飛べない状態で連れてこられる場合が一番多いみたいで 続いて雀の雛が巣立ちに失敗したのか 巣から落っこちたのか勿論飛べない状態なので保護されたケースです。水鳥 所謂足の指の間に水かきがある鳥は アヒルぐらいしか診たことがありませんが 今夜は池のすぐ近所の道路をたまたま通りがかって カモの類の鳥が動けない状態だったので ほっとけなくて保護してしまってお困りの方からの電話でしたので 来院していただきました。
来院された鳥を見ると 嘴や羽の柄からして 確かにカモの類でしょうが 水鳥の種類には 詳しくありませんので その種類はよくわかりませんが 足先を見ると確かに水かきが指の間にありましたから 恐らくその池にやってきていた水鳥に間違いはなさそうです。全身を診察しましたが 外傷はないので 出血も見られませんでした。連れてこられた方の話だと 保護するために 捕まえようとしたら 野生の動物ですから当然の反応ですが 逃げようとして走り出したのですが 左足が踏ん張れないみたいで 直ぐに転んでしまい 蹲っている所を タオルでくるんで 段ボール箱に入れて連れてこられました。
その左足を注意して診察しましたが 特に骨折や脱臼などの重傷であれば 触診でも感知できるはずですが それ程の異常や過敏な反応は ありませんでした。ただ足具備にあたる部分に僅かな腫れと発熱があるみたいなので 翼の部分には 全く異常が見つかりませんでしたこともありますので 所謂足首の捻挫により 上手く走れないために 飛び立てないのではないかと診断しました。水鳥は 結構体が重たいので 飛び立つのに結構な距離を助走してからでないと 上手く離陸できないはずです。
水鳥なので 日常的に水面に浮かんで生活しているはずですが 保護している環境としては 陸上で生活してもらわなければしょうがなさそうなので 消炎剤を外用薬の軟膏で 足首にたっぷりと塗擦してもらい 更に内用薬で 抗生剤と消炎剤をシロップで内服させてもらいながら 足首のダメージからの回復を待つしかないように判断しましたので 保護された方に そのようなお薬を渡して 頑張ってこの子が受けるストレスが少ないような環境を作ってあげて 面倒を見てあげるようにお願いしました。野生の動物を連れてこられた場合は ノラ猫の避妊手術と同様に 半額は当院が負担するので 半額は保護した方に責任を持っていただく という事で 治療費の半額だけ 頂戴いたしました。
長いこと動物病院の仕事をしていると いろんな動物を診察させていただく機会があります。本日の水鳥などは 保護された方も 私も 確実なその種類は分かりませんでしたが 大人しく診察させてくれましたので 恐らく診断には間違いないと思いますので 保護された方が上手に内用薬と外用薬を投与してくだされば 一週間ぐらいで 野生の状態に戻してあげられると思います。無事に自然の中へ復帰してくれることを 心からお祈りしたいと思います。

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