2月23日 交通事故にあったらしい狸が保護されてきました

夜の十時ごろに電話がかかってきて道路の真ん中でもがいているタヌキを見つけたのだが どうしたらよいのかと相談を受けました。見たところ 横腹の辺りの皮膚が破れているようだ という事でした。腹膜が損傷して内臓が飛び出しているのなら 直ぐにでも命に関わるかもしれませんから 取り敢えずは段ボールの箱に保護してもらって 来院してもらうことにしました。診察台で傷の具合を診察すると 横腹の皮膚は破けていますが 内臓にまでは傷口が及んでいないことがわかりましたので 取り敢えずは皮膚を縫い合わせる手術が必要であることがわかりました。
野生動物の場合 保護された方はもちろん飼い主さんではありませんが 治療には勿論費用が発生しますので 半額は当院が負担しますから 半額は保護された方に支払っていただくようにしておりますので そのことを説明すると たまたま見つけて ほっておけなくて 連れてきただけなのだが それなりに責任があることは理解していただき 何とか納得していただきました。タヌキは 見た目は可愛らしいのですが 何しろ事故にあって大けがをしていますから 相当に気が立っていて かなり暴れてくれましたが 何とか強引に麻酔をかけて 手術を始めることができました。 
まずは汚れた傷口を奇麗な状態にしました。とりあえずはバリカンで周囲の毛を刈り取ってから アルコールをたっぷりと噴霧して 泥や汚れを洗い流しました。十分に清潔な状態にしてから 引き千切られているような皮膚を整形して 縫合できる形に整えました。あとはナイロンの糸で 丁寧に縫合して手術を終えました。念のため傷口を舐めないようにエリカラーを装着しました。麻酔から覚めてくると 先ほどよりは落ち着いたみたいで 頭をなでさせてくれましたから 明日以降傷口の消毒など何とかできそうです。術後に 点滴を皮下にたっぷりと流し込み そこに抗生物質や消炎剤を十分量加えましたので 清潔な環境において きちんと消毒処置をすれば 何とかきれいに皮膚はくっついてくれるでしょう。
抜糸までの十日間は 入院してもらうことになりますので 狸の餌としてはどのようなものが必要か ネットで調べて用意しようと思います。連れてこられた方には十日後抜糸してからお返ししますので その時に迎えに来てもらうようにお願いしてお帰り頂きました。十日も面倒を見ていると 結構なついてくれる野生動物もいますので 別れるとき寂しくなる場合もありますが このタヌキちゃんも とっても可愛らしいので 今からそうなりそうで心配です。
明日以降 取り敢えずは病院の入院室という特殊な環境に 早く馴染んでくれて 食欲が出てくれれば一安心ですが それは明日の朝になってみなければわかりません。何とか元気になり 傷口もきれいにくっついてくれて 名残惜しい気持ちで 保護した方にお返しできればいいと 願っております。

ブログ一覧