3月22日 安楽死を求められて 悩んでしまいました

安楽死については 人間社会において 世界的にみて 認められている国もあれば 認められていない国もあります。日本では 認められていません。次元が異なる話かもしれませんが 極刑として死刑を認められている国と認められていない国があります。日本では一応認められていますが なかなかすんなり失効されていないのが現状かもしれません。安楽死も 死刑も 人間が意図的に 人間を死に至らしめる行為です。認められるべきなのか 認められるべきではないのか 正直のところ 私にはよく分かりません。
動物病院では 極たまにですが 飼い主さんから その方のペットの安楽死を求められることがあります。癌などの凄く大きな苦痛を伴う疾患の末期に 痛みに苦しんでいる我が子同様のペットの苦しむ姿を これ以上見ていられないからと 仰ります。本日 安楽死を求めてこられた飼い主さんも 十四歳のトイプードルで 乳腺腫瘍の末期で 何か所からも排膿が始まっている 見た目的にもかなり悲惨な状態の子でした。年齢的にも かなりの高齢であり 食欲が衰退して一週間が経過して 他の病院に点滴に毎日通っておられたのだそうです。
飼い主さんとしても 出来る限りの手を尽くしたけれど これ以上生きさせても苦痛が長引くだけだと判断して 安楽死を決意されたのだそうです。但し かかりつけの病院では 安楽死を拒否されたのだそうで 当院にやってこられたのだそうです。私は 積極的に 安楽死という究極的な処置を 行っているわけではありません。当院にかかりつけで来院されていて それまでの経過を私も飼い主さんも互いに十分に理解できている場合に 飼い主さんから安楽死を求められた場合で 私としても安楽死を選択せざるを得ないと判断できる場合には その処置を採用する場合があります。
本日の場合 いきなり安楽死の処置だけを求めて来院されたので どうしたものかと困ってしまいました。取り敢えず 安楽死をせざるを得ないと判断するために その子の現状を出来る限り正確に把握するために 十分な検査を実施したいと申し上げた所 安楽死してもらうために来院しているのに どうしてこれまでにも散々実施された検査を繰り返されなければならないのか と尋ねられました。当院としても 安楽死しか選択肢がないことを判断するために検査が必要だと 丁寧に説明させていただきましたが ご理解いただけなかったので 安楽死という処置を実施しないで お帰り頂きました。
死なせる患者に検査は不要だと主張する飼い主さんの言い分も 分からないでもありませんが かかりつけの病院で実施してもらえない処置だけを当院に求められても 対応できないのは 致し方がないと判断させていただきましたが 客観的にみたらどう対応したほうが良かったのでしょうか。私は この仕事を三十年以上継続してきておりますが 未だにどうするべきなのか分からない事案が幾つかあります。日本で安楽死が認められていない ことも果たして正しいのか 間違っているのか 分かりません。世の中には 分からない事が幾つもあるようです。本日来院した子が 苦痛で辛そうだったことは間違いありません。四の五の言わずに 楽にしてあげたほうが 簡単な処置で そこそこの売り上げにもなりましたから 受けたほうが良かったのかどうか 今も分かりません。多分いくら考えても 正解は見つからないように思います。正解が見つからないままに 仕事を終えるのだと思います。世の中訳の分からないことはいろいろありますよね。

ブログ一覧