3月23日 本日は語呂合わせで「ふみの日」なのだそうです

子供の頃は 私はどちらかといえば引っ込み思案で 人前で自分の考えをしゃべるのは凄く苦手でした。ですから 子供の頃には手紙など年賀状しか書いたことがありませんでした。いわゆる作文が苦手でしたから 手紙なんて出す相手もいませんでしたが 手紙を普段の生活で出す事なんて その発想さえ浮かびませんでした。

そんな作文が苦手だった私が 他人に自分の文章を発表する機会を半強制的に与えられたのが 一つ目の大学に通っていた時でした。一つ目の大学では 私は混声合唱団に所属していましたが毎年秋に役員の改選選挙が行われます。普通は二年生が役員のチーフに立候補して 翌年の三年生の時に役員の仕事をするのが通例でした。

私はちょっとした事情があってそのサークルに所属するのが遅れてしまいましたが 秋までには結構おもろい大阪のオッサンというイメージが定着してしまっていました。立候補する役員のメンバーをある程度話し合いで絞り込むための泊まり込みの話し合いが開かれました。

基本的に立候補するのは二年生なので一年生の私は無関係だと思って 気楽に参加していました。私は自宅通学でしたから近所に住んでいる女の子と いつも練習終りに京阪電車で一緒に帰っていました。その女の子たちと帰り道に話すときには おもろいオッサンではなくて サークル活動についての前向きで建設的な意見を よく話していました。

その女の子たちの一人が 私が結構建設的な意見を持っているという事で 合唱団の機関誌の発行責任者である役員に 私を推薦してしまったことから 事件は起こりました。一応二年生からもその役職に押されていた女性がいましたから 私は一応対抗馬として形だけ立候補させられることには決まりましたが 選挙でまさか当選することはないだろうと まだ気楽に構えていました。

但し 私としては形だけでも その役職に立候補するからには 過去の機関誌を部室にこもって じっくりと調べてみました。過去の機関誌は 部員に配布して残った分が乱雑に積み重ねてあるだけでしたので 先ずは年代別にそして発行順に整理して きちんと資料としてファイルしました。

その取り上げられている記事の内容をしっかりと読み返してみました。新聞の社説のように その時の合唱団の運営役員の仕事についてや雰囲気について 批評批判をしたり 合唱の技術向上のためのアドバイスであったり 団員のプライバシーを紹介したりする娯楽的な記事もありました。他の合唱団に練習見学に行っての練習を紹介する記事や、キャンパスの学生に自分たちがどれくらい認識されているのかアンケート調査をして集計して その結果報告と分析の記事もありました。

私は過去の企画で面白そうなものや 自分で考えだした企画を 投票の前の質疑応答で 面白おかしくですがある意味真剣に話しました。その面白おかしさが予想外に受けてしまって なんと私は一年生なのに団の機関誌の発行責任者に当選してしまいました。

それまでの機関誌は 年に数回忘れたころに発行されるようなゆるい機関誌でした。発行にかかわるメンバーもほんの数人しかおらず 細々と発行していました。でも私は自分が責任者として発行するからには 月刊で発行しようとかんがえました。発行を手伝うメンバーも有能そうなメンバーを私が着々とスカウトして十人近く確保しました。

月初めに編集会議を開いて 各自必ず自分なりの記事の企画を考えてくるように指示を出しました。各メンバーの持ち寄った企画を吟味して その月末に発行する機関誌の内容を決定しました。月末には団員に配布するためのスケジュールもその時に決定しました。配布する前の日曜日には 全員で集まって 記事をボールペン原紙に書いて 輪転機を回して 印刷物をまとめてホッチキスでとじ合わせる作業に追われました。せっかくの日曜日を潰されるので メンバーからは不満の声もありましたが 休みを一日潰してもそこそこ立派な機関誌が出来上がるので みんな頑張って参加してくれました。

合唱団としての運営面や雰囲気を批評批判するのは 私以外の役員がすべて一学年上の先輩でありかなり気を使うし難しかったけれど 懸命に取り組みました。音楽面では合唱曲やその作曲家の魅力を紹介したり 技術面での基本的な練習法を例示したり、他の合唱団の練習法を積極的に見学に出かけて紹介するなどかなり画期的な企画であったと思っています。

私が一番力を入れたのが娯楽面で 学部対抗漢字のテストを実施してどの学部の人間が一番賢いのか論評したり 一番麻雀の上手いメンバーに 実践麻雀教室を連載してもらい そのテクニックを教示してもらったり いきなり下宿訪問と題して メンバーの下宿に押しかけて実況中継的なレポートをしたりもしました。下宿生が多いので 自慢の手料理のレシピを披露してもらうコーナーは結構人気があったと思います。

それと私が個人的に機関誌の発行責任者になってしまった心境を 小説風にアレンジして掲載してみました。評判が悪ければ直ぐに終わろうと思っていましたが 結構好評だったので このブログに似た雰囲気で このひと月の間に私の身の回りに起こったことや考えたことを文章にして発表しました。この企画は結構長続きしましたから 私としても予想外であり嬉しかったし 正直な気持ち楽しかったです。

それまでは 私は大阪人ですから人前でおもろいことを言って笑ってもらうことは大好きでしたが 自分の内面をさらけ出すことにかなり抵抗がありましたが 自分の正直な気持ちを表現すると 結構共感してもらえたり 勿論反論やアドバイス、お叱りを頂いたりもしましたが 自分の気持ちを正直に表現することが 面白くなってきました。

大学生のサークル活動ですから 事情があってサークルを離れていくメンバーもいましたが そのような人たちに思い切って手紙を出してみました。団の機関誌に自分の気持ちを表現することが楽しくなっていた私としても かなり勇気のいる行動でしたが 思い切ってその人たちに手紙を出してみました。 サークル活動からは離れても個人的に付き合いが残った人もいましたし、気持ちを翻してサークルに残ってくれた人もいました。

私が年賀状以外に手紙を書いたのはその時期だけかもしれません。そして現在は果たしてどれだけの人に読んで頂けているのか不明ですが せっせとブログで一方通行のお手紙を書き続けています。極たまに同窓会的な集まりに顔を出すと 意外な人がブログを読んでくれていたりして 結構嬉しくなることもありました。来院される飼い主さんにも 帰りがけに感想を言われたりして ドキッとすることもありましたが 読んで頂けてすごく嬉しい気持ちになりました。

こんなブログをいくら一生懸命に書いても 一銭にもなりませんが 楽しく読んでいただける人が ほんの少しでもいてくださることを励みにして この一方通行の手紙を書き続けていこうと思っていますので どうかよろしくお願い致します。

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