3月26日1827年の本日ベートーベンが亡くなりました

所謂クラシックの作曲家で 一番有名な方かもしれませんが わずか56歳で亡くなられました。私よりも若くして亡くなられましたのに 人類にとって大切な財産ともいえるような作品を多数残されました。私がベートーベンの偉大さを痛感させられるのは 彼が二十代半ばから重い耳の病気にかかっていた事です。徐々に悪化する耳の状態に 音楽家として自殺も勿論考えたはずです。しかしそこから立ち上がり耳の聴こえない音楽家として 人生の後半を立派に生き抜いたことが 彼の残した偉大な作品と同等の素晴らしさだと思います。

音楽家が聴力を失う事は 画家が視力を失う事にも匹敵する事だと思います。彼が取り組んだ音楽は 単純なメロディーだけで構成されるような音楽ではありません。複数の楽器による音と音の重なりあう和音は 音楽理論的には想像できるのかもしれませんが 実際に耳で聴いてみなければ どのような広がりが生み出されるのか想像する事は非常に難しい事だと思います。

私は十年以上ピアノを習っていましたから 勿論彼のピアノソナタにも挑戦したことはあります。子供の頃からバックハウスやケンプの演奏のレコードを擦り減るぐらいに聞き返した時代もありました。私の拙い技術では 自分の思い通りに弾きこなせたことはありませんでしたが 一応人前で演奏したこともありました。

但し ピアノを本格的に習われたことがある方なら勿論ご存知だと思いますが 彼の作品番号の百番台のピアノソナタは 聖域とされていますから 楽譜に目を通したことはありますが 勿論手を出したことがありません。

交響曲で全てのクラシック音楽のジャンルで一番好きな作品が五番「運命」です。特に第四楽章が好きです。いい演奏だと大抵涙ぐんでしまいます。それから勿論七番も特別に大好きです。他にも三番、六番、九番もと 好きな作品ばかりです。

私は交響曲の作曲家として ハイドンやブルックナーも凄く偉大だとは思いますが たった九つの作品の中に好きな作品が目白押しのベートーベンは やはり特別な存在です。友人でモーツアルトを崇拝している人物がいますが 私は好みの問題なのでしょうが 何となく好きにはなれません。

ベートーベンの好きな作品の中で「運命」と双璧をなすのが 「荘厳ミサ曲」です。この作品も合唱曲の中である意味聖域にある作品だと思います。昔塩野義に勤めている時に所属した北陸地方の下手糞な合唱団が この作品に何度もチャレンジしていましたが 作品の品位を汚すような行為はやめてほしいと思ったことがあります。

作品が年齢とともに充実していくのは 当然かもしれませんが 彼の聴力が完全に失われてからの時期であることに 凄く大きなジレンマを感じます。若い頃には演奏家として、指揮者として 自分の作品を発表していましたが 聴力を失ってからは 作曲家に専念していました。致し方のない事なのかもしれませんが 彼は自分の頭に浮かんだ音楽を楽譜に書き起こすだけで 全然自分の耳でその音楽を楽しむこともできないのです。

別に格好をつけるつもりはありませんが ベートーベンの残した作品は 私の人生にとって必要欠くべからざるパーツになっているぐらいに素晴らしい作品だと思います。その作品の大半を彼は耳にしたことがないというのは ベートーベンにとって最大の不幸なことだと思います。

久し振りに「荘厳ミサ曲」を聴いてみようと思います。バイオリンソロの部分は 思わず泣いてしまうぐらいに美しいメロディーだと思います。

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