3月27日 1969年の本日 テレビドラマ版「男はつらいよ」最終回が放送されました

「男はつらいよ」というタイトルを耳にして 渥美清さん演じるフーテンの寅さんを思い浮かべられない若い方が増えてきているのかもしれません。最後の作品が公開されてから もう二十年が経ちますから致し方のない事なのかもしれません。そもそも「男はつらいよ」という作品は連続テレビドラマとして放送されていました。渥美さんが主演する物語ですから 勿論コメディータッチに描かれていたのだとは思いますが、私が子供の頃にテレビドラマの再放送を見た時には 結構シリアスな場面もあって 何にも考えずに笑えるような喜劇ではなかったように思います。

只凄く寅さんが人気者であったことだけは間違いないと思います。何しろ予告編で寅さんが死んでしまうストーリーであることが分かると ファンが助命嘆願に奔走して ついには寅さんは亡くなるのではなくて 行方不明になる事にストーリーを変更させてしまったぐらいですから その人気は尋常なものではなかったろうと思われます。そんな最終回が放送されたのが四十六年前の本日なのです。

テレビドラマの続編として映画化された「男はつらいよ」が そのあまりの人気の為にシリーズ化されてしまいました。渥美さんが元気なころには お正月とお盆の年に二回の映画界の書入れ時に 公開されていました。渥美さんの年齢がすすんで一年に一回のお正月映画だけになってしまいましたが 「寅さん」というのは俳句の冬の季語として認定されているぐらいに 日本の文化の一部分になっていました。

映画のストーリー自体はワンパターンでしたが マドンナが毎回代わっていきますから 寅さんの失恋の仕方もそれぞれで 毎回新鮮さを感じました。私のように 女性に全く持てない男から見たら 結局は失恋するにしても 毎回毎回素晴らしい美女と出会いがあるだけでも寅さんは幸せだと思っていました。

私個人としては ロードショーとして公開されている時期に 映画館へ観に行った記憶はありません。今はもうなくなってしまったのかもしれませんが ポルノ映画ばかりかけている映画館が 四本立てのうち三本はエロ映画で 一本だけ普通の映画がかかっていました。つまりエロ映画と抱き合わせでは映画館で「寅さん」の映画を見ました。

恥ずかしながら一つ目の大学に通っている頃に 枚方公園の駅前にあったエロ映画館にはよく通いました。今はもう影も形も残っていませんが 懐かしい思い出であります。勿論そんなエロ映画専門の映画館でしたから 小さくて汚くていつも小便くさいような 最低の映画館でしたが 二十歳前後の性欲の最も盛んな時期でしたから 一年で十回以上は通いました。

映画館の出入り口は勿論ふつうの道端にありますから その映画館に出入りする時には 緊張しました。いざ入ろうとした時に 若い女の子が通りがかろうものなら 勿論知らん顔をして通り過ぎます。映画館の出入り口の近所に誰もいないのをよく確認してから 切符売り場に行きチケットを急いで買って入館しました。

客席にいるのは 平日の昼間にそんな映画館にいるような輩ばかりですから 勿論お友達になりたいような人物は一人もいません。もっとも私も相手から見れば似たような輩のうちの一人だったのだと思います。映画の内容はかなり昔の話ですから 若くて可愛い女優さんなんてほどんといません。かなりの年齢の方がセーラー服を着ていたりしますが そこは我慢して 普段頭の中で妄想するような出来事が再現されるのに 大いに興奮しました。

さてその映画館から出るときがまた緊張しました。周囲に人の気配がないのを十分に確認してから飛び出すのですが 運が悪いと女の子の集団とすれ違ったりしてしまいました。女の子にしてみれば スケベな映画館から男が一人出てきただけで 何にも感じていないと思いますが そんな時には恥ずかしくて二度とこの映画館には来ない様にしようと決心したことが何度もありました。でもしばらくすると またエロ映画の魅力に負けてやってきてしまう 男の悲しい習性でした。

「男はつらいよ」から全然かけ離れた話になってしまいましたが この作品のシリーズは全てテレビの地上波で放送されていますから 私もテレビでその殆どを見ていると思います。特別に感動するほどのストーリーではありませんが 昭和の頃の日本人の人情というか暖かさ、優しさをほのぼのと描いてあって 見終わった時にはホッとできる作品ばかりだと思います。若い方には 古臭くて興味が湧かないかもしれませんが 一度レンタルのDVDなりブルーレイなどを借りて ご覧になっても損はないと思います。私も懐かしくなったので 久しぶりにツタヤにでも出かけてみようと思います。

 

ブログ一覧