3月7日 カメの直腸脱の患者さんが 深夜にお越しになりました

直腸脱というのは 排泄や排卵が切っ掛けになる場合もありますが 肛門から直腸が反転して 脱出してしまった状態を言います。この現象は 犬や猫でも起こりますし ウサギやハムスターなどの小動物でもたまに見られます。爬虫類では トカゲで二三度経験しておりましたが 正直な所 カメの直腸脱は 初めての経験でした。それも 脱出している腸の分量がすごく大きいので 診察台で病状を確認した時には 果たしてうまく元の状態に戻せるのか 不安になりました。勿論飼い主さんに 上手く戻せる自信がありません 等と言えるはずもありませんから 早速逸脱してしまった直腸を肛門内に戻す作業に取り掛かりました。
まずは飛び出している直腸にヒビテン液を吹きかけて消毒しました。ついで 潤滑剤を表面にたっぷりと塗って 肛門内に少しずつ戻す作業にかかりました。何しろかなり大きく脱出してしまっていますから 凄く苦労しました。汗びっしょりかいて 奮闘した結果 何とか肛門内にはみ出してきていた直腸をすべて肛門内に 戻すことが出来ました。但し 油断するとすぐにでもまたはみ出してきそうな状態でしたので 縫合すべきか 医療用の接着剤で肛門を閉じておくか 悩みましたが これまでの経験上 接着剤で肛門を閉じておいた方が 翌日ぐらいには 直腸も落ち着いてくれるだろうし 接着剤の保定力もちょうど消えるはずなので 体にかかる負担を考えて 接着剤で肛門を閉じる事にしました。
只 カメの場合 生活の場が基本的に水中なので 心配はありますが まあ明日まで少なくとも十二時間ぐらい肛門が閉じていてくれれば 直腸が落ち着いてくれることを期待して お帰り頂きました。正直亀の直腸脱は初めての経験ですので どのように回復していってくれるか 今後の経過に不安がないではありませんが 何とか今回の処置で無事に収まってもらえたら 嬉しいです。初めてだから 出来ないと諦めてしまうと 経験値が上がりませんので カメの直腸脱という初めての病状に思い切ってチャレンジしてみました。いい具合に落ち着いてもらえることを 心から祈っております。  

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