4月25日 チャイコフスキー国際コンクールが 世界連盟から除名処分を受けたのだそうです

チャイコフスキー国際コンクールというのは 四年に一度開催されて 七十年近い歴史と伝統のある 由緒正しいコンクールで エリザベート王妃国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノコンクールとともに世界3大音楽コンクールとされているのだそうです。チャイコフスキーという作曲家をご存じない方はたぶんいらっしゃらないであろう ロシアの有名な作曲家ですから このコンクールの存在を御存知の方も多いと思います。バイオリンなどの弦楽器 ピアノ 声楽などの部門に分かれていて 日本人の入賞者も時々いらっしゃいます。
そんな歴史のある国際コンクールを 国際音楽コンクール世界連盟という組織が ロシアのウクライナ侵攻を理由に 連盟から 除名処分にしたのだそうです。勿論 ロシアのウクライナへの侵攻は倫理的にも許されるものではないように思いますが この百年の人類の歴史を振り返ると 領土拡大欲に駆られて 強国が弱国の領土に侵攻するなんて言うことは 日常茶飯事だったと言えます。かくいう日本だって 大東亜共栄圏 等と称して アジアへの侵攻を目論んだことから 第二次世界大戦を引き起こして こっぴどい敗戦を経験したのです。ですから立場的には 日本がロシアの野蛮な行為を責められる立場にあるのかというと 疑問の余地があるように思います。
そもそも今回のロシアのウクライナ侵攻は ロシア国民の総意というよりも プーチン大統領の独断専行のように 報道されています。そもそもロシアという国の領土拡大欲のすさまじさは 昔からの筋金入りだから あれだけ広大な領土を誇っているのです。第二次世界大戦の終戦間際のどさくさに紛れて 日ソ不可侵条約を締結しておきながら 日本に一方的に宣戦布告して 北方領土四島を占拠して そのまま己が領土として 平然と日本に対しているのがロシアという国なのです。
ロシアがソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)という組織を形成していたころから そこに参加した国々を己が属国という感覚で扱っていた為に プーチンというほぼ死ぬまで大統領という身分を保証されたような怪物を生み出してしまった結果として 今回のような暴挙が引き起こされたのだと思います。確かにロシアという国が 殆ど世界中からバッシングされて 経済制裁などを受けるのは 当然のことのように思います。
しかし こと芸術に関する方面で ロシアを排除してしまうのは 如何なものかと思ってしまいます。スポーツの祭典であるオリンピックにおいて スポーツは政治の外の世界に存在するもの という考え方で 例え現在進行形で戦争中の国と国でもスポーツの祭典に 参加して平等なアスリートとして競い合う事を目指して オリンピックが開催されているのだと理解しています。だとしたら 芸術の分野も 同様に政治の世界とは別次元の分野という風に 判断すべきではないかと 考えてしまいます。
勿論そのコンクールに参加する音楽家の方々が 個人的に考えて ロシアで開催されるコンクールに参加を拒否されるのは 自由だと思いますが 今後ロシアが半永久的に 周囲の国々への侵攻を継続するとは考えにくいように思いますから 一時的な事情で 歴史と伝統 そして権威のあるチャイコフスキー国際コンクールを 国際コンクール界から 追放するような処分に 私は賛成できません。スポーツがそうであるように 音楽芸術の分野も 政治の世界とは 一線を画しておくべきだと思います。現在の何が何でも ロシアが許せないから ロシアがらみのものを排除しようとする風潮は よくない事のように思いますが 如何でしょうか。

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