6月16日 ペットの異状に気づいたら 少しでも早く病院に駆けつけましょう

一昨日の深夜 急患で来られたウサギと猫が 両方とも病院に到着した時にはすでに呼吸が停止していました。どちらも 停止したのがほんの数分前だったので 聴診器をあてると 微弱な心音が聴き取れましたので 手術台に乗せて 酸素を送り込んでいるマスクを顔にあて 心臓をマッサージしてみました。心音の回復が感じられませんでしたので 心臓の動きを活性化する薬を直接心臓に注射で投与して 心臓マッサージを繰り返してみました。何とか息を吹き返してもらおうと 懸命に頑張りましたが 二人とも残念ながら こちらの世界に戻って来てくれませんでした。 
ウサギさんは 年齢が七歳と かなりのご高齢ですから 飼い主さんもある程度 いつ何時 何かあることを覚悟されていたみたいです。それにしても 朝から食欲元気がないのに 様子を見ていたので 来院するのが遅れてしまった と言い訳めいたことを仰っていましたが 高齢であることを分っているのなら もともとの体力が低下してしまっているのですから 尚更異常に気づいたら 早目に対処することを考えて頂きたかったです。朝から具合が悪かったのですから あと三十分早く来院して頂けていれば 元の様に回復したかどうかは 分りませんが せめて容体が急変した原因がどの様なものであったのかは説明できたのかもしれません。
亡くなった猫ちゃんの方は まだ三歳と若かったので 飼い主さんがご夫婦で見えたのですが 奥さんの方が息を引き取ったと伝えた時に その場にへたり込んで 泣き崩れたのは 見ていて辛かったです。この子の異状に気付いたのは 何と昨夜の事だったそうです。昨夜から食欲が殆どなかったのだそうですが この猫ちゃんは夜に殆ど食べなくても翌朝にはケロッとして 食欲が盛り返す事が多いので 様子を見ていたのだそうです。とは言え今朝になっても 食欲元気ともに戻らなかったのだそうで 遅くともその日の夕方には 病院へ連れて行ってあげるべきだったように思います。
奥さんが猫を抱いて車で連れてこられたのですが 途中で呼吸が止まってしまったことに気づかれたようで 大きな声でわめきながら 病院に入って来られたので 嫌な予感はしていましたが 案の定泣きながら帰って行かれましたので こちらも落ち込んでしまいました。只そんなに大事に飼っているネコちゃんなら もう少し早く病院へ行くという行動を始めて頂きたかったです。まだ若い子でしたから もう少し早く治療を始めていれば 元気に回復してくれる可能性も少なからずあったように思います。
そんな残念な出来事が二件続いて 気持ちが落ち込んでいたのに 更に今夜もまた時間外に電話がかかってきて 今度は十六歳の猫ちゃんが 眠っていたのに急に起き出してぜーぜー咳き込んで息苦しそうにしているので直ぐに診て欲しいという事でした。年齢的にもすぐに治療を始めないと危ないと思いましたので すぐに来院してもらう事にしました。病院に降りて 血液検査の機械のスイッチを入れて 注射ポンプなど検査の準備をしていたら さっきと同じ番号から電話がかかってきました。
嫌な予感がしながら 受話器を取ると 家を出る前に呼吸が止まり 胸に手を当ててみても 心臓も動いてる気配がない と言う事でした。寝る前から 普段はおとなしいのに ウロウロと歩き回り 心配していたのだそうですから 年齢を考慮したら 普段と違う様子に気づいた時にすぐに病院へきていれば 少なくとも死亡した原因位は 明らかになったのかもしれません。亡くなるにしても どのような理由で命を落としたのか 分っていた方が 飼い主さんとしても気持ちの整理がつきやすいのではないでしょうか。 
二日間で三例も 来院が遅れたために 残念な結末になってしまった患者さんが続きましたので 流石に堪えました。動物は言葉で 病状を飼い主さんに訴えられませんから 飼い主さんが普段との違いから読み取ってあげるしかありません。取り返しのつかない状態なのか 様子を見ていれば治まってしまうような状態なのか 判断は難しい場合も多いと思いますが もし自分の事で 不安を抱えたら 病院へ駆け込む方は多いと思いますから 大切なペットの事も同様に対応してあげて頂きたいものです。

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