6月21日 ツキノワグマによる被害が多発しているみたいです

残念ながら 本州に住むツキノワグマによる被害で 毎年何人かの方が命を落とされているのだそうです。ツキノワグマは 北海道にいるヒグマよりはずっと体格的に小さいみたいですが それでも体重百キロぐらいにまで成長するのだそうです。うちの病院に来た動物では いつぞやセントバーナードの老犬が担ぎ込まれました。もう老衰で足腰弱ってしまって 歩けないので男性が三人がかりで診察台の上にのせました。

体重は 全盛期よりもかなり痩せ衰えているのだそうですが 丁度50㎏ほどでした。診察台から はみ出して転げ落ちそうなのをみんなで支えながら 診察した覚えがあります。犬でもこれぐらいデカくなると 動物園でライオンなどの猛獣の檻から匂ってくるような 獣の臭いがしました。普段十分の一位の犬を診察することが多いので それこそ猛獣を相手にしているみたいな感覚でした。体力が落ちていますから 暴れたりはしませんでしたが 体の向きを変えるだけでも一苦労でした。

ツキノワグマはヒグマよりは小さいと言っても 最低でこれぐらいの体重 下手するとこの二倍ぐらいまでデカくなるのですから 完全に危険な猛獣と見なければならないと思います。ヒグマよりも小さいと言っても 逆に身が軽くて 敏捷に動き回るのかもしれませんから 人間にとってはかえって恐ろしい存在になってしまうのかもしれません。クマについてよく言われている話としては クマにとっても人間は恐ろしい存在なので 話したり音をたてたりして 自分の存在を強めにアピールしておけば クマの方が先に気づいてくれて 接触が避けられる場合が多い と言う話です。

これは 昔から語り継がれている話であり あながち間違いではなさそうです。ただし 今回被害を出したツキノワグマは たまたま人間を食して その肉の味を覚えてしまい 獲物としてみた場合は 人間ほど捕まえやすくて 食べ応えのある存在は 他にないので 人間がここにいますというアピールは 反ってクマを呼び寄せてしまって危険な行為になる可能性もあるのだそうです。

これまでツキノワグマの被害で死者が出たのは たまたま至近距離でクマと人間が遭遇してしまい クマが驚いて襲ってきた場合が殆どだったそうです。恐怖に駆られての攻撃ですから 殆どの場合はその強力な前足による一撃をお見舞いして 人間が倒れてしまうと そのままクマは逃げ去ってしまう場合が多かったそうです。運悪くその一撃の打ち所が致命的な場合に命を落とされる方が年に数人いらっしゃったのだそうです。

これまたよく噂されている話ですが クマと遭遇したら 死んだふりをしたら襲われないですむ と言う伝説です。確かに死んだふりをして クマとのコンタクトから無事生還した方がいらっしゃるみたいなので 否定はしませんが クマはシカやイノシシなどの死体を好んで食べているらしいのです。元気なシカなどを襲う事は 無理なようですが 老衰やケガで命を落とした シカやイノシシはクマにとっても貴重な蛋白源でしょうから 美味しく頂いているのだそうです。

先程も言いましたが 人間の肉の味を覚えてしまったクマにとっては 生きていようと死んでいようと 人間は美味しい餌であることには違いないので死んだふりをしたからと言って見逃してもらえる可能性は低いのかもしれません。人間なんて 銃や刃物などの武器を使いこなせなければ クマにとっては凄くひ弱であり 腕力的にはかなわないし 走って逃げる脚力でもクマよりは数段劣っているはずですから 元気な状態であろうと 死んだふりをしている状態であろうと クマにとっては五十歩百歩なのかもしれません。クマと接触した時の対処法 等も色々とインターネット上では 賑やかに語られているみたいですが 絶対的な安全策は 残念ながらなさそうに思います。

よく言われる事かもしれませんが 人間が野生動物の生活のエリアを自分たちの都合で狭めているので 運悪く動物たちと接触した時に そのしっぺ返しを食らっているのだ 等と薄っぺらい正義感で物を言うつもりはありません。春には山菜取りや 秋にはキノコ狩り 等に出かけて クマたちと出会ってしまい 運悪く被害を受ける方がいらっしゃるのは 間違いのない出来事です。自然としっかりとふれあい 自然の恵みを美味しく頂くために 少なからぬ人たちが 自然の中に足を踏み入れるのだと思います。

自然の脅威との遭遇を望まない人は そのような場所に近づかなければよいのです。自然に足を踏み入れたとしても 被害に遭うのは 極一部の不運な方々ですから 事前に十分な情報を集めるなりして しっかりと対策を立てておけば 自然とのふれあいは 人間にとって貴重な体験だと思いますので 私は機会があれば しっかりと自然と触れ合ってみたいです。

ブログ一覧