6月22日 先日入院したカラスが無事に飛び立ちました

数日前のブログに書き込んだ門真のとある会館の駐車場で保護されたカラスの事ですが 保護した方が 翌日から実家に帰ったり 就活のため等の理由で 十日間ほど入院と言う形で預かったカラスなのですが 本日の午前中に すっかり元気になりましたので 病院の運動場から大空へと元気に飛び立ちました。保護して連れて来られた時には 眼振が見られましたので 恐らく本人としては目が回った状態で まともに立つこともできなかったのであろうと思います。
幸いなことに 他には外傷らしきものも見られませんでしたし、運動機能にも異常が観察されませんでした。取り敢えずは治療として 脳圧を下げて 脳の受けたダメージを軽くするための治療に加えて 恐らく建物にでも激突したのでしょうから 外傷はなくても 全身打撲の可能性がありますから 痛みや機能障害を軽くするための消炎剤と念のために抗生剤を投与して 様子を見ました。有難い事に 三日も治療を継続すると眼振は収まってしまいました。すると普通に立ち上がって歩き回るようになりました。吐き気もおさまったみたいなので 食欲も戻りました。
最初は内服薬やペースト状にした餌を 注射ポンプでくちばしを開いて流し込んでいましたが 四日目からは自分でご飯も器から食べてくれるようになりました。カラスは極めて賢い鳥ですから これまでに面倒をみたカラスの場合 三日も面倒をみると 少なくともここの人間は自分に危害を加えない 更には栄養のあるご飯を定期的に提供してくれる存在であることを認識してくれますから 懐いてきて 甘えるようなしぐさまでしますから とても仲良しになれました。
所が今回入院した子は 恐らく巣立ちを終えたばかりの 辛うじて独り立ちしたとはいえ 経験に乏しく それに伴う知恵も働かないみたいでした。入院したばかりの頃は 投薬しようとして くちばしを力づくで開かせたのが 悪い印象を与えてしまったのかもしれませんが かなりの力でくちばしを開かされることを拒否していました。やっと開いたくちばしの隙間がとじないように指をこじ入れたのですが 挟まれた指が凄く痛いぐらいに 断固拒否の姿勢を示したのです。
ある程度自分で餌を工面する苦労を経験した成鳥なら 狭いけれども 逆に安全であり 定期的に栄養価の高い餌を与えてもらえる環境に 直ぐに順応してくれるはずですが 経験値の乏しい幼鳥であったためか 残念ながら 全然懐いてくれなくてて 扱いやすくなってくれませんでした。懐いてはくれませんでしたが まだ若い分回復も早かったみたいで 五日目には羽ばたく力も強くなり 直ぐにでも飛び立てそうな勢いでした。
とはいえ恐らく飛行技術が未熟なために 壁に激突して 今回のような事故につながったのでしょうから 十分に体調が回復したことの確認が必要だと思いました。そこで片足にしっかりと十メートルぐらいの長さの 紐をくくりつけて近所の公園で試してみました。予想していたよりもしっかりとした飛行が出来るようでしたので 昨日保護して連れてこられた方に連絡を取りました。野生の鳥ですから 人間との接触は 短いに越したことはないと説明して 病院の判断で自然に帰してやることに了解を頂きました。本日の午前中に お天気も良くて 穏やかな気温でしたので 運動場から放り投げるようにして とびたたせました。
生まれたのは門真の近辺でしょうが 枚方でもうちは かなり辺鄙な田舎にありますので 反って自然に恵まれていて カラスとしては暮しやすい環境だとおもいます。門真で生まれて育った当院とはかなり縁の薄い子のはずでしたが 一週間ほど治療しながら面倒をみて 無事に自然に帰してあげられましたから ホッとしました。景気が悪くて 世知辛い世の中だと思いますが 自分が現在無職で就活中の身の上なのに たまたま見かけた怪我したカラスを放っておけなくて かなりの時間と それなりのお金がかかってしまう事を覚悟して 当院に連れてこられた 優しい若者と出会えたことが嬉しく感じました。只情けなかったのが その若者の優しさを意気に感じて 無料で治療を引き受ければよかったのに 扱い辛そうなカラスでしたし 実際扱いに苦労はしましたが 幾らかの治療と預かり賃を請求してしまったことです。
今後も似たようなケースは 起こると思いますが 連れてこられた方の優しい気持ちを しっかりと受け止めて 出来るだけ治療費などの請求をしないように心掛けようと思いました。

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