当院の場合　混合ワクチン等の予防に対する価格設定が凄く安いうえに　団体割引までありますから　犬を沢山飼っておられる飼い主さんが　結構遠方からもちょくちょくお越しになります。本日も大阪市内から　シーズー１３匹と　ダックス３匹を一緒に飼っておられる飼い主さんが　混合ワクチンとフィラリアの予防のために来院されました。これだけたくさんの数の犬を　大きめのワンボックスカーに　乗せて　一時間以上もかけて　来院してくださいました。

今回は　混合ワクチンだけではなくて　フィラリアの予防も一緒でしたので　簡単にではありますが　勿論手抜きの無い診察をして　フィラリアの検査のために採血をして　ワクチンを注射して　と言うのを十数回繰り返しましたから　結構時間もかかりましたし　初めて診る子の採血ですから　結構神経も使いましたので　かなり疲れました。診察が終わってからも　薬を用意したり　薬袋に記入したり　証明書を作成したりと　奥様と二人がかりで　急いで仕事をしましたが　それなりに時間がかかってしまいました。

来院されてから　お帰りいただくまで　小一時間かかりましたが　数万円稼がせていただきましたから　有難いことです。勿論飼い主さんとしても　他の病院にかかるよりも　半額以下で済んだのでしょうから　ニコニコしながらお帰りになりました。やっぱり飼い主さんを笑顔で送り出すときには　こちらも嬉しくて思わず笑顔になってしまいます。私も勿論犬が大好きですが　自分よりも確実に先に死ぬのでしょうから　その時の事を考えると　積極的に犬を飼おうとはしていません。事情があって面倒を診ざるを得なくなってしまった犬一匹と　猫二匹は面倒をみましたが　やはり亡くなった時にはかなり落ち込みましたから　自分から積極的には飼おうとは思いません。

面倒をみることになった切っ掛けは　犬の場合は　病院の診察時間に　小学生の男の子が二人待合室に入ってきて　「この犬が捨てられていたので　面倒をみてあげてください」と言い残して　立ち去ってしまったのです。ちょうど私は　診察中だったので　直ぐには対応できずに　気が付いたら待合室にその犬がちょこんと座って尻尾を振っていました。

マルチーズ系の雑種みたいで　真っ白でとても可愛らしいので　奥様が直ぐに気に入ってしまって　「ごん吉」と名前を付けて可愛がり始めましたので　暫くは病院で面倒をみることにしました。迷い犬であるのなら　飼い主さんも探しているはずなので　近所の交番や市役所、保健所などに届けを出しましたが　反応がありません。病院で自由にさせていたら　あるときたまたま脱走してしまいました。私はそのまま行方知れずになってしまうのなら　それもその子の運命だと思って探しもしなかったのですが、たまたま家へアルバイトに来ていた女の子が見つけて　抱っこして病院に連れ戻してしまいました。

それから一週間ぐらいして　二度目の脱走事件が起こりました。まあこちらが脱走しやすいように仕向けたのかもしれませんが　それでお別れできればまだそんなに情が湧いているわけでもないので　いつの間にか忘れてしまうだろうと思っていました。所が　通りかかった近所の中学生の女の子が　やはり抱っこして病院まで送って来てくれました。その優しい女の子には　お礼の言葉を十分にかけましたが　その犬の運の強さには参りました。仕方がないので　諦めて飼う事にしました。結局は八年ほど面倒をみて　最期を迎えました。積極的に飼い始めたわけではありませんでしたが　やはり悲しくて泣いてしまいました。ペットの死には　職業柄慣れっこになっていましたが　やはり自分が面倒をみていた動物の場合は　全然違いました。

猫二匹も似たような事情で　仕方なしに面倒を見始めましたが　引き取った犬とも仲良しで　私が暑い盛りに病院の床にマットレスを広げてお昼寝していると　その犬と猫たちが　私の枕元に並んで寝転んでいました。猫たちも幸いなことに病気にはかからずに　老衰で寿命を全うしたようです。やはり何年も面倒をみていると　亡くなった時には　悲しくて涙が流れてしまいました。

そんな事で　私は自分から積極的に動物を買いたいとは思いませんが　沢山のペットに囲まれて　幸せそうな飼い主さんたちを見ていると　とても羨ましい気持ちになります。でも沢山飼っていれば　それだけ確実に沢山の悲しいお別れがあるはずですが　「だから猶更一匹でも多く飼いたくなってしまうのですよ」とある飼い主さんが仰っていました。取り敢えずは　全員でそろってワクチンをうちに来られると言う事は　全員が元気でいてくれていると言う事でしょうから　そんな幸せそうな飼い主さんの笑顔が何時までも続くような　お手伝いが出来たら　私としてもとても嬉しいです。