6月27日 おちんちんが極端に小さなオス猫に尿管カテーテルを挿入しました

午前中の終わりごろに来院された猫が 今の時期には珍しく 尿管結石によるおしっこ詰まりの状態でした。お腹を触ると 膀胱がパンパンに膨らんでいましたから 尿道に結石が詰まってしまっての排尿困難でしょうから カテーテルを挿管して取り敢えずはおしっこの排出を可能にしてからその後どうするか判断していくことを説明して お預かりしました。十二時になったので病院を閉めてから 猫用の尿管カテーテルの挿管の準備を始めました。準備が終わりましたので 取り敢えずは麻酔をかける為に 導入麻酔薬を筋肉注射しました。すぐに大人しくなりましたので マスクを装着して 麻酔を安定させてから 四肢をひもで手術台にあおむけに 固定しました。
まずは腰の下に折りたたんだタオルを分厚くしいて 猫の陰茎がお腹から外側に出来るだけ突出するような姿勢にしました。この体勢になると 普通はおチンチンを包んでいる皮膚を押し込んでやると 自然に猫の陰茎部が 飛び出してくるのですが この猫の場合は 相当に肥満体であったためかもしれませんが 全く陰茎部が突出してきてくれません。ふつうは 包皮から一センチ近くも陰茎部が飛び出しますので 左手の指先で 陰茎をつまんで 右手にカテーテルをもって 尿道口から挿入するのですが 陰茎の先端部が 包皮の隙間からチラッと見えるだけなので 陰茎部をつまむどころか 触れることも殆ど出来ませんでした。
先月同様の処置をしたときの猫も 相当な肥満体でした。私が両手で 包皮を抑え込むと 辛うじて三ミリほど陰茎の先端が飛び出してきました。しょうがないので 私が両手で 何とか陰茎の先っちょを突出させて 固定するので 奥様にカテーテルをもって 挿入してもらいました。奥様は本当に何をさせても器用にこなされるので 上手に挿入してくださいました。所が本日の猫は 本当に包皮の隙間から ちらっと先端が見えているだけなのです。最初はこの状態でカテーテルを挿入する事なんて不可能だと諦めましたが 奥様に取り敢えず先端が見えているのだから 成功する可能性は低いかもしれないけれど 挿管を試みてみれば と言われました。駄目もとでやってみたら 何と奇跡的にカテーテルの先端が上手く尿道口に入ってくれたみたいで一センチほど挿入できました。但しその先に結石が詰まっているみたいでしたから 慎重に水圧をかけました所 何とかその部分を突破できました 数センチ進むとまた詰まっていましたが 今回も水圧をかけて何とか突破出来て 何とかカテーテルの先端を膀胱内にまでもっていくことができました。先端が膀胱内に届きましたので カテーテルから真っ赤な尿があふれ出しました。膀胱に溜まったおしっこを出し切ってから 体温に温めた生理食塩水を膀胱内に流し込んで 膀胱内に溜まっているざらざらとした結石を洗い流しました。ただ膀胱内には まだまだ結石が残っていそうでしたので カテーテルを留置することにしました。カテーテルに付属した装着用の羽根をしっかりとカテーテルに固定して ナイロンの糸で包皮と二針縫い合わせました。
これで何とか 当面の尿排出は確保できました。それにしても駄目もとでやってみたカテーテルの挿入が奇跡的にうまくいきましたので助かりましたが 本当に肥満というのは 命を危険にさらず状態だと痛感しましたので 減量を頑張ろうと思いました。麻酔が切れると 何しろ凶暴な性格の子なので 触れなくなるので キチンとエリカラーを巻いて 猫用のおむつを装着しました。何とか五日間位カテーテルが留置できれば 尿酸化剤などのお薬が効いてくれて 結石が減少し 尿道の炎症も収まってくれれば カテーテルを抜いても何とか自力で排尿できるようになることが期待できます。かなりの暴れん坊の子なので おとなしく治療生活を続けてくれることを心から祈っております。

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