7月14日 暑い盛りに 冬の病気の猫が来院しました

人間にも病気には季節性がありますが ネコの場合夏は割と元気な子が多くて 冬になると命に関わる可能性が高い猫風邪や 膀胱炎の患者さんの来院が増えます。現在猛暑日が珍しくないこの時期に 何と膀胱炎でおしっこが詰まってしまって 命に関わりそうな猫が来院しました。それも深夜になってから電話がかかってきて 昼間出かける前には 普通の状態だったのに 夜になってから 帰ってきて様子を見るとトイレに長時間座って苦しそうの鳴いているが おしっこが全然出ていないらしいとのことでした。
おしっこが出ない状態が三日続いたら ほぼ命に関わりますから おしっこが出ない状態になったのなら 直ちに緊急事態なので すぐに来院してもらいました。カルテを作りながら 事の経過を聞いてみると朝から ひょっとしたら昨夜から殆どご飯を食べていないようなのです。ご飯は常に食べられるようにと置きっ放しで 量が減ったら気付いたものが補充する と言う最悪の給餌法を取っていたみたいなので こんな季節外れの時期に結石による膀胱炎で おしっこが詰まってしまった模様です。餌を置きっ放しにしておくことが 膀胱炎になる大きな要因であることを 丁寧に説明しましたが 「そんな説明よりも 早く診察してくれ」と言われてしまいましたから 今回の膀胱炎が完治したとしても 残念ながら この病気が再発するのは間違いなさそうです。
猫の餌を毎日決まった時間に与えて 決まった時間に片づけてくださいと 話すと 忙しいのでそんな面倒なことは出来ない と答える飼い主さんが時々います。自分たちが朝ご飯を食べ始めるときに餌を与えて 食べ終わった時に 餌の入れ物を片付ける 同様に晩御飯を食べ始めるときに与えて 食べ終わって自分の使った食器を片づけるときに猫の分も片付けるのが 私には簡単な事の様に思えますが その事が命にも関わる病気の予防になるのですから 出来たら習慣づけて欲しい様に思います。
取り敢えず診察すると 膀胱はパンパンに膨れていて 少し触っただけで かなり苦しそうなので とても圧迫して排尿するかどうか調べる余裕はなさそうです。直ぐに預かって 取り敢えずは軽く麻酔をかけて 手術台の上に体を固定しました。かなりおデブな猫なので おちんちんが先っちょの方少しだけしか出てこないので かなりの苦戦が予想されましたが お預かりして麻酔までかけてかけてしまっていますから 今更泣き言を言っている場合ではありません。
普通は おちんちんの部分が一センチ位飛び出してきますので そこを左手の指でしっかりと捕まえて 右手にカテーテルを持って 尿道に挿管を試みますが 何しろおちんちんの先の部分三ミリぐらいしか顔を出してくれませんので 仕方なく先っちょをピンセットで挟んで カテーテルを挿管しました。膀胱に到達するまで三か所ぐらい結石が詰まっていましたので かなり難航しましたが 何とかカテーテルが膀胱に到達しましたので 取り敢えずは溜まっているおしっこを排出しました。温めた生理食塩水を流し込んで膀胱内を洗浄しましたが カテーテルを抜くとすぐにまた詰まってしまいそうなので 留置することにしました。
処置が終わって麻酔を切ってから エリカラーを装着して 点滴に抗生剤や止血剤 消炎剤 利尿剤などを混入して皮下に投与しました。尿道の状態から判断して 五日間位留置しておけば 自力で排尿できるようになるでしょう。夜中に目をこすりながらの作業でしたが これでこの猫ちゃんも今回の膀胱炎は 何とか直ってくれると思いますが この飼い主さんでは 恐らく再発するのは間違いないでしょうから ネコちゃんが可哀想に思いますが 飼い主を選べませんから しょうがないですね。

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