7月16日 農作物を荒らすカラスの撃退に タカが役立っているのだそうです

最近 うちの病院に頻繁にカラスが 連れてこられておりますが その場合はカラスは交通事故であったり 暑さにより体力を消耗してしまって だったりして 被害者 弱者としての来院なのですが カラスにより収穫間際の果物などの農作物の被害は 年々増えているのだそうです。私は 弱者としてのカラスと接する機会が多いので 農作物を荒らす悪者としてのカラスを あまりイメージしたくないのですが カラスは 非常に賢い動物なので 一旦味をしめてしまったら 徹底的に悪さをしてしまうのかもしれません。
生ごみを収集車の回ってくる時間に合わせて 屋外の決まった場所に集めておきますが 生ごみに食物が含まれていることを学習したカラスが 曜日と場所をキチンと記憶しておいて 襲来して荒らすために 生ごみを出す場合 防護ネットをかぶせたり 組み立て式の結構丈夫なかごに集めるようになりました。ネットがしっかりかかっていない場合 カラスが上手にめくりあげて 生ごみを散らかしている場合も ちょくちょくあるみたいです。その為に最近は 組み立て式のかごの中に生ごみを集めるように切り替えられていっているのだそうです。
カラスの記憶力や理解力は 動物の中でも一番賢いのではないかという説もあるほどなのだそうで 農作物 特に熟してとても甘くおいしくなった果物の美味しさを味わってしまうと カラスとしては狙わずにはいられないのかもしれません。生ごみを漁るよりは ずっと美味しいし 確実に食べられますから。カラスは賢いので 入院してもらって 面倒をみていると この人間は自分に危害を加えない むしろ面倒をみてくれる と判断したら 身を任せてくるし 懐いてきたりもしますから 結構可愛らしくなってきたりしますが 大切に育て上げた農作物を それも収穫する直前に 食い荒らされたりしたら 非常に悔しいし 被害も甚大になるのでしょうから カラス憎しの気持ちを強く持たれるのは 当然だと思います。
そこで愛知県大府市で ブドウやナシを栽培している農園の方が タカによる鳥獣駆除を手掛けている会社にタカの派遣を依頼したのだそうです。ニュースの写真を見ると ハリスホーク(モモアカノスリ)と言う小型のタカを 女の子が鷹匠として連れてきている様子が写っていました。小型とはいえ カラスから見たら猛禽類ですから そんなタカが姿を見せた農園には 迂闊に近づかなくなったのだそうで 当面はカラスの撃退効果が上がっているのだそうです。但しカラスは非常に賢い鳥なので 時々タカの姿が確認されても ずっとその農園に存在しているわけではないことを 理解してしまうと タカのいないタイミングを計って襲来してくるようになるのかもしれません。
野生鳥獣との農作物をめぐっての攻防は 大昔から続いていることのようですから 恒久的な解決策というのは 現実には難しいのかもしれません。野生鳥獣としても 美味しくて栄養も豊富でとても魅力的な農作物を狙うのは 簡単にはやめられないのでしょうし 人間が考えて編み出した対策も 初めはそれなりの効果があるのでしょうが いずれは慣れてしまわれて 効果が薄くなることを繰り返してきたのだと思います。農家の方たちが苦労されて育て上げられた作物が大切なのは 当たり前ですが 野生の動物も自分たちの命が懸かっていますから 必死に対応しようとするのは 致し方のないことかもしれません。
モモアカノスリ という小型のタカに カラスを一時的におびえさせる効果は確かにあるように思いますが いざとなった場合 カラスが集団で立ち向かったとしたら タカの方に圧倒的な優位さはないのかもしれませんから この対策もいつまで効果があるのか 疑問符が付くのかもしれません。手塩にかけて育て上げた 農作物のそれも収穫寸前の時期に 商品としての価値を貶められたのでは 残念であり悔しい という感情の問題だけではなくて 経済的な面を考慮すると 生活が脅かされるわけですから 何とかこのタカによるカラスへの対策の効果が長持ちしてくれることを 期待いたしますが 例えば破裂音による脅かしに対して 徐々に驚かなくなってしまった鳥たちの対応力というか順応力には 驚かされるとともに 正直そのずぶとさに感心させられてしまう気持ちもないではありません。
地球上の動物たちが 人間も含めて 皆で仲良く 幸せに暮らせたらよいのだとは思いますが 現実はそんなに甘くありません。私はブドウもナシも大好物ですから 美味しく頂きたい気持ちはありますが 野生の動物たちも 元気に生きていってほしいとも思います。ですから 当院では 野生の動物が保護された時に 治療費の半額は当院で負担させてもらっています。何とか無事に野生の世界に帰って行ってもらいたいからです。なので 野生動物たちを 頭から害獣として 人間の敵として 見られない気持ちが少なからずあります。すべての生き物がウィンウィンになる道筋などあるわけありませんが 農家の方々のお気持ちの方が 同じ人間として理解しやすいので 効果的であり 且長持ちする害獣対策が 早く見つかってくれることを 心よりお祈りいたします。

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