8月15日 ヘビのボールパイソンに事件が起こって 来院されました

午前中に電話が入り 飼っているボールパイソンが 水槽内に置いてある温度計の裏の隙間に頭を突っ込んで抜けなくなってしまっているので 助けて欲しいとの事でした。今朝の未明に気づいたら そんな状態になっていたという話でしたので まだ動ける状態ではあるという話でしたが 何時命に関わる危険な状態になるかもしれませんから 少しでも早く来院するように指示して 電話を切りました。住所は京田辺市の 聞いたこともなりような地名でしたので どのあたりなのか どのぐらい来院するのに時間がかかるのか見当もつきませんでしたが なかなか来院されないので 問い合わせの電話だけで終わるケースが少なからずありますから 今回も来院されないのだと思っておりました。
そうしたら 十一時をだいぶ回ったころに ヘビの入ったケースを抱えた若い女性が来院されました。勿論初診ですから カルテを作って 飼っている環境や 与えている餌について 普段の生活の様子を交えて お尋ねしました。ヘビはは虫類ですから 変温動物なわけで その水槽内の温度管理が大事なので 温度計を生活環境内に置いてあることは珍しくありません。冬場の寒さも心配ですが 現在の猛暑も 気をつける必要があります。取り敢えず どんな状況なのか 見る為に 診察台に温度計に頭を突っ込んだままの状態を明らかにしていただきました。確かに温度計の裏にある 僅かな隙間に しっかりと頭を含めてかなりの長さの部分までが 入り込んでしまって かなり力を入れているのか 硬直してしまって すんなりと引っ張り出すのが 無理だと分かりました。
温度計の本体の材質は 金属ではなくて 幸いにもプラスチックでした。なので爪が伸びすぎて丸まって 指に刺さってしまっているような状態の時に使う ニッパーを持ち出しました。ヘビちゃんの肉体を傷つけないように 注意しながら 温度計の隙間を切り広げて 何とか隣の隙間まで切開できましたので 大きく開口部を広げたら 無事にかなりの長さまで突っ込まれていた頭部を 無事に解放できました。正直こんな作業は 獣医さんのお仕事とは無縁なのかもしれませんが 誤ってニッパーで肉体を傷つけた場合や 固定された状況から解放してあげても ぐったりして動けない状態の場合の対応などは やはり獣医師としての出番があるのかもしれません。
解放されたヘビちゃんの簡単な診察をしました。体重を測り 呼吸の状態などを観察しましたが 異常は見つかりませんでした。結構な長時間 温度計に突っ込んでいた頭部から十センチぐらいの長さまで 皮膚の状態を丁寧にチェックしましたが 擦りむいたりしての損傷などは内容でした。解放されてしばらくは ぼーっとしていましたが 数分が経過すると落ち着きを取り戻して 普段に近い行動をとっていると 飼い主さんから伺いましたので 安心しました。何しろヘビの日常的な状態なんか 飼い主さんにしか分かりませんから 平常通りなのか否かは 飼い主さんに判断していただくしかありません。
兎に角 苦しくて動けない状 かなり長時間続いていたわけですから 精神的にも 肉体的にも 何らかの影響が そこそこの期間続くであろうと判断しましたので 現状を改善するための薬剤を取り敢えず皮下注射で 投与して そして今夜から甘くて飲みやすい内服薬で数日間投与することにしました。薬を調剤して 飼い主さんに渡して 説明を終えると 殆ど十二時に近くなっていました。来院が遅くなったのは 自宅から 最寄りの駅まで結構歩いて 電車に乗って津田駅までやって来て そこから約二十分近く歩いて 来院されたからだとお聞きしましたので 若くてとても可愛らしい女性だったので 助平爺の本性を表して 自宅まで送ってあげようかと申し出ました。飼い主さんとしても 大きな水槽を両手で運んでいるので そこそこ重いし 勿論日傘なんかさせるはずもありません。かなりの時間 電車の前後に歩かねばならないし 勿論電車賃もかかるので 送るという提案を あっさりと承諾されました。
この事は 本当にいつも不思議に思うのですが ヘビやトカゲといったは虫類系の飼い主さんは 若くて可愛らしい女性が殆どだと私の経験上思います。何故は虫類を飼おうと 思ったかという質問をすると この方の場合 今年の四月から 大学に入学したので 1人暮らしを始めて 寂しいのでペットを飼いたいと思ったのだそうですが ワンルームのマンションにお住まいだそうで 原則として犬猫は飼えない決まりなのだそうです。だけれども やっぱり1人暮らしは寂しいので何かペットとして飼える動物を 考えるとは虫類は 鳴かないし 散歩も必要ないので 飼いやすい種類として選ばれるケースが多くなるのかもしれません。
若くてチャーミングな女性だから 送りましょうと申し出ましたが 彼女は今年の春に京田辺に来たばかりで 全然土地勘がないので 慌ててカーナビに住所を入れて 検索して帰り道のルートを検索しました。同志社女子大に通っておられるので 住居は大学の近所なのだそうですが 思っていたよりもずっと遠くからお越しでしたので 結構時間がかかってしまいました。何とか無事にご自宅まで送り届けて 帰途につきましたが 今度は現在自分がどこにいるのか見当がつきませんでしたので 自宅を目的地にして 再びナビで検索して やっとのことで病院に帰り着きました。今後二度と同じような事件が起こらないように 飼い主さんに十分注意していただくようお願いしましたので 似たような事件は起こらないですむでしょう。つぶらな瞳の とても可愛らしいヘビちゃんでしたので 早く元気になられることをお祈り致しております。

 

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