8月30日 小さな動物が 次々にお越しになりました

動物病院の患者さんは 半分以上が犬です。三分の一ぐらいが猫で 残りの一~二割が 主に小動物 例えば小鳥やハムスター 亀やトカゲなどの爬虫類 そしてごくたまにカラスやタヌキなどの野生動物です。本日は 何故か午前午後共に 小さなベットの患者さんが続々とお越しいただきました。まず午前中 一番手で来られたのが 皮膚病のハムスターでした。十日ほど前から 首の周りをかきむしり 今では脱毛してしまって かさぶただらけになっていました。残っている毛を顕微鏡で見ると カビの類が繁殖しているらしいことが分かりました。まあ人間でいえば 水虫のような皮膚病のようでした。かなり搔き毟って 少し出血までしていましたので 抗真菌剤の塗り薬と 抗生剤やかゆみ止めの内服薬を渡しました。
二番目にお越しになったのが 遊ばせているうちにドアに激突して 片足を引きずるようになったセキセイインコがやってきました。触診しましたが 幸いに骨折はしていないけれど かなりの程度の打撲があって 足の付け根から腫れ上がっていました。腫れや痛みを和らげるローションを定期的に塗擦してもらいながら やはり抗生剤や消炎剤を混ぜたシロップを点眼瓶に入れて 渡しました。大人しい子みたいなので 塗り薬も飲み薬も そんなに手こずらせないで 投与できそうなので 小さな紙箱にでも入れて 動き回らないようにしてもらいながら 治療すれば 数日で楽になってくれそうに思います。
続いて 食欲不振の石亀が 来院されました。ここ一週間ほど 食欲がなくなり あまり動かなくなってしまったのだそうです。原因としては 体が少しずつ成長してきたので 十日ほど前に これまでよりもかなり大きな水槽にうつしたのだそうです。もちろん飼い主さんとしては 広くて新しい 清潔な水槽ですから 環境を良くしてあげたつもりなのでしょうが 爬虫類というのは 案外精神的にデリケートで 環境の大きな変化に馴染めない子も 結構います。いきなり 新しい水槽にずっと住まわせるのではなくて 最初は元の水槽で暮らしていて 徐々に新しい環境 大きくて清潔な水槽に馴染ませていった方が 良いのかもしれませんので そのようなアドバイスを差し上げたうえで 食欲を増強する薬をこれまた飲みやすい 甘くておいしいお薬でお出ししました。
今日は小さな動物ばかりやってくるな と思っていたら 嘔吐を繰り返す チンチラが来院されました。チンチラと言いましても 猫の種類ではなくて 耳の大きなネズミの仲間で かなり可愛らしい生き物です。昨日から 嘔吐を五六回繰り返しているのだそうです。原因としては いつものフードがペットショップになかったので 異なるメーカーのフードを三日ほど前から与えたことかもしれない という話でした。ドライフードらしいのですが 粒の大きさがいくらか大きいかもしれない という話でしたので 出来るだけ早くいつものフードを買い求めて 与える事と 今あるフードにお湯をかけてふやかして与えてみることをアドバイスしました。昨日今日全然食べられていなくて 頻回に戻していましたので 皮下点滴といわゆる吐き気止めの薬を投与して 消化酵素を甘いシロップにしてお出ししてみました。嘔吐が続くようなら 明日もまた来院してもらうように話しました。
更には 歯が伸びすぎて ものが食べられないハムスターがやってきました。げっ歯類ですから 歯が爪と同じようにどんどん伸びるのです。硬いものを頻繁に齧っていれば 適当にすり減ってくれて 問題が起こらないのですが やわらかくて食べやすい餌ばかりを与えていると 前歯が擦り減らないで 伸びすぎてしまって この子の場合上下の前歯が前後にすれ違うような向きになってしまって さらに伸びてとうとう口が閉じられないし 勿論満足に食事ができない状態になってしまっていました。とりあえずは ニッパーで前歯を上下ともに 適切な長さに切りました。上下の前歯がうまくかみ合わされれば 適度にすり減ってくれるはずですが 恐らくうまくかみ合わせ出来ないので 今後上下の前歯は 伸び続ける事になるでしょうから 定期的に歯を切る処置が必要になるだろうと思われます。適切な長さにカットしましたから 当面は何とか食事ができるはずですので 何とか食べにくいでしょうが 辛抱して食事してもらうしかないように思います。
最後に ソファーのクッションの下に潜り込んでいて その上から人が座ってしまったために 押しつぶされそうになった 文鳥がやってきました。辛うじて呼吸をしていますが 虫の息なので レントゲンを撮ろうとして準備をしているうちに 息を引き取りました。残念ながら 手の施しようがありませんでした。勿論飼い主さんも悪気はなかったのでしょうが 静かで気配を発しない小動物を部屋に話しているときには よほど慎重に行動すべきだったのかもしれませんし 部屋でフリーの状態にするときには いつもどこにいるのか確認する必要があったのかもしれません。飼い主さんが 泣きながらお帰りになったので 私も意気消沈してしまいました。小動物は 可愛らしいし 診察治療を行うのは 楽しいのですが 小さい分 直ぐに命に関わる場合が多いので 細心の注意を払いながら 丁寧に仕事をする必要があります。最後が残念な形で診察が終了してしまいましたので 落ち込みましたが 気持ちを切り替えて 明日からまた仕事に励もうと思います。

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