9月22日 猫の三大不治の病について

人間にも少なからず現在の所残念ながら はっきりとした治療法が見つかっておらず いずれ訪れる死を待つばかりの病気がありますが 猫にも主に三つ不治の病と言われる病気があります。一つ目は 人間にも同様の病気がありますから よく知られている 猫のエイズです。人間同様に 病気に対する免疫力が 減少してしまうために 普通の人なら免疫力で抑え込まれているような 病気まで発症してしまい 凄く寿命を縮めてしまう恐ろしい病気です。主に猫同士のけんかなどで 感染するケースが多いようです。猫のエイズが世の中に広まった時に 飼い主に伝染することを恐れて 捨て猫が一気に増えたりしましたが これらの病気は 症状が似通っているので 似たような名称がついていますが 人間から猫へまたは猫から人間へ感染する危険性は 全くありませんのでご安心ください。
二つ目に 白血病があります。症状としては 貧血や発熱 腫瘍ができやすくなったり免疫力が弱くなったりします。人間にも同じ名前の病気がありますが 根本的に全く異なる病気です。人間の白血病は 遺伝子の異常から引き起こされると言われていますし 勿論肉体的には大きなダメージを受けてしまいますが 早期にきちんと対処すれば 治療薬によって完治することが期待できます。猫の白血病は白血病ウィルスとの接触により感染する伝染病ですし 有効な治療法がありませんので 発症してしまえば ごく短期間で命を落とす場合が多いと言われています。但し 一度感染しても持続感染状態にはならずに 直ってしまうケースもありますから 検査で陽性判定されても 直ぐにあきらめてしまうのは 早計です。
三つ目の不治の病と言われているのは 伝染性腹膜炎という病気です。原因は 弱毒性の腸コロナウィルスが蔓延している猫の場合 運悪く突然変異が起こってしまうと 強毒性のウィルスに変異してしまい この病気にかかってしまいます。症状は 腹膜炎を起こせば 腹水が貯留するために腹囲が膨満します。元気食欲が低下して ぐったりとして 当然削痩もみられます。但し 発病しないで 突然変異したウィルスを体内で自分の免疫力で駆逐してしまい 直ってしまうケースも多いのだそうです。発病してしまえば 予後不良は間違いないので 勿論感染しないことを よしんば感染しても発病せずに治癒することを祈るしかないのかもしれません。ワクチンはありますが その効果には疑問があると言われていますから 完全な予防法というのは 親猫が検査を受けて コロナウィルス陰性と判定されている環境で生まれた子猫を飼い始めることぐらいしかないのかもしれません。
最近 ノラ猫ちゃんがこれ以上増えないように 確保できる猫は何とか病院まで連れてきてもらって 避妊 去勢の手術を受けさせてあげましょう といった趣旨のチラシを配っておりますので ノラ猫ちゃんの不妊手術が 多いのですが 先日ノラ猫を連れてこられた方が おとなしくて自分になついてくれているので 出来たら手術後 自宅で面倒を見てあげたい とおっしゃります。これまでにも同様の経緯で 八匹ほど飼っているので 雄雌二匹増えても構わないからなのだそうです。
私ものらちゃんたちとせっかく縁があって うちの病院で手術させてもらいましたから 出来たら人間に面倒を見てもらう生活に馴染んでもらえて その後連れてこられた方に面倒を見てもらえれば 猶更ノラ猫ちゃんが減るので そんな展開を期待していますが 抜糸まで十日間面倒を見ても 全く人間を完全に拒否する子も多いのです。所が 今回手術した子たちは二人とも 私にも直ぐになついてくれましたので 今後面倒を見てもらえそうで嬉しく思っておりました。所が 連れてこられた方が 不治の伝染病であるエイズの感染を凄く恐れておられて これまで引き取った子たちも 飼い始める前に血液検査を受けて 陰性であることを確認しているので この子たちも検査をしてほしいと依頼されました。
うちの場合 エイズの検査キットは 同時に白血病の検査もできる形式のものなので おまけに白血病も検査しました。結果は 二匹ともエイズは 陰性でしたが 白血病が陽性でした。この結果は まだ飼い主さんにお知らせしていませんが どうしたものかと 考えてしまいます。飼い主さんとしては 取り敢えずエイズという病気を心配されて 検査を望まれたのですが おまけのつもりで検査した白血病に二匹ともかかっていることが判明したのです。連れてこられて これから面倒を見ようという気持ちになっておられるのに そこに水を差すような報告をしなければならないので 複雑な心境です。勿論正直にその結果を押しらえしますが 見た目もとても可愛らしいし 人懐こい性格の猫ちゃんたちなので 是非連れてこられた方に 今後面倒を見てあげていただきたいのですが どう判断するかは その方の気持ちで決まりますので これまでの猫とは隔離した状態で面倒を見てあげるべきなのかもしれませんし、 そもそも現在うちにいる八匹の猫たちも 白血病の検査は受けていないので 検査をしてみたら 陽性という結果が出るのかもしれません。
まあ私が 同行意見を言える立場ではないようなので 客観的な立場から 獣医師としてアドバイスさせていただく事しかできません。何とかこの子たちが 面倒を見てもらえるような展開になってくれることを 心より期待しております。

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