1月13日 早朝に来院された ハムスターが殆ど治療する間もなく息を引き取りました

当院は ペットの緊急事態に出来るだけ治療させていただきたいので  電話をかけていただいたら 深夜でも早朝でも可能な限り対応しようと思っております。今朝 まだ暗いうちに電話がかかってきました。ハムスターは夜行性の動物ですから 普段なら夕方から起きだしてきて 一晩中活動するのだけれども 昨夕から 巣箱から全然出てこないので 心配していたけれども 一晩様子を見ていたのだそうですが さっき巣箱から取り出してみたら 呼吸の間隔が大きくて いまにも止まりそうなので 直ぐに見てほしいとのことでした。
直ぐに来院してもらい対応しました。朝の一番冷え込む時間なので 受付と診察室の暖房のスイッチを入れて 小動物の診察をするための準備をして 待機しておりましたら かなり急いでこられたらしくて 予想していたよりも早く駆けつけてこられました。まずはカルテを作りたいので 飼い主さんにいろいろとお尋ねしたいのですが 今にも呼吸が止まってしまいそうだという事で 取り敢えず診察室に入っていただき 診察を始めました。年齢はまだ一歳位なのだそうですが ここの所食欲が落ちてきていて かなり痩せてきていたとのことでした。
まずは体重を量りましたが 通常の体重の半分ほどしかありませんでした。いわゆる骨と皮ばかりの状態ですから ここ数時間で急に体調が悪くなったのではないのかもしれません。呼吸がいまにも止まりそうな状態でいたので 手術室に移動して 小動物用のマスクをかぶせて 人工呼吸を始めました。それでも呼吸が戻りそうになかったので 呼吸を促進する薬を注射で投与してみて 更に人工呼吸を続けてみましたが 回復の兆しが感じられません。聴診器を当てると 心拍数が通常の三分の一ぐらいしかないし その拍動自体が微弱で いまにも止まりそうな状態でしたので 心臓の拍動を促す薬を注射で投与して 心臓マッサージを施しましたが 心臓の活動はみるみる停止していき やがて心停止の状態に至りました。
来院されてから ほんの数分の出来事でした。生まれたばかりの犬猫は 体重が数百グラムしかないものもあります。ハムスターや小鳥などの 小動物は 成獣になっていても 体重がほんの数十グラムしかないものも珍しくありません。本日来院されたハムスターも たとえ大人であっても ほんの数十グラムしかありませんから生まれたての犬猫の十分の一以下しか体重がありません。ましてや本日来院した子は 通常の半分ぐらいしか体重がありませんでしたから 何も異常を示していなくても 生きていくのに心配な状態だったのかもしれません。
人間でも大人の場合 体調に異常が現れても 一日二日様子を見て 回復しないようであれば 病院にかかっても 間に合うのかもしれませんが 赤ちゃんそれも生まれて間もない新生児の場合 普段と異なる状態が そのまま命に係わることも珍しくないのかもしれません。ですから小さな動物の場合 本来持っているはずの体力自体が 極小さいので 些細な異常が起こっただけでも 命が危険にさらされている場合も少なからずあるのだと思います。ですから 面倒を見ている動物が小さければ小さいほど のんびりと様子を見ている暇などないと 知っておかれた方がいいように思います。本日来院した子にしても 元々栄養状態が凄く悪かったこともありますので 本来もっと早い段階で 病院にかかる必要があったように思いますが せめて昨夜 いつもと違って元気がなかったことに気づいたときに すぐに病院に来て 治療を始めれば あるいは元気になってくれたのかもしれません。
人間の場合も そうですが 大したことがないのに 病院にかかってしまうのは 面倒だし 余分な出費につながるのかもしれませんから ある程度様子を見られることも 致し方ありませんが 小動物の場合 犬猫を飼っていらっしゃる方以上に その子のごく小さな異常が 命に係わるサインである可能性が少なからずありますので 見逃さないように心掛けて 機敏に対処してあげていただきたいと思います。

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