10月21日 久し振りにモモンガを診察しました

モモンガと言う動物名はご存知の方が多いと思いますが どんな大きさでどのような姿をしているのか すぐにピンとくる方は少ないのかもしれません。本日来院したモモンガは 手のひらに乗るぐらいの大きさで 体重はなかなかじっとしてくれないので正確には計測できませんでしたが おおよそ30グラムぐらいだと思われます。リスのように毛がふさふさで 顔だちはサルとキツネの親戚の様です。深夜の十二時を回ったころに電話がかかってきて 布製の巣箱を自分でかじって ほつれた糸に足が絡んでしまい 身動きできない状態なので助けて欲しい とのことでした。初めて耳にした状況なので どんな様子なのか見当もつきませんでしたが 取り敢えず来院してもらいました。
来院された様子を観察すると 結構分厚い布でできた袋状の巣箱の内側で右後ろ脚の先端の部分が 布の繊維に絡まってしまって かなり締め付けられているみたいでうっ血して腫れ上がっていますし ひょっとしたら絡まった繊維を自分の口で食いちぎろうとしたためか 外傷があり出血までしていました。細かい状況を確認しようとしますが かなり痛みを伴っているのか その辺りを触ろうとすると極度に興奮して 咬みついてきますので かなり厄介な状態でした。
取り敢えずは 邪魔なので 足に絡んでいる部分を残して 巣箱を取り外しました。直接患部には触れないように気を付けましたが 相当に大暴れしてくれました。何しろ深夜の事ですから 看護士さんもいませんから 飼い主さんに体をタオルにくるんで 保定してもらいました。この時に注意しないと あまりきつく圧迫してしまうと 呼吸が出来なかったりして緊急事態になりますから しっかりと保定してもらわなければなりませんが 程々の力加減を求められますので 慎重に作業を進めました。
なんとか巣箱自体は取り外せましたから 今度は飼い主さんの一人が上半身を捕まえてもらって もう一人に大腿部を握って足先を動かないように保定してもらいました。抜糸用の先の細いハサミとピンセットで 少しずつ足に絡んでいる繊維を除去していきました。この頃になるとこの子も諦めたのか 体力が尽きてきたのかわかりませんが 結構大人しくしてくれていました。慎重に作業を進めて 足に絡んでいる繊維を全部除去きました。かなり締め付けがきつかったみたいで うっ血して腫れ上がっていました。
指が一本他のものよりもずっと伸びきって宙ぶらりんの状態になっていましたから 指の骨自体が遊離してしまっているのかもしれません。その先端から出血していましたから ひょっとしたら自分で咥えて引っ張ってしまったのかもしれません。回復しても どのような状態に落ち着くのかは 予想がつきませんが 取り敢えずは消毒して 腫れをひかせる薬と抗生剤を塗りました。完全に元の状態に復帰することは難しいと思いますが 歩くのには不自由しない位の状態には戻ってくれると思います。
取り敢えずは足先の処置をしてから 消炎剤と抗生剤を注射しました。甘くて美味しいシロップの飲み薬と消毒薬と塗り薬を渡して治療を無事に終えました。何しろ小さな生き物は 体重がほんの数十グラムですから 人間の数百分の一しかありません。人間にしたら些細なダメージかもしれませんが このサイズの動物にしたら 致命的であることも珍しくありません。こんなひどい状態になれば 不機嫌になり暴れまくるのも致し方がないのかもしれませんから 異常に気づいたら出来るだけ早く病院に出かけられることをお勧めします。 

ブログ一覧