11月22日 死にかけの子猫を高校生の男の子が連れてきました

 八時少し前にもう病院を閉めようと準備をしている時に 高校生の男の子が二人やってきました。一人が一匹ずつ手に小さな子猫を抱いていました。話を聞くと学校帰りにスーバーマーケットに寄り道したら その駐車場にダンボールに入れられて子猫が捨てられていて 四率いるうちの二匹はすでに呼吸をしていなかったそうです。かろうじて生きている二匹も体が冷え切っていて虫の息なので見殺しにできなくて 取り敢えず病院へ連れてきたのだそうです。
 診察室で様子をみると確かに体が冷え切っていて体温計が反応しないくらいに体温が低下していて本当に死ぬ一歩手前の状態でした。生後一か月ぐらいかもしれませんが栄養状態も凄く悪くて骨ばっているガリガリの状態でした。何もしなければあと数時間で命がつきそうでした。連れてきた高校生に今後面倒をみる気がるのか尋ねると 一人は両親が猫アレルギーなので飼えそうにないとの事で もう一人が取り敢えず貰ってくれそうな人をさがすが見つからなければ二匹とも自分の家で飼うつもりだと答えました。
 まずは冷え切った体を温めるためにドライヤーの温風に当てながら体をさすってあげました。しばらく温めるうちに鳴き声に元気が出てきました。目は目ヤニだらけで瞼が開かなかったので お湯で湿らせた脱脂綿で目やにを落としてあげて やっと瞼が開くようになったので抗生剤と消炎剤の目薬を頻繁に点眼しました。濃いめに作った猫用のミルクに砂糖を加えてカロリーを高くして 十分に温めたものを哺乳瓶に入れて飲ませると余程空腹だったみたいでチューチューと元気よく吸い始めました。あまり慌てて飲むと 気管に入りむせてしまうので ゆっくりと慎重に飲ませました。
 体がかなり温まってきたので だいぶ活発に動き始めました。元気も出てきたし 食欲も旺盛みたいなので取り敢えず一安心です。目薬も頻繁にさしたので目も開いたままの状態で生命力が感じられるようになってきました。念の為にしっかりと温めた点滴とともに抗生剤や消炎剤を背中の皮下に流し込みました。後は、十分に暖かくして目薬や飲み薬を適切に投与すれば、二三日でかなり元気になるでしょう。
 面倒をみてくれる人をさがしても現実にはかなり難しいと思いますが 連れてきた男の子達が割としっかりしていて責任感もありそうだし 死にそうな子猫を見殺しにできなくて病院に連れてくるすごく優しい気持ちの持ち主であったことに 凄く私も嬉しくなりました。 勿論無料で 目薬や飲み薬 数日分のミルクを渡して帰ってもらいました。女の子なら死にそうな野良猫をほっとけない子もいるでしょうが 無精ひげの伸びた男の子でそんな優しい気持ちの子がいるなんて この世知辛い世の中も捨てたもんじゃないと嬉しくて温かい気持ちになれてよい一日でした。 

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