12月20日 今年一番心残りな出来事

日大アメフト部の選手が行った 危険タックルのその後の流れが 今年一番残念な出来事だったように思います。私は軟弱な文科系の混声合唱団に所属していましたから 偉そうなことは全然言えない事を自覚しているつもりですが そもそも大学の体育会系の部活動が 私が学生だった頃も 現在でもいわゆるパワハラパラダイスであるのは 間違いない様に想像します。人間なんて 元来自分に甘い生き物ですから 一流の強い運動部では 凄く厳しい上下関係のピラミッドが 完成されているのは 当然すぎる事かもしれないのであろうと思います。
私は何も絵にかいたような 純粋なスポーツマンシップが存在しているなんて 青臭い勘違いをしているつもりはありません。昔ラグビー部で頑張っている友人から聞いた話ですが 例えば自分が左ひざを痛めているとしたら 右ひざにサポーターをはめて試合に臨むのだそうです。ボールを持って突進するときに 当然相手側はタックルして 前進することを阻止しようとしてくるわけですが その時にはサポーターを巻いている足の方にタックルを受ける場合が多いのだそうです。相手が怪我している方の足をわざわざ狙うような 姑息な考え方ではないのかもしれませんが 反射的に弱っている足にタックルした方が 突進を止めやすいであろうと本能的に判断するからなのか 真剣にラグビーに取り組んだことがないのでわかりませんが 結果的には サポーターをした方の足をタックルされるのは致し方のない事かもしれません。
使い古された言葉かもしれませんが 「強い方が勝つのではなくて 勝った方が強かったと評価されるのです」から 遮二無二勝つことを目指すのは スポーツを真剣に取り組んでいれば当然の考え方だと思います。今回の日大の選手が犯した反則も たまたま録画されていた映像が 巷に流されてしまったから 大問題に発展してしまったのです。もしあの映像が 録画されて 巷にばらまかれていなければ アメフトと言う選手同士が密接にコンタクトし合うスポーツのゲーム中に起こった 不幸な偶然による一反則行為として見過ごされていたのかもしれない出来事なのです。
今回はたまたま暴露されてしまった 日大アメフト部の勝つためにはどんな卑怯な反則行為も許されるという 恐ろしいポリシーが 偶然に発覚してしまっただけの事のように 私は思います。そして発覚してしまったことをきっかけにして その行為を行った選手がとんでもない勇気を振絞って 記者会見の場で その真実を暴露したことに マスコミが飛びついたので 大きく問題視されるようになっただけの事のように思います。私は 反則行為を絶対に逆らえない状況下で命令されたとはいえ 危険な反則行為を犯してしまった選手をほめたたえたくはありませんが 記者会見で自分の犯した行為や その時の気持ち等を全て告白して きちんと謝罪したのですから そこからの行いは凄く立派であり 尊敬に値する人物だと思います。
私が腹立たしく思うのは その選手の試合後に行った 素晴らしい行為に対して 直接反則行為を命じた一番の元凶である監督とコーチが 一切責任を認めないで 見苦しくも足掻いている事と その元凶どもに対して 厳しく対応しない日大の経営陣への不快感が凄く強いです。かなり時間を経過してから 役職の名称は立派なのに 立場が監督よりも下っ端である学長と言うのが登場してきて 形ばかりのおざなりな謝罪をしていた事も非常に不愉快でしたが 結局は日大のトップに君臨する化け物が 一度も公の場には登場して 謝罪するのか開き直るのか どちらでもいいけれど 取り敢えずは人前に顔ぐらい出すのが 人としての最低限の礼節だと思いますが 頑として一度も人前に登場しなかったことが 今回の最大の不愉快な出来事です。
この日大のトップに君臨し続けている怪物は これまでにも何度も似たような問題を起こしてきているのだそうです。マスコミに取り上げられて世間の知るところになったのは たまたま今回の事件が初めてなのだそうですが これまでの世間に走られていないだけの大問題が起きた時も 結局は人の噂の七十五日 と言う極ごく簡単な理論で乗り切ってきたらしいのですが 今回の大問題も結局はこれまでと同じ対応法で 世間がいつの間にか忘れ去ってしまってくれて 責任者としては全く何の対応もしないままに乗り切ってしまうことが 腹立たしくてしょうがありません。
可哀想なのは アメフト部で頑張って練習を続けている選手たちです。結局今シーズンは 公式戦に参加できませんから 自動的に来年は トップリーグ落ちしてしまいます。日大クラスになるとアメフト部で目立つ活躍をして 就職していく選手も少なからずいたはずですから その子たちの人生設計まで醜い大人たちの卑劣極まりない行為によって狂わされてしまったようで とても可哀想に思えてしまいます。
不愉快な出来事の炎に油を注ぐような行為が 監督やコーチたちが全く反省する態度を見せずに 偉そうに自分たちの受けた処分に対して 反論する姿勢を見せている事です。そして最後に不愉快の極みだったのが 第三者委員会が日大首脳部に 非がありと 判断しているのにもかかわらず 大学の運動部の実態について全く何もわかっていない警察が 一体どこの誰に対してどの様な意味合いで忖度したのか知りませんが 日大側に責任はないので 監督コーチの責任は問わないと判断してしまったことです。
昨今の法曹界を描いたドラマで「99.9パーセント」と「スーツ」と言うのがありました。この中で 描かれていたのは 日本で犯罪が行われると警察が事件の捜査をして 犯人を特定し捕まえて 起訴するに足る証拠を集めます。その先の段階として 容疑者が検察に送られて 起訴されるかどうか判断され 起訴されれば裁判にかけられます。99.9パーセントと言うのは 一旦起訴されてしまうと 裁判にかけられて 有罪の判決を下される確率の数字です。つまり一旦起訴されてしまうと 殆どの事件が間違いなく有罪と判断されているのが 現実なのです。つまり検察は 絶対に裁判でひっくり返されない事件だけを起訴するのです。逆にもしかしたら無罪と判決されてしまう可能性がそこそこある事件はほぼほぼ間違いなく不起訴処分と判断されてしまうのです。裁判にかけて 白黒はっきりさせる機会すら与えられずに お終いになってしまうのです。つまりかなりの数の悪い奴らが 不起訴処分即ち無罪放免されているのだと思います。
今回の日大アメフト部監督が下した選手への命令も 周囲の状況証拠は間違いなくクロを示しているのかもしれませんが 裁判官がクロと判断するような決定的な証拠が存在しないので 検察に持ち込むことの前の段階で 白旗をあげてしまったとしか 考えようがありません。警察の言い分は「反則が行われたその瞬間を 監督が自分の目で見ていない」ので監督が命令したとは言えない と言う訳のサッパリわからん理由をあげています。監督にしたら いざと言う時のアリバイ作りに 反則が実行されるタイミングは熟知しているはずですから わざとその行為が見えない状況を作ることなど簡単な作業でしょう。
それから その反則行為が行われた時に 凄く危険な行為であると判断されていたのなら 即刻レッドカード 一発退場の処分を受けているはずなのに 審判がそのように判断していないから その反則行為が大して危険な行為ではなかった 等と全くアメフトと言うスポーツを理解していない事から来るとんでもない勘違いの判断です。審判はあくまでもボールが存在するスペースに全神経を集中しています。ボールを投げ終わったクウォーターバックの動きなどは 一切見ていないのは当然です。反則を受けた選手にしても ボールを投げる瞬間までは 集中して緊張してプレイしているはずですが ボールが手を離れた瞬間から 自分は役目をはたして ステージを降りたと判断して 気を抜いて 緊張感もなくしているはずで その瞬間にタックルを受けるのが どれだけケガをしやすい危険な反則行為か 全くわかっていない人間の判断であるように思います。
警察にも 当然アメフトの経験者もいる筈でしょうから 監督が反則行為を行われる瞬間を目撃していないようにこうどうする事なんて簡単なはずだし ボールを投げ終わって 一旦注目されない場所 いわば楽屋で起こった反則について審判の目が届かなくて きちんとした判断が出来なかったことは 日大側に責任を問えない事と判断することが無茶苦茶な事であるのは分っていたはずですが 逆にはっきりクロと証明することが いかに難しいのかもよく分っていたので 恐らく波風を立てて自分たちの責任が追及されることを恐れたのかもしれませんが 日大側の責任を認めなかったのだと思います。
この事件は たまたま反則行為のその瞬間が撮影されて巷に暴露された事と その反則を実行した選手の 勇気ある行動によって 恐ろしい悪巧みが白日の下にさらされたのですが 結局は今回の事件の元凶であるアメフト部の監督もコーチも全く反省していなくて かえって開き直っているし 日大の責任者はいつものパターンで 時間がたてば人は忘れてしまうという法則に従って 難なく責任逃れをしてしまうし 警察も腰抜け野郎どもの集団で 波風立てずに終わらせようとしかしないことが 明らかになった事で 現在の日本の腐りきった現状が少しだけ明らかになった事件だったと思います。
結局は 圧倒的多数派の国会議員に担がれた 総理大臣が やりたい放題の事をしても周囲の人間が自ずと忖度してしまって 問題なしと判断される日本を象徴しているようです。まあ世界に目を向ければ 香港の民主化運動も みんなの注目が無くなるまで何にもしないでほったらかしにしておいて みんなが忘れ去ったタイミングを見計らってデモ隊を強制撤去させた中国政府を責める声が全然上がらないのですから この世の中 結局は大きな権力に逆らえないのは致し方のない事かもしれません。 

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