5月28日 トイプードルの帝王切開の手術をしました

夕方に来院されたトイプードルが 昼過ぎに破水したのに 出産が始まらないという事で来院されました。他の病院でレントゲンは撮ってもらって胎児が四匹と確認されていて なんとか骨盤を通りそうなので 自然に出産できるだろうと言われていたのだそうでした。出産を促進する薬を注射して様子をみましたが 生まれてくる兆候さえ感じられませんでした。

しょうがないので八時に病院を閉めてから 帝王切開の手術を始めました。胎児が四匹なので 取り上げた子犬の面倒をみるのに奥様だけでは手が足りないので 飼い主さんにも手伝ってもらう事にしました。トイプードルですから母犬自体がかなり小さいですし その子犬となると凄く小さいはずですから 麻酔をできるだけ浅くして手術を始めました。

お腹を正中線に沿って切開しました。直ぐにパンパンに膨れた子宮が飛び出すように現れました。探さなくてもよい分助かります。子宮の一番出血の少ない部分を 切開して一匹目の胎児を取り上げました。奥様に手渡すと タオルで体液に濡れている体を拭き取りながら全身をマッサージします。何しろ小さな胎児でしたし、どうしても多少は麻酔薬が胎児にも影響しますから 最初の呼吸をするまで心配でしたが、直ぐにミイミイと子猫のような鳴き声を発してくれました。

続いて二匹目の胎児を奥様に手渡しました。奥様が飼い主さんに手渡して 同様に体を拭いて全身をマッサージして呼吸を促すように指示しました。飼い主さんは慣れない手つきで不安そうな表情を受けべながらも 支持されたとおりに胎児の体をさすっていると またミイミイと泣き始めました。続いて三匹目、四匹目も同様にして取り上げて 飼い主さんの中学生の娘さんに手渡されました。娘さんたちも不安な表情でしたが 直ぐにミイミイと元気に泣き始めたので とてもホッとして そして嬉しそうに胎児を抱いていました。

胎児を取り上げ終わると子宮の収縮を促進する薬を投与してから 子宮を腹腔内に戻して 縫合して手術を無事に終えることが出来ました。麻酔を切って意識を取り戻した母犬の傍に子犬を四匹もどしてあげると さすがはお母さんで胎児を舐めはじめて 面倒を見始めました。無事に初乳たっぷりと飲んでくれたので 部屋を暖かくして 様子をみました。

明日の朝には ちゃんとお母さんとしての自覚も芽生えて一生懸命に子犬たちのあ面倒を見始めるでしょう。帝王切開の手術は何故か夜に行われることが多いので 慣れてしまいましたが 胎児の状態など心配事が多いので できたら昼間に手術したいです。まあ今回の手術は全員が元気に蘇生してくれましたが 全く呼吸できない胎児いわゆる死産が多い時には 自分の落ち度ではないと分かっているつもりですが やはり落ち込んでしまいます。この四匹が無事に成長してくれて 二か月目にワクチンを射ちに来てくれた時が 苦労が報われたようで凄く嬉しいです。

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