6月23日 1907年の本日 夏目漱石のデビュー作「虞美人草」の新聞連載が始まりました

夏目漱石の作品としては 小学生の時に「坊ちゃん」「吾輩は猫である」中学生の時に「心」等を読んでいましたが 高校生の頃に漱石のデビュー作を読んでみたいと考えて 本屋さんで取り寄せてもらって購入して この「虞美人草」と言う小説を読んだ記憶があります。もう四十年以上も前の事ですし 正直 男女の縺れた恋愛関係がテーマの作品でしたから 漱石がこの作品で何を主張したかったのかなど 全然理解できませんでした。明るく楽しい場面が殆どなかったので 頑張って最後まで読み通しはしましたが その後この本を手にすることはありませんでした。

同じ時期に 私は石坂洋二郎さんの小説を沢山読みましたが こちらは若い男女の恋愛をモチーフにしていることでは共通していたのかもしれませんが 明るくて爽やかで とても楽しい描写が多かったので 石坂さんの作品は その後も何度も繰り返し読みなおしましたし テレビドラマや映画で何度も映像化されましたので そちらの作品も繰り返し見ましたので ずっと鮮明にストーリーも登場するキャラクターも覚えています。

私は 自分がどうせもてない男ですから 男女間のドロドロとした縺れた展開のドラマは好きではありません。好きになったら 一途にその思いを貫いて 相手にその気持ちが通じて受け入れてもらえれば お付き合いするし 通じなければ潔く諦めるような恋愛をしたいと考えておりますので 男女間の駆け引きや 状況を見極めて上手に対応を変化させたりするような類の恋愛は嫌いだし そんな状況を描かれた小説や映像は見たくもありません。

ただ夏目漱石が デビュー作を 新聞小説 と言う形 つまりどんどん書き下ろしていく形態で発表していることが 凄いとは思います。勿論作品として発表するのですから その物語のきちんとした結末まで 頭の中で出来上がっていたのでしょうが 書き下ろして発表してしまったものは 後から訂正したり手直ししたりできないのです。書いている最中に 新しいもっと面白くなりそうな構想や展開を思いついても キャラクターの性格や設定を 変更したり微調整したりすることが 難しいはずです。この小説の場合 主要な登場人物は 七八人しかいませんし結末は決定しているわけですから 途中から大きな変更などはありえないのでしょうが やはり頭の中にある構想を 実際に文章化していく過程で 微妙な変化が起こるのは 致し方がない事のように思います。

それまでに何度も色んな形で作品を発表していたのなら 経験値で上手い事 その辺りの変化に対応できるのかもしれませんが デビュー作ですから 書き進めるうちに 最初の構想に変化が生じなかったのか それとも変化が生じてこのストーリーに落ち着いたのかは 分りませんが 不自然さを全然感じられないのは 流石漱石先生だと思います。

私はこのブログで ある人物をけなそうと思って 書き始めたのですが いろいろな情報を入手しながら書き進めているうちに 分末では褒め称えている なんていうことが しょっちゅうありますから 私がこのブログで偉そうに発表している意見が いかに薄っぺらいものかお分かり頂けると思います。情けないしお恥ずかしいので 本日はこの辺りでお終いに致します。

 

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