7月29日 ノミだらけのワンちゃんが来院しました

夕方に来院されたポメラニアンが ノミがウジャウジャ寄生していました。飼い主さんはノミが沢山いぬに寄生している事に気付かないで 最近やたらと痒がるという事で 来院されました。皮膚の状態を確認しようと 毛をかき分けてみたら 一度に十数匹のノミを確認しました。初めて犬を飼われた飼い主さんで 犬の皮膚に寄生するノミやダニについての知識が全然なくて ペットがいなければ今どき 殆どノミやダニと身近に感じることがないのかもしれません。

でも飼い主さんの腕を見ると ノミに刺されて 相当な被害を受けているみたいです。「自分の体が痒くはなかったのですか」と尋ねると 凄く痒かったので皮膚科の病院を受診したが アレルギーの可能性を示唆されただけで 薬を貰って飲んでいるが改善していないとの事でした。ノミに刺された後を見て アレルギー性の病気と診断するのは かなりのやぶ医者かもしれません。

但し、ペットを飼っていなければ 今どきの日本人の生活で あまりノミとの接触の可能性はありません。ペットを飼っているかどうかを確認すれば たやすくノミに刺された後だと診断できたように思いますが、原因が分からないのでアレルギーによる症状だと診断されたのだと思います。犬猫の皮膚病でもアレルギー性の皮膚炎と診断されるケースは珍しくありませんが アレルギー性の疾患と診断する場合 アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)の確定までできて 初めてキチンとした診断になります。

アレルゲンを特定するのには 血液検査や アレルゲンと想定されるものを一つずつその動物と接触させて反応するか否かを慎重に判定していかなければなりません。皮膚の状態を見ただけでアレルゲンを特定せずにアレルギー性の皮膚炎と診断された場合は その診断は全くあてにならないと考えてよいと思います。アレルゲンを特定しないでアレルギー性疾患と診断するのはその医師が皮膚病の原因が全く分からない場合です。ただ正直に原因が分からないとこたえるのがはずかしいので アレルギーだと逃げ口上で診断しているだけでしょう。

アレルゲンを特定しないで アレルギーと診断された場合は 人間であれ動物であれ 速やかに別の病院に行かれることをおすすめします。話が大分横道にそれましたが その飼い主さんの場合はペットのノミ駆除をきちんと行えば 速やかに飼い主さんの皮膚への被害も 消失していくことと思われます。この飼い主さんの場合は初めて犬を飼われたので この季節に公園などへ散歩に連れ出していたら かなりの確率でノミに寄生されて 先ずはその犬自身が 続いて飼い主さんまでもが被害を受けるのは 極当たり前の事であることをご存知なかったのもしょうがないのかもしれませんが 基本的な事なので事前に勉強して 知っておかれるべきだと思いました。

ノミを駆除する力が確実であり 副作用の心配の殆ど無いノミ駆除役を処方しましたから明日には そのペットはノミの殆どいない状態になると思います。但し 散歩に行けばまた新しくノミに寄生される可能性はありますし 相当数のノミが寄生していましたから 相当に沢山のノミの卵が 家の中にばらまかれているはずで、油断はできません。卵は条件が揃えばふ化して幼虫になりまたペットに寄生します。ノミ駆除薬は一月で効果が消えますから ひと月ごとに寒くなるまで投与することが必要だと思います。

一旦家の中にノミに侵入されると かなり面倒で厄介なことになりますから 来年からは ノミの寄生を予防されることをおすすめしてお帰りいただきました。

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