8月30日 深夜時間外に患者さんが三人もいらっしゃいました

うちは動物病院を営んでいますから ペットが病気やケガをしたときに来院して頂いて お仕事が始まります。勿論フィラリアの予防や ワクチンの接種で来られる場合で 健康な状態でお越しいただくことも少なくありませんが 基本的には ペットが困った時 心配な状況になった場合に来院されるわけです。勿論ペットがけがをしたり病気になったりすることを期待しているわけではありませんが そんな困った事態に なるべくいつでも対応させて頂ける病院を目指しています。
ですから時間外 例え深夜や早朝であっても お電話を頂きましたら 出来るだけ対応させていただくように心がけているつもりです。昨夜は一人目の方が十時を回ったころにお電話を頂きました。夕方ごろから 嘔吐と下痢を繰り返していて 現在はぐったりしているのだそうです。嘔吐物と下痢便を持って 来院して頂くことにしました。割と近所の方でしたから 急いで病院におりて 恐らく血液検査と便検査はするでしょうから その準備をして カルテに分っていることを記入して 診察室と待合室の照明を点灯してエアコンのスイッチを入れて 患者さんを迎える用意を整えてから シャッターを開けて到着を待ちました。
かなり慌ててこられたみたいで 急ブレーキを踏む音が聞こえて車が病院の前に停まりました。チワワを抱っこした飼い主さんが降りてこられましたので 先ずは下痢便と嘔吐物を預かって検査を始めてから カルテを作り始めました。年齢やこれまでの病歴 今夜の詳しい病状などを手短に尋ねてから 診察室に入ってもらいました。かなりぐったりしていて心音もゆっくりになっていましたし体温も低下していましたから かなり危険な状況であることを伝えました。取り敢えずは採血して血液の検査を行う事にしました。 何しろチワワでも小柄な体格の子でしたし 血圧も低下していそうだったので いつもよりもさらに細い針を使用して 辛うじて検査に必要なだけの量の採血を行い ただちに検査を始めました。
血液検査の手順をこなしている途中で 二件目の患者さんからの電話が入りました。夜の散歩で仲の悪い犬とすれ違った時にかなり興奮してしまった直後から ぜーぜーと呼吸が苦しそうで心配だと言う事でした。高齢犬だったので 直ぐに来院してもらう事にしました。二件目の患者さんを受け入れる準備だけして 血液検査の作業に戻りました。検便の結果も出たころに血液検査の結果も全項目判明しましたので 両方の結果を結果用紙に記入して 飼い主さんに説明しました。その途中で二件目の飼い主さんが到着されたので 取り敢えず受付をして カルテに必要事項を記入してもらって待っているようにお願いしました。次の患者さんが見えましたので 出来るだけスムーズに検査結果を説明して 分ったこと 必要になる治療のやり方と手順 等を飼い主さんに話しました。取り敢えずは脱水していますから たっぷりと皮下点滴を入れてあげて そこに肝臓のダメージを回復する薬や整腸剤 抗生剤などを混入して投与しました。何しろ小さな犬でしたから 割と短時間で治療が終わりました。飲み薬を急いで準備して 投与法を説明して渡して お会計をしてから お帰りいただきました。
続いて 二件目の患者さんの診察に入りました。状況から心臓病が疑われていましたが かかりつけの病院では 心臓については何も言われたことがなかったのだそうです。 取り敢えず聴診器を胸にあててみると 真雑音だけが大きく聞こえてきました。心臓弁膜症のそれも重症であることが直ぐにはっきりとわかりました。いつもの病院では聴診器さえあててもらったことがないのだそうで そんなやぶ医者に通うのは考え直すことを勧めました。とは言ってもかなり遠方の方でしたから 当院に通う事は勧めませんでしたが 心臓病でありますから一時的に治療すれば治ってしまうような状態ではありませんから 最低限基本的な聴診をしてもらえる病院を探すように話しました。
血圧を測定したところ 普通なら高血圧が想定されますが 収縮期血圧も拡張期血圧も 凄く低い測定結果が出ました。要するに心臓の機能が低下してしまって 血液を拍出する力が弱まってしまっている状態 簡単に表現すると心臓が弱って停止しかけている状況でした。取り敢えず採血して検査して腎機能や肝機能をチェックしましたが その辺りにはそれほど異常が認められませんでした。しかし緊急を要する状況でしたので 静脈に留置針を装着して 静脈から 直接強心剤などの薬を投与しながら酸素室での治療が必要だと判断しましたので そのように説明すると 飼い主さんが理解して頂けたみたいで 酸素室での入院を了解されました。腕の静脈に留置針を装着して点滴に薬を混入して 投与を始め 酸素室を準備してその中で預かることになりました。
かなり差し迫った状況でしたから 酸素室でお預かりして 静脈から強心剤や利尿剤などを投与するのがベストな治療であると判断して 初めてのそれも結構遠方の患者さんでしたが 入院して頂きました。一応最善と考えられる治療をしても 明朝まで心臓がもってくれる可能性は五分五分位であることを説明しましたが 連れて帰った場合には助かる確率がかなり低下してしまう事を理解して預けて頂きました。私を信頼して任せて頂きましたからには 何とか元気な状態になって退院して頂けるようにベストを尽くすつもりでおります。入院の書類を説明している時に三限目の患者さんから電話が入りました。
室内で遊んでいて椅子から転げ落ちて後ろ足を浮かせてしまっているのですぐに見て欲しいとのことでした。
相当に心配されている様子でしたので 来院して頂くことにしました。二件目の飼い主さんがお帰りになって一息つく間もなく 三件目の患者さんが来院されました。右後肢がびっこをひいているとのことでしたが 来院されるまでに時間薬が効いたのかもしれませんが 症状は多少改善されているみたいでした。カルテを作ってから診察室に入っていただきました。先ずは普通に床を歩いてもらいましたが 確かに右後肢を地面につけないように浮かせて歩いていました。診察台で触診しましたが 特に腫れ上がったり熱を持ったり 極端に痛みを訴える個所も見つかりませんでしたから 少なくとも骨折などの骨の損傷や 靭帯断裂や 関節の脱臼等の重大な怪我ではないことが分りました。事実左足を持ち上げてみると 痛いはずの右足でなんとか体を支えることは出来ていました。
恐らく打撲の類であろうと判断できました。この状況ではレントゲンを撮っても 血液検査をしても 明確な異常は発見できる可能性が低いと判断しましたので 取り敢えずは抗生剤と消炎剤を注射で投与して様子を見ることにしました。
一応飲み薬を5日分を出しましたが 出来るだけ狭い場所に閉じ込めてしまって なるべく歩き回らないように 出来るだけ右後肢に負担をかけないで過ごせる環境を作ることが回復への近道だと説明しました。極端な事を言えば 朝夕に投薬するときに水と食事を与えて それ以外はほったらかしにしておくのが最善だと説明しましたが まあ小さな子供さんが何人もいらっしゃるみたいなので ほったらかしには出来ないでしょう。心配して様子を見に行くと 犬も反応して立ち上がり動き回ろうとするでしょうから それだけ回復が遅れてしまいそうです。でもそれほど重症ではなさそうなので 何とかそんな環境でも痛めた右後肢はいずれ回復してくれると思います。
三件目の飼い主さんが帰られた時には一時を回っていましたから 時間外にきっちり三時間もお仕事をしました。かなり疲れましたが 先日エアコンが壊れて想定外の出費がありましたが その分は今夜だけで稼げたみたいですから 有難いことだと思います。

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