小鳥の世話をするときの小さな疑問をお寄せ頂きましたので、まとめてお答えしておきます。

(1)殻つきの餌とムキ餌のどちらを与えるべきでしょう?
(2)餌を数日分まとめて与えてもかまいませんか?
(3)ヒトの食べ物を与えても良いですか?
(4)小鳥には胃が三つあると聞きましたが本当ですか?
(5)冬は寒そうなので、お湯で水浴びをさせてもよいですか?
(6)小鳥は寒さに弱いので保温することはよく言われますが、暑さに対してはあまり注意する必要はありませんか?
(7)手乗りにして飼う場合は、羽根を切った方がよいですか?

(1)
殻つきの餌を与えられる事をおすすめします。理由は、殻をむいて食べる行為が鳥の自然の中で食事に近い行為ですし、ある意味 暇を持て余している鳥にとって殻を剥く行為はストレスの発散になるかもしれません。勿論、殻を剥いた直後の方が新鮮でビタミン、ミネラル等の栄養価も高い(例えば、玄米と白米の違い)事もあります。但し、掃除の手間はふえますし、殻だけが餌入れにたくさんあって まだ餌を補充する必要がないと勘違いしてしまう心配があります。ですから、餌と水の交換は必ず毎日行い、餌入れにいれる餌の分量は一日分+アルファにしましょう。
(2)
(1)でお答えしたように原則として餌と水は毎日交換し、出来れば籠(ケージ)の掃除も毎日してあげましょう。数日分をまとめて餌入れに入れると、混合飼料の場合 鳥にもある程度好き嫌いがありますから、自分の好みの種子ばかりを先に食べて嫌いな種子が残り、摂取する栄養のバランスが悪くなる可能性があります。毎日餌の交換をすれば食欲の増減が直ぐに分かりますし、毎日掃除をしていれば、便の状態や回数等の異常にも早目に気付いてあげられます。(同一ケージで複数を飼育していれば正確には分かり難いかもしれないけれど、毎日注意深く面倒をみていれば、段々早目に気付いてあげられるようになるみたいです)小鳥は、身体の異常が解かりづらいし、何らかの症状が現われた時には命に関わる場合が少なくありませんから、普段の面倒をみる中で細かな異変、食欲や便の異常に出来るだけ早く気付いてあげて、対処してほしいです。
(3)
一昔前の「小鳥の飼い方」的な本には小鳥にヒトの食べ物を与える事はそれ程悪い行為ではないような表現もあったように思いますが、最近ではヒトの食べ物を与えるとそのうの中で腐敗して、「そのう炎」を起こす原因になるので一般的に与えないように指導されていると思います。犬猫でも同様に、ヒトの食べ物は明らかに健康に有害ですから 与えないように飼い主さんにお願いしていますが、一旦その習慣が身につくとなかなか止めるのは難しのが現実です。飼い主さんはよく「欲しがるのでついつい与えてしまう」と言い訳をされますが、与えなければ欲しがりもしなかったはず、と言う事に早く気付いていただき、犬猫で約十五年、小鳥は数年と言われる短い寿命ですから,健康によくない習慣はなるべく早く止めて少しでも長生きしてもらいましょう。
<そのう炎>
小鳥には、食道が変化してできた「そのう」と言う器官があります。食べ物を一旦溜め込んだり、雛に与える「そのうミルク」を作る場所です。そこで細菌や真菌が感染したり、トリコモナスという原虫が寄生したり、食べ物が腐敗したりして炎症を起こす病気を「そのう炎」といいます。症状としては、飲水量がふえて嘔吐やあくび、軟便等がみられます。治療は、そのう検査により原因を確認して、それに応じた治療を行いますが、この検査は体力の落ちている小鳥にとっては大きなストレスになりますので実施せず抗生剤の投与から治療をスタートする場合もあります。
(4)
小鳥には(3)で説明した「そのう」と腺胃、筋胃の部分がありますから、それを三つの胃と称する事もあるようです。腺胃とは、胃液を分泌する胃つまり人間の胃と同じ働きをする場所です。筋胃とは歯を持たない鳥が、食べ物をすり潰すために中に砂粒を溜め込んだ胃です。塩土(えんど)や焼砂を与えるのはこの筋胃に砂をためる為です。
(5)
小鳥の羽に水をはじき 身体を守る為の油分やホルモンが分泌されていますが、お湯を浴びてしまうと洗い流されてしまいますから、返って水分が身体にしみ込んで風邪をひいたりし易くなります。ですから、水浴びにお湯を用いる事は厳禁です。
(6)
小鳥の飼育についての本やホームページをみると確かに 必ずと言っていいほど冬の寒さに対して「夜は籠に布をかけましょう」とか「暖房器具で28~30度に保温しましょう」と書いてあります。(籠に布をかけるのは、小鳥を落ち着かせる為でもあります)ところが、夏の暑さに対しては殆ど触れられていないようです。しかし、亜熱帯化が進行している日本では、風通しの悪い部屋なら直射日光があたらなくても室温が30度を大幅に上回る事は珍しくないようです。そして、体重が人間の千分の一以下の小鳥達が人間より簡単に熱中症にかかり、その少なからずが命を落としている事を御存知の方が意外に少ないようです。人間がいれば、鳥にとっても丁度いい室温が自然に保たれていると思いますが、留守にされる時にはくれぐれも室温の変化に注意してあげてください。
(7)
やはり一昔前の小鳥の飼い方としては、手乗りにする場合、例えば家の中で飛び回って壁に激突したり、換気扇に吸い込まれたり、窓から飛び出して迷子になる事故を未然に防ぐ為に風切り羽根を切ることをすすめていたようです。ところが現在は、籠の中での落下事故を防ぐ為に羽根を切らないよう指導されているみたいです。羽根を切るメリットとデメリットのどちらにも正当性がありそうで、正直申し上げて私はどちらが正しいか判りません。飼い主さんが小鳥を飼われる環境について熟慮された上で納得してどちらかを選択されれば良いのではないでしょうか。

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