よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

  • 親戚の家で生まれた雑種犬の子犬を貰い受けて、飼いはじめました。「フィラリアの予防は必ずして欲しい」と言われましたが、フィラリアとはどんな病気で、どんな予防をすればよいのですか?


    フィラリア(犬糸状虫)とは、主に犬の心臓に蚊を媒介として寄生する20~30cm位の素麺状の虫で、フィラリアに寄生される病気をフィラリア症と言います。フィラリアが寄生しても、最初は殆ど無症状ですが、徐々に血液の循環が悪くなる為、ゼーゼーと咳き込んだり、散歩の途中で動けなくなったり、食欲はあるのに段々体重が減少したりします。更に病状が進むと、呼吸困難、腹水の貯留、四肢の浮腫等が表れ、死に至る恐ろしい病気です。
    フィラリア症の予防は、蚊に刺されないように注意するのも ひとつの方法かもしれませんが、現実的にはかなり難しいことですから、感染の恐れのある時期に予防薬を投与することになります。予防薬としては、毎日若しくは月に一回の内服薬、月に一回の滴下薬、年に一回の注射薬等があります。当院としては、月一回の内服薬と、同じく月一回の滴下薬が安全で確実そして経済的なのでお勧めしています。


  • 生後5ヵ月のポメラニアンを飼っているのですが、先日歯が抜けて出血していました。全く変わった様子も無く普通にしていますがケガ又は病気ですか?治療が必要で しょうか?


    犬にも人間と同様に 乳歯と永久歯があります。乳歯は生後3週間位から12週間位の間に大体前から奥へと生え揃います。但し、乳歯の存在期間はとても短くて、順調なら生後6ヶ月位までに全て抜けて 永久歯に生え変わります。ですから、生後5ヶ月位の子犬であれば乳歯が抜けていく時期ですから、順調に発育しているとのではないかと思います。飼い主さんが犬の口を開けて確認してみてください。恐らく、細くて頼りなさそうな乳歯と太くてしっかりした永久歯が混在していると思います。
    むしろ、心配なのは6ヶ月を過ぎても乳歯が残ってしまう状態(乳歯遺残症)です。
    噛み合わせが悪くなったり、歯が重なって生えたり、歯垢が付き易くなり歯周病などの原因になったりします。生後8ヶ月位まで様子をみて、まだ残っているようなら病院で抜歯してもらうことをお勧めします。


  • 家の犬(雑種、10歳)があくびをしたときに気付いたのですが、上の右側の奥歯が左側より2本少ないのです。これは、抜けてしまったのでしょうか、それとも、奇形でしょうか?


    犬には乳歯と永久歯があります。乳歯は、上下とも左右に切歯が各3本、犬歯が各1本、臼歯が各3本、合計28本です。永久歯は、上が左右に切歯各3本、犬歯各1本、前臼歯各4本、後臼歯各2本、下が左右に切歯各3本、犬歯各1本、前臼歯各4本、後臼歯各3本、合計42本です。お宅の犬の歯の数を上下左右とも数えてみてください。奇形という可能性もあるかもしれませんが、年齢から推察すると歯周病などが原因で既に何本か抜けてしまった可能性が高いでしょう。残っている歯の状態、歯茎の状態等によっては、今後どんどん抜け落ちる危険性もありますから、なるべく早く病院で診察を受けて、適切な処置をされたほうがよいと思います。


  • 「猫は避妊の手術をすると太る」と、聞きましたが本当ですか?


    猫も犬同様 卵巣を摘出する事により、各種ホルモンの分泌バランスに多少の狂いが生じます。その為に、表面的な現象としては 一時的に(数週間から長くとも数ヶ月)食欲がそれまでよりも亢進します。この時期に動物の要求に応じて食事の量を増やしてしまうと当然体重が増加してしまいます。ですから、飼主さんが、この食欲は体内のアンバランスによるものである事を理解していただき、可愛そうですが今までどうりの食事量で辛抱してもらってください。そうすれば太ることは無いと思います。しばらくすれば、また今までの食事量で満足してくれるようになると思います。どうしても、食事量が足りなくて辛そうであれば、同カロリーでも量の多いフード(ライトフード等)を一時的に利用されてもいいと思います。


  • 熱射病になったら、どんな処置をすればよいのですか?


    まず、体温を下げる為、涼しい場所で風に当たらせてください。出来れば体に少しずつ水をかけたりゆっくりと水を飲ませてあげてください。呼吸が苦しそうなら、酸素吸入器を使用しましょう。酸素吸入器は、スポーツ用品店等においてあるもので十分ですから、熱射病や心臓病が心配な飼い主さんは、常備されることをおすすめします。以上の処置をしながら、かかりつけの病院に連絡して、速やかに治療を受けられた方が良いと思います。


  • 生後三ヶ月の子猫をオス、メス一匹ずつ飼う事になりました。避妊と去勢の手術はいつ頃すればよいでしょうか?


    生後六ヶ月位で体の成長は止まります。即ち肉体的に、そして性的にも成熟しますから避妊や去勢の手術はそれ以降にされたら良いと思います。六ヶ月未満で手術すると、身体の発育が不十分になる場合があり、特にオス猫は尿道が十分に発達せず尿石症等に罹り易くなる心配がありますから気をつけてください。但し、六ヶ月を過ぎればメス猫はすぐに発情して即妊娠、という可能性もありますからあまりのんびりもしていられませんよ。
    尚、「犬や猫は、一度 生理や発情もしくは出産を経験してから避妊した方が良い」等という説があるようですが あまり医学的には根拠は無いと思います。


  • 外耳炎の治療をしても、よく再発するのは何故ですか?再発を予防する方法はありますか?


    細菌、カビの増殖による外耳炎の場合、治療しても細菌、カビを全滅させるわけではありません。ある程度減少させれば、自分の免疫力で増殖を押さえて健康な状態を維持できるはずです。ところが、体質的に耳の免疫力が弱い場合、例えば体力を消耗した時や、細菌、カビの増殖しやすい条件(高温、多湿等)のそろった時に、再発しやすくなります。体質を変えることは難しいので、予防対策として、こまめに耳垢や臭い、痒がる仕草の有無をチェックしましょう。耳の穴に毛がはえていたら、抜いて風通しを良くしてあげましょう。もし、治療薬が残っていても、予防的に使うことは、薬が効かなくなる場合がありますので、やめてください。
    ダニによる外耳炎の場合、治療の目標は寄生しているダニを最後の一匹まで殺すことです。治療が中途半端だと、生き残ったダニが再び増殖するので最後まで続けましょう。耳ダニは、感染源の動物との接触によりうつされたわけですから、その感染源と再び接触しないように努力することが、重要な予防対策でしょう。


  • 3歳のシーズー(雄)を飼っていますが 夏頃から両耳とも繰り返し綿棒で掃除しているのに すぐに汚れてすごく臭いのですがどうすればよいでしょう?


    以前に耳の病気について説明したときにも書きましたが、普通健康な犬の耳はあまり耳垢がこびりついたりして汚れません。勿論 耳の皮膚でも新陳代謝により耳垢はできますが、健康な耳の中は適度に乾燥していますから たまに首を左右に振ることにより飛散してしまうので特にこびりついて汚れたりはしません。
    しかし、細菌やカビ、ダニ等により炎症が起こると浸出液によってジュクジュクした状態になりますから そこに耳垢がこびりついて汚れ、匂いを発生します。恐らくさかんに首を左右に振ったり耳を掻いたりしているのではないでしょうか。
    直ちに病院へ行って外耳炎の治療を受けてください。経過が長いので、慢性化していて治療には時間と労力を要するかもしれませんが頑張って完治するまで続けましょう。治療が終了すれば耳の匂いも自然と無くなっていると思います。
    但し治療が終わっても細菌やカビを完全に死滅させたわけではありませんから、体質的に耳道内の細菌やカビに対する免疫力の弱い犬は再発するする可能性が低くありません。ですから、時々耳の状態をチェックしましょう。
    体質的に毛深い犬は耳の穴の中にも毛が生えてきますから 抜いて風通しをよくしてあげましょう。指で摘まんで抜けると思いますが、難しければ犬用の毛抜きがありますから試してみてください。
    もし、汚れていても綿棒で掃除をする事はおすすめ出来ません。場合によっては耳垢を中へ押しこんだり 炎症の起こっている粘膜に更にダメージを与えるかもしれないからです。
    繰り返し申し上げますが、もし犬の耳が汚れていたら必要なのは適切な治療であって、綿棒等による耳掃除ではありません。


  • 1才の柴犬を飼っていますが、動物病院からワクチンの時期を知らせるハガキが届きました。予防注射は子犬の時期を過ぎても必要なのですか?


    飼い主の皆さんは、犬を飼い始めた時それなりに勉強されて例えば躾についてとかワクチンやフィラリアの予防について等のいろいろな知識を身につけておられますが、一年もたつと当然なのですが、忘れてしまったり、うっかりされるている事も少なくないのではないでしょうか。
    ですから当院でも混合ワクチンの接種時期にはハガキでお知らせしています。最初にワクチンを接種するときに、どうして一月間隔で二回接種するのか(二重免疫効果と言って一生続く高い免疫効果を得る為)とか、何故一年間隔で追加免疫が必要なのか(予防効果は接種後数週間でピークに達して約一年でかなり低下してしまう為)について、私なりに一生懸命説明させて頂いているつもりですが、どの程度飼い主さんが理解して一年後まで覚えて頂けているのかあまり自信はありません。
    前置きが長くなってしまいましたが、前回接種されたワクチンによる免疫効果は全て失われたわけではありませんが、かなり低下しているはずですからこの時期にもう一度接種されますと、またこれから一年間安心して過ごせると思います。
    そして、久しぶりに病院で簡単な健康診断のつもりで体重や体温、眼や耳、歯、皮膚や爪等の状態をチェックしてもらえば、気付かずにいた病気が見つかるかもしれませんし、生活習慣などについてのよきアドバイスが得られるかもしれません。
    言葉で身体の異状を表現できない動物のために病院へ行く良い機会だと思って頂ければ嬉しく思います。


  • 柴犬(生後4ヶ月、メス)が 近所の病院でニキビダニ症と診断され、「治療は費用が高額で一生続く」と言う理由で「安楽死」をすすめられました。何か他に方法は無いのでしょうか?


    まだ若い年令でいきなり安楽死をすすめられては、さぞびっくりされたことと思います。以前は、そういうケースもあったそうですが、現在では当院でも数匹、全国では多数の犬がこの病気と戦っています。但し、このダニは本来皮膚に常在しており犬の体質や免疫力の低下等によって痒みなどの症状が現われる病気ですから、この戦いは ダニを完全に駆逐しての完治ではなくて、この病気と上手にお付き合いして うまくコントロールし 少しでも快適な生活を目標とします。
    治療費については、その犬の症状や健康状態による違いもありますが、病院によってかなり差があるようなので十分に事前確認をされた上で納得して始められればよいと思います。
    具体的な治療は、ダニの減少を目的とする駆除剤の投与(内服、注射、皮膚への塗布、薬浴)と 二次感染と痒みの軽減を目的とする抗生剤と消炎剤の投与が主となりますが、本人への負担と飼い主さんの手間隙も相当長期にわたることを覚悟して始めてください。
    ペットも家族同様に寿命を全うする権利を持って生まれていると思いますから、飼い主さんのご苦労は一方ならぬ物と思いますが是非頑張ってください。