よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

犬の歯について


  • 14歳のヨーキーを飼っていますが、現在殆ど歯が残っていません。それなのに、ドッグフードは柔らかい缶詰より、硬いドライフードを好んで食べます。歯が無いのに硬いフードを与えても大丈夫ですか?


    犬の歯には、切歯、犬歯、臼歯の3種類があります。人間の場合、基本的に前歯は食いちぎる役目を果たし、奥歯が飲み込める状態になるまで、噛み砕きすりつぶす役目を果たしています。ところが、犬の場合は、切歯、犬歯が食いちぎる役目を果たし、臼歯は硬い食物、例えば骨等を飲み込める大きさに噛み砕く役目を果たします。即ち、犬は、人間のように奥歯ですりつぶしたりかみこなしたりせず、食物が飲み込める大きさになれば そのまま飲み込んでしまいます。硬いドライフードを犬が食べているときにカリッと歯にあたる音が聞こえることがありますが、これはたまたま飲み込むために口を閉じるときに歯にフードが当たっただけでしょう。
    ですから、歯があまり残っていなくても、硬いフードを好んで食べて、特に嘔吐や下痢を起こさないのであれば与えても構わないと思います。


  • 家の犬(雑種、10歳)があくびをしたときに気付いたのですが、上の右側の奥歯が左側より2本少ないのです。これは、抜けてしまったのでしょうか、それとも、奇形でしょうか?


    犬には乳歯と永久歯があります。乳歯は、上下とも左右に切歯が各3本、犬歯が各1本、臼歯が各3本、合計28本です。永久歯は、上が左右に切歯各3本、犬歯各1本、前臼歯各4本、後臼歯各2本、下が左右に切歯各3本、犬歯各1本、前臼歯各4本、後臼歯各3本、合計42本です。お宅の犬の歯の数を上下左右とも数えてみてください。奇形という可能性もあるかもしれませんが、年齢から推察すると歯周病などが原因で既に何本か抜けてしまった可能性が高いでしょう。残っている歯の状態、歯茎の状態等によっては、今後どんどん抜け落ちる危険性もありますから、なるべく早く病院で診察を受けて、適切な処置をされたほうがよいと思います。


  • 生後5ヵ月のポメラニアンを飼っているのですが、先日歯が抜けて出血していました。全く変わった様子も無く普通にしていますがケガ又は病気ですか?治療が必要で しょうか?


    犬にも人間と同様に 乳歯と永久歯があります。乳歯は生後3週間位から12週間位の間に大体前から奥へと生え揃います。但し、乳歯の存在期間はとても短くて、順調なら生後6ヶ月位までに全て抜けて 永久歯に生え変わります。ですから、生後5ヶ月位の子犬であれば乳歯が抜けていく時期ですから、順調に発育しているとのではないかと思います。飼い主さんが犬の口を開けて確認してみてください。恐らく、細くて頼りなさそうな乳歯と太くてしっかりした永久歯が混在していると思います。
    むしろ、心配なのは6ヶ月を過ぎても乳歯が残ってしまう状態(乳歯遺残症)です。
    噛み合わせが悪くなったり、歯が重なって生えたり、歯垢が付き易くなり歯周病などの原因になったりします。生後8ヶ月位まで様子をみて、まだ残っているようなら病院で抜歯してもらうことをお勧めします。


  • 5歳のダックスフントですが、歯が茶色くなって強い口臭がします。歯磨きをすれば治りますか?


    歯が茶色くなっているのは歯石が付着していて、口臭が強いのもその為だと思われます。歯石は、唾液中のミネラルと歯垢が結びついて石灰化し、歯の表面に沈着したもので、一旦ついてしまったら一生懸命歯磨きしても効果は無いので、人間と同様 病院で除去してもらうしかありません。麻酔をかけての処置になる場合が殆どですから、どこの病院でも 一度診察を受けて、全身状態をチェックしてもらって予約してから、といった流れになると思います。歯の治療は、自分の事でもつい先延ばしになりがちで、ましてや可愛がってはいても犬の事となると尚更かもしれませんが、あまり放置されますと歯周病になり多くの歯を失うことにもなりかねませんから、是非早めに処置してあげてください。
    尚、一度処置しても、歯石は又すぐに付き始めますから要注意です。歯垢を除去するには、歯磨きがある程度有効ですが、犬は大抵嫌がるでしょうし、乱暴にブラッシングをすると、かえって歯茎を傷つけてしまう場合も多いので よほど大人しい犬にしかお勧めしません。指にガーゼ等を巻きつけて、数日に一度 歯の表面を拭ってあげる方が、犬もそんなに嫌がらず安全で効果的かもしれませんので、お試しください。歯石の付きにくいフードが販売されていますが、効果はありますから食べさせてみてください。

犬の脱毛


  • 9歳のゴールデン(雌)が今年の春頃に 首筋から背中にかけて左右対称に脱毛が始まり だんだん広がっています。全く痒がらず かさぶたも無く 皮膚はきれいな状態なので、近所の病院では様子をみるよう言われ 何も治療していません。夏頃から、大好きだった散歩も嫌がるようになり 昼寝ばかりしているのも心配です。何かアドバイスをお願いします。


    痒みを伴わない左右対称の脱毛の場合、内分泌機能の異常が原因かもしれません。元気が無くなり昼寝ばかりすることも考え合わせると甲状腺機能の低下による脱毛の可能性が高いように思いますし、そうであるなら甲状腺ホルモンを投与すれば2~3週間である程度効果がみられるかもしれません。
    一つの病気に対して、幾つかの病院で診察を受けると、同じ診断結果が出るかもしれないし 異なる場合もあると思います。そして同じ診断結果が出ても 病院によって治療方法が異なり その効果に違いが出るケースは結構あると思います。
    ですから、かかりつけの病院で診察を受けても 病状があまり改善しない状態が続くようであれば、他の病院にとりあえず電話で相談されたら良いと思います。きちんと話を聞いてくれて、丁寧にアドバイスしてくれる病院であれば一度診察を受けてみられることをおすすめします。(今回は メールでご質問頂きましたが、細かいことが確認できないと なかなか具体的なアドバイスは難しいので、電話をおすすめします)
    但し、病気特に皮膚病は、治療の効果が目に見えて現われるのに時間がかかる場合が多いので、ある程度粘り強く治療を継続してください。すぐに諦めて病院を転々とするのは時間と費用の無駄になる事が多いと思います。


  • 7歳のポメラニアンを飼っていますが、昨年と今年の夏に犬の美容室で涼しくて快適だからとすすめられて 全身を短くカットしてもらいました所、秋になってもあまり毛が伸びてきません。大丈夫でしょうか?


    犬は毛の生え方、伸び方で 人間の頭髪のようにどんどん全身の毛が伸びる種類(プードル、シーズー、マルチーズ、ヨーキー、シュナウザー等)と 人間の眉毛のように一定の長さまでしか伸びず どんどん生え変わる種類(柴犬、ゴールデン、シェルティー、コーギー、ポメラニアン等)に分かれます。
    前者のタイプは、毛をかなり短く刈り込んでも皮膚にそれ程ダメージを受けるケースは少ないようです。ところが、後者のタイプは短く刈り込むと 紫外線などにより皮膚特に毛根がダメージを受けて、生えてくる毛が非常に短く細くなったり 張りやツヤが無くなったり、色素が脱落して白髪のようになったりする場合があります。更に数年のうちにご質問にあるように あまり生えてこなくなる場合も少なからずあるようです。
    飼い主さんは、夏場に涼しそうで ブラッシング等の手間も省けるので喜ばれるようですし、美容室さんは鋏で全体をカットするより バリカンをあて そろえるだけで簡単に短時間で仕上がるので すすめられる場合も多いようですが、犬の皮膚の健康を考えると決しておすすめできるスタイルではないように思います。
    ご質問の犬の皮膚の状態をみてみないと解りませんが、薬剤や皮膚のマッサージ等で回復する場合もありますから、諦めずに病院で診察を受け 治療をしてあげてください。


  • 5歳の雑種犬が一年位前から手足の先端や顔 特に目と耳の周囲にかさぶたが出来て非常に痒がり 舐めたり噛んだり掻き毟ったりして、脱毛が始まりどんどん広がっています。近所の動物病院で半年ほど前に診てもらって 塗り薬と飲み薬を使っていますが あまり効果は無いように思います。何か対処法はありませんか?

    かさぶたが出来て非常に痒がり脱毛が広がっていること、その部位が四肢端や目耳の周囲から始まっている事から推察すると、疥癬ダニによる皮膚炎が疑われます。患部の皮膚を少し削り取って顕微鏡でそのダニを確認できれば確定診断できると思います。もし、疥癬症であればダニを殺す薬剤の定期的投与と皮膚の状態を改善するための抗生剤や消炎剤の内服により約一ヶ月で治癒する場合が多いと思います。ですから、病院で皮膚のかきとり検査を受けられる事をおすすめします。


  • 生後6ヶ月の柴犬(雌)を飼っていますが 脇腹から背中にかけて脱毛が始まりました。以前飼っていた犬も若い頃から全身性の脱毛と痒みで しばらく動物病院へ通って 多少は症状が軽くなった時期もありましたが 結局は完治せず、凄く辛くて可哀そうな日々を過ごしました。この子も同じような人生をおくらざるを得ないのでしょうか?


    犬の脱毛は皮膚病の症状の一つで 犬の種類や年齢 性別、発症する部位や季節等によって 起こりやすさや治り難さが異なる場合がありますし、その原因は非常に多岐にわたります。代表的な脱毛の原因をいくつかあげてみましょう。
    1)寄生虫(ノミやダニによる外部寄生、フィラリアや鈎虫による内部寄生)
    2)細菌やカビの感染
    3)必要な栄養素の不足(亜鉛欠乏など)
    4)内分泌機能の異常(性ホルモンの過剰や不足、甲状腺機能の低下、副腎皮質機能の上昇など)
    5)食物、金属、繊維などに対するアレルギー(アトピー)
    6)精神的或いは肉体的なストレス
    他にもまだいろいろありますし、いくつかの原因が同時に又は継時的に関与して脱毛が起こる場合も少なくありません。そして、原因は全く異なるのに症状は非常に類似しているケースも多いようです。ですから、皮膚病の診断は原因が間単に特定できる場合もありますが、 幾つかの原因を想定して可能性の高いものから治療しながら診断していく場合も少なくありません。即ち 診断がついて治療効果があがるまでにかなりの時間と労力を要する場合も多いわけです。特に脱毛の場合、皮膚が正常に戻ってから 実際に毛が生え始めるのを確認できるまでには更に時間がかかります。ご質問頂いた方の犬について 詳しい事が解りませんので具体的なことはお答えできませんが、この様な事情をよく理解していただいて、粘り強く治療を継続されることによりきっと解決できるとおもいます。勿論、体質的な病気で 完治を期待できない場合もありますが、それでも生活環境や食餌を気をつけること等により、少しでも快適に暮らしていける方法は必ず見つかると思いますので、諦めずに頑張ってください。

犬の心臓病


  • 12才の雑種(去勢済み)を飼っていますが、先日かかりつけの病院で「弁膜症という心臓病なので、一生薬を飲み続けなければならない。」と 言われました。病気と薬について 具体的な説明を求めましたが、曖昧にしか答えてもらえませんでしたので、どんな病気にどのように治療するのかを 教えて頂けませんか?


    心臓が拡張と収縮を繰り返して 静脈から血液を吸いこみ 動脈に送り出して血液を体内で循環させるポンプである事はご存知だと思いますが その血液の流れをスムーズにする為に心臓の各部屋(左右の心房と心室)と血管との接続部分に弁があり 血流の逆流を防いでいます。その弁に異常が生じて血液の逆流が起こっている場合、心臓弁膜症といいます。特に重要なのが左心房と左心室の間にある僧帽弁の閉鎖不全症で症状としては運動機能の低下、削痩、のどの詰まるような咳、肺水腫等が現われてきます。原因は先天的な場合もありますし、心拡張等の後天的な場合もあります。
    治療は、生活の改善(運動と興奮の制限及び食事管理)が前提ですが 外科的治療(手術)と内科的治療(主に内服薬)があります。(不勉強の為 手術については細かい説明が出来ません。)
    内服薬としては、その病気の進行状況や年令、体質等によって異なりますが、以下のような薬を組み合わせて処方されると思います。 
     1)ACE阻害薬  ホルモンによって起こる血管の収縮と その為に起こる血圧上昇による心臓の負担を 取り除いて心臓を楽にする為の薬で 心臓の治療では最初に投与される事の多いようです
     2)利尿剤  尿量を増やす事により、血流量を減少により肺水腫を減少させ 血圧を下げて 心臓の負担を軽くします
     3)強心剤  心臓の筋肉に直接作用して心臓の収縮と拡張をゆっくりと確実に起こすよう作用します 不整脈等の時に用いられます
     4)気管支拡張剤  心臓の肥大や拡張により気管が圧迫される場合もありますし、血液循環量が減少すると、過呼吸により酸素の血液への取り込みを増加させようとして負担のかかる気管や気管支を 拡張させて呼吸を楽にして咳を鎮める薬です
    他にもβーブロッカー(心筋の過剰な運動を抑えて酸素消費を抑制する薬)、冠血流改善剤(冠状動脈の流れを改善する薬)動脈血管拡張剤(動脈を拡張して血流の改善を促す薬)等など多種多様にあります。
    以上のような薬を 患者さんによって、そして患者さんの状態の変化に応じて処方される事になると思います。
    私の拙い説明では具体性にかける事もあり 十分に理解して頂けなかったかと思いますが、心臓の病気やその治療については飼い主さんの十分な理解と納得を伴わないと 長続きしないと思います。ですから、説明を求めても得心の得られない病院は少なくともこの場合の患者さんにとってよい病院とは言えないでしょう。他にもっと信頼できる病院を探される事をおすすめします。


  • うちの子(シーズー10才避妊済み)は、「太り過ぎ」と病院で言われたので 大好きなお散歩を頑張って ダイエットしようと思ったのですが、特に夏場はすぐに苦しそうに座り込んで歩かなくなり、段々散歩を嫌がるようになってきました。頑張って散歩を続けたさせた方がよいのでしょうか?


    診察してみないと自信を持ってお答えできませんが、(例え診察し 十分な検査を実施しても自信を持ってお答えできない事も多いのですが)10歳の肥満傾向の犬が暑い時期に大好きな散歩を拒否するとしたら、運動機能障害か心臓病を疑います。まずは、かかりつけの病院で足腰について十分な診察を受け、外傷や病気(例えば足裏のトゲや膝の脱臼、腰のヘルニア等)がないか確認しましょう。運動機能に問題がなければ、心臓について調べましょう。もし心臓に原因があって、大好きな散歩を拒否するのであれば、聴診だけで心雑音等の異常が確認されると思います。もし異常が確認されたら、その程度によって血圧、レントゲン、心電図、超音波等の検査を受けられる事をおすすめします。診断結果により治療についての指示があると思いますから出来るだけその指示に従ってください。飼い主さんとしては、例えば発作が起きる等の解りやすい症状があればともかく、殆ど症状もない段階から治療を継続するのは大変な事だと思います。しかし、実はこの時期の治療と生活習慣の改善こそが寿命を延ばす為に重要なのです。勿論、症状が現われてからも治療をしますがそれは残された寿命の辛苦を和らげるためのものである事を理解して頂いて 症状が現われるまでの時期の治療を頑張っていただきたく思います。

    一般的に心臓の悪い犬に守って頂きたい生活での注意事項を書いておきますので参考にしてください。

    1)運動は必要最低限度にするよう心掛ける。
    散歩については出来るだけ短距離をゆっくりとのんびりと済ませましょう。仲の悪い犬と出会って興奮したりしないように、コースや時間帯にも気をつけましょう。本人が途中で帰りたがったり、最初から出かけたくない様子のときは止めておきましょう。

    2)出来るだけ興奮しないように心掛ける
    怒ったり 恐がったり 驚いたりする事等は、飼い主さんのちょっとした注意と努力で避けられる事が多いのですが、喜んだ時にも注意が必要です。大好きな飼い主さんが帰って来た時に喜びすぎて発作を起こすようなケースもありますから、とりあえず抱っこでもして落ち着かせてあげましょう。

    3)獣医師の指示に従って食事を管理する
    特に室内で飼っている場合 一番難しいかもしれません。人間と同様に塩分を制限された食事になりますから 最初は食べづらくて本人もそれをみている飼い主さんも結構辛いかもしれません。但し 慣れるまでの辛抱ですから是非頑張ってください。


  • うちの犬(柴犬、メス、8才)は 怒ったりして興奮すると、舌が紫色になり ゼーゼーととても苦しそうです。10分位すると治まってしまい、普段は元気にしていますが、病院でみてもらった方がよいでしょうか?


    人間は 喜んだり、怒ったり、驚いたりして感情が高まると 酸素がたくさん消費されるので心臓は大量の血液を送り出そうとして頑張ります。だから、興奮した時に心臓がドキドキするのを感じるわけです。犬も同様で興奮すると 心臓が普段より頑張るわけですが、舌が紫色になるのは、酸素を十分に含んだ新鮮な鮮紅色の血液が不足し 二酸化炭素を多く含むどす黒い血液が貯留している事を示しています。つまり、心臓が血液を送り出すポンプとして 十分に働いていない状態なのです。年齢的にも心臓病の症状があらわれる時期を迎えていますから、一度病院で十分んな問診と必要に応じて検査(聴診、血圧測定、レントゲン撮影、心電図等)を受けられた方が良いように思います。心臓は一旦悪くなると、元の正常な状態には殆どもどれませんから、悪くなったなりの心臓と如何に上手に長くお付き合いしていくかを考えるしかありません。ですから、一日も早く、心臓の状態を確認して、それに合わせた生活習慣の改善、食餌療法、必要に応じて薬物による治療を始めることが大切ですし、それが一日でも快適に長生きする事につながると思いますよ。

23456