よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

エキゾチックアニマルの病気


  • ミニウサギ(2才、オス)を飼っていますが、梅雨時になると昨年に続いて今年も、食欲が低下し元気がなくなりました。去年はいつの間にか元気になりました、今度も様子をみていて大丈夫でしょうか?


    蒸し暑い梅雨時は、人間だって多少食欲が落ちますから、ウサギだって普段より2~3割食べる量が減少するくらいなら、しばらく様子をみてもいいかもしれませんが、それ以上なら毛の生え変わる時期でもありますから毛球症が心配されます。
    猫の毛球症はよく知られていますが、猫の場合は身づくろいで飲み込んだ毛が胃に溜まって毛玉となります。但し、猫は何か異状があると簡単に嘔吐する動物なので、殆どの場合は面倒な事にならないうちに口から吐いて解決します。
    ウサギも同様に身づくろいをする事で毛を飲み込みますが普通は少しずつ腸へ流れて便とともに体外へ出てしまいます。所が飲み込む毛の量が多いと胃の中で毛玉になってしまう場合があります。
    ウサギは喉の構造が特殊で非常に嘔吐しにくい動物なので厄介です。毛玉が出来ると胃の活動が低下するので食欲が低下してしまい、体力が落ちて極端な場合は命に関わる場合もあります。
    治療法は毛玉を溶かす薬がありますから、食欲が戻るまで様子をみながら内服させます。毛玉が溶けて、胃の活動が正常に戻れば食欲が戻ります。もし毛玉が大きくて溶けない場合や、胃の出口の部分に毛玉が詰まってしまった場合は胃を切開して毛玉を摘出する手術が必要になる場合もあります。
    ですから、早めに動物病院で診察を受けて、毛球症ならすぐにでも治療を始めた方がよいと思います。
    毛球症の予防には、干草や藁などの食物繊維の豊富な餌を毎日与える事と、ブラッシングを毎日十分にしてあげて、飲み込む毛の量を減らすようにしてあげてください。


  • フェレット(4歳、メス)を飼っていますが、以前が凄く活発で注意深かったのですが、最近は昼間なのに寝ぼけたようにボーっとして、涎をダラダラ流したりしています。もうボケの症状が始まったのでしょうか?


    フェレットの寿命は、8~10年と言われていますから、ボケが始まるには、ちょっと早すぎるでしょう。3~4歳で、ボーっとしたり涎が続くのなら、膵臓が腫瘍、それも悪性の癌に侵されている場合が予測されます。
    膵臓は、グルカゴンと言って血糖値を上げる働きをするホルモンとインスリンと言って血糖値を下げる働きをするホルモンが分泌されて、血糖値を一定に保つように働いている臓器です。そこに腫瘍が出来ると、インスリンの分泌量が増加して、血糖値が下がりすぎる状態、つまり低血糖の状態になります。フェレットのこの病気をインスリノーマと呼びます。
    症状としては、初期にはボーっとしたり涎が認められます。やがてふらついて腰が抜けたようになったり、痙攣を起こして、昏睡状態になる場合もあります。
    治療法としては、外科的に腫瘍を摘出する方法があります。但し、1~2年のうちに再発する可能性が高いと言われています。内科的治療法は、血糖値を正常にする事を目的とする根治療法ではなくて、低血糖状態になる事を防ぐ為にステロイドホルモン等を死ぬまで投与し続けます。勿論副作用の心配もありますが、手術の危険性と再発の可能性を考えると、私は状態を見ながら内科的な治療を施す方が、本人の苦痛も少なくて長生きできる治療法である場合が多いように思います。
    何れを選択されるかは、飼い主さんが先生と納得のいくまで相談された上で決めてください。


  • チンチラ(3歳、メス)を飼っていますが、一ヶ月くらい前から、口をもごもごしながら涎を流す仕草が目立つようになりました。食欲も落ちて、痩せてきているので心配です。何かの病気でしょうか?


    チンチラは、自然の中では大人しくて弱い存在なので、攻撃を避ける為にケガや病気を隠そうとする習性があります。ですから、体調の異変に気づきにくい種類の動物ですので、日頃から注意して様子を見てあげましょう。
    口の中をもごもごして涎を流す場合ですが、不正咬合つまり歯が正しくない方向に伸びてかみ合わせが悪くなっている可能性があります。チンチラはネズミやウサギと同様に一生歯が伸び続ける動物で、健康であれば一年間に5~7cm位伸びるそうです。
    不正咬合が起こる原因としては、与えている餌に食物繊維が不足して十分に磨り減らない場合や、甘いものを与えて虫歯になる事からアンバランスが生じる場合等があります。
    治療としては、前歯の不正咬合であれば、顔を動かないようにしっかりと捕まえて歯を適当な長さに切断します。奥歯の場合は、軽い麻酔をかけてから適当な形に削る事になります。歯茎や唇に損傷を受けている場合は、内服薬での治療が必要になります。
    治療後は、虫歯が原因なら甘いものを与えないようにする事が前提ですが、繊維質の多い食事を十分に与える事で歯が磨り減り易くしましょう。但し一旦正しくない方向になってしまった歯は元には戻りませんからどうしても正しく磨り減りません。ですから、定期的に口内の診察を受けて、必要に応じて適切な処置を継続してください。