よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ドッグフードについて


  • 「ドッグフードはその材料や添加物、製造過程等についての法律や規制がないので自分の犬には心配で与えられない。」と友人から言われて、これまでペットショップにすすめられたフードを与えていた事が不安になりました。大丈夫でしょうか?


    人間の食品は食品衛生法という法律に加えていくつもの規制により管理されています。家畜(牛、豚、家禽類など)の餌にも飼料管理法という法律や規制があります。
    ところが、ドッグフードを含めたペットフードには、そのような法律や規制がありません。ですから、材料選びから製造工程、添加物の有無、品質管理等については、各フードメーカーの良心に期待するしかありません。成分表示にしても義務付けられているわけでもないし各個人で調査できませんから現在の所信用するしかありません。但し、法律や規制があるにもかかわらず、「日本ハム」や「雪印」といった日本を代表する企業が行った国民の信頼への裏切り行為や、法律で禁止されて混入するはずのない肉骨粉により日本でも狂牛病が発生した事実を考え合わせると、何の制約も無いペットフードについて必要以上に大きな心配される方がおられても致し方ないかもしれません。
    更に先日、「アメリカの某メーカーの製品により、犬が被害を受けた」という記事が雑誌に掲載されて不安を増大された方もいらっしゃるかもしれません。このメーカーのフードは当院でも扱っていますが、現在の所、科学的で確実な根拠に乏しいと判断しており、今後の展開については注目していきます。
    さて、最初にペットフードについての不安な面について長々と書きましたが、犬に与える食餌としては、やはり信頼できるメーカーのフードを選択される事をおすすめします。
    理由は、飼い主さんが毎日自分のペットの適切な食餌を作ることは、技術的にも、経済的にも、労力的にも非常に難しいと思うからです。すごく勉強して、努力されても結局は時間と手間がかかり、高くついて、その上ペットの健康面で望ましくない食事作りに挫折された方を少なからず存じあげているからです。
    勿論、獣医師からみてお奨めできないメーカー多いので、かかりつけの病院の先生と相談されて、そのペットの現状に一番マッチするフードを選ばれる事が最善だと私は思います。


  • 毎日同じフードでは愛犬(シーズー、3歳)が可哀想なので、休日には愛情を込めた手作りのフードを与えようと思って、レシピ本を買い求めたのですが、先生から 与えてはいけない食材として教わったキャベツと牛乳を使った料理(ロールキャベツ)が掲載されていました。この本は信用できませんか?


    ご質問頂いた文章の中で、気になった四つのポイントに対して、まずお答え致します。
    まず一つ目は、このコーナーでこれまでにも何度が述べてきましたが、犬に毎日同じフードを与える事は決して可哀想な事ではないという事です。その犬の年齢や体調に適合したフードを、決まった時間に適量与えるのであれば、犬は肉体的にも精神的にも健康になり、飼い主さんも自分で考えて作る手間と無駄な経費が省けて、とても幸せな事だと思います。複数のフードにより 複数の味を覚えると、与えられたフードに対して「もっと好きな味のフードがあるのに。」とか「もっと美味しいフードを食べてみたい」と言った不満を持ち、食べ残したりするようになります。その為に、飼い主さんが どんどん塩分や油分が多く 栄養素の偏った 健康に望ましくないフードへ切り替えていかれるケースをたくさん見ていますが、それは犬にとって不幸な事だと私は思います。
    二つ目は「愛情のこもった 手作りのドッグフード」は、飼い主さんの自己満足度は高いでしょうが、犬の現状に適したフードを作るのは至難の業であり ましてやそれを継続する事は尚更困難だと思いますから、おすすめ出来ません。
    三つ目に、その食材が犬にとって望ましくない理由を理解して頂きたいという事です。キャベツは塩分含量が多いので(人間にとっては問題になりませんが、犬にとっては 特に心臓に異常がある場合、血圧を上昇させますから問題です)与えないでください。牛乳は下痢する場合が多い事は、御存知の方も多いと思いますが、下痢をしなければ与えてもよいとも言えません。勿論牛乳は良質のタンパク質やカルシウムに富み、人間にとっても健康な犬にとっても優れた食材だと思います。ところが、膀胱炎などの病気で血液中のタンパク質分解産物(尿素窒素、クレアチニン、アンモニア等)濃度が高い時には摂取してはならない食材となります。犬の場合、美味しい牛乳を飲み慣れていると病気のときだけ禁止する事が難しい場合が多いので健康なときから牛乳をおすすめできない訳です。
    四つ目は、人から聞いた話しであれ、新聞や雑誌、書物、テレビやラジオ、インターネットなど等から得られた情報であれ、それを鵜呑みにはしないで頂きたいという事です。私が飼い主さんとお話しするときや、このホームページ内で述べている事は、自分の経験や勉強した事に基づいて「受け取られる方に少しでもプラスになる事があれば」という気持ちで表現しています。けれどもそれは、あくまでも私の個人的な意見ですから、曖昧な描写や、矛盾、間違い等多々あります。ですから、私の意見もちょっとした参考にして頂ければ幸いです。いろんな情報から総合的に判断されれば、間違いは少なくなると思います。
    最後に、購入されたレシピ本については、私がこれまでに述べた事やその他の情報から、御自分で判断してくださる事を期待いたします。


  • 生後2週間位の子犬を拾って、育てる事になりましたが、犬を飼った経験が無いので、どのようにミルクやフードを与えればよいのか分かりません。基本的な手順を教えて下さい。


    初めての犬の子育ては、不安やとまどいを伴うでしょうが、その成長の過程ではたくさんの驚きや感動もえられると思いますから頑張ってください。犬の食事についての大まかなスケジュールは以下のようになります。

    1)授乳期  生後約6週目までで、母乳若しくは代用乳を与えます。牛乳は下痢を起こす場合があり、栄養のバランスもマッチしませんから、必ず犬用のミルクを買い求めて、指示どうりに作り、与えてください。
    2)離乳期  生後6~8週目位で 乳歯が生えてきますので、離乳食を与えます。離乳食は色々販売されていますが、幼犬用フードを犬用ミルクで粥状にして与えた方が、幼犬用フードへの移行がスムーズにすすむと思います。一週間から十日位で、幼犬用缶詰若しくはドライフードを湯でふやかした物へ変えてゆきましょう。
    3)幼犬用フード期  生後2ヶ月から12ヶ月位のじきです。 最初はドライフードはふやかして与えますが、1~2週間で徐々に ふやかさない状態に移行しましょう。食事の回数は、生後3ヶ月までは4回、6ヶ月までは3回、以降は2回に減らしていきます。缶詰でもドライフードでも、同メーカーの同タイプなら内容は同じですから、好みのタイプを与えてください。尚、生後一年を過ぎたら成犬用フードに切り替えますが、同メーカーのフードでも幼犬用より成犬用の方が嗜好性では劣ります。ですから、いきなりではなくて幼犬用に少しずつ成犬用を混ぜてならしていきましょう。
    4)成犬用フード期  生後1~5、6歳までは、一日1~2回、適量を与えてください。適量と言うのは、その犬が適正な体重を維持できる量です。同じ種類の同じ体重の犬でも、運動量等が異なれば、フードの適量は異なるかもしれませんから、注意しましょう。
    5)老犬用フード期  6、7歳以降は、健康上問題が無ければ、成犬用から老犬用を加えて切り替えていきましょう。この位の年齢になると例えば心臓が悪くなりその為の処方食を与えなければならなくなる場合もありますから、その時は獣医師の指示に従ってください。