よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

血液検査について


  • 先日家の猫(3歳メス)が、深夜に嘔吐を繰り返したので、救急病院へつれていきました。血液検査の為、前足の毛をバリカンで刈って採血されましたがとても嫌がってかなり暴れました。かかりつけの病院では、後足から採血されるとあまり恐がらないのでその様にお願いしましたが聞き入れてもらえませんでした。診断の為に必要な検査をして頂くのはかまいませんが暴れたのでよけいに苦しそうになった様に思います。前足から採血する何か理由があったのでしょうか?


    猫の採血部位は一般的に前足のとう側皮静脈、後足の大腿静脈、首の頸静脈の3箇所だと思います。獣医師によって得手不得手はあると思いますが、私の場合はとう側皮静脈からの採血が一番経験も多いしやりやすく感じます。大腿静脈は後足の内側にありますから保定もしにくいし採血後の止血にも時間がかかりますから、神経質な猫の場合に採血されていることが猫に見えないようにして使う場合がありますがその頻度は高くありません。頸静脈は太い血管ですから多量に血液が必要なときだけ使います。
    さて、救急病院では初めての診察室と先生ですし、ましてや緊急時ですから飼い主さんも動物もかなり緊張し興奮している状態だと思います。その様な状況では、かかりつけの病院で落ち着いて出来る事が同じ様に出来るとは限らないと思います。救急病院の先生はその様な状況を数多く経験されているわけですから、恐らく前足からの採血が結果的には一番確実で安全な方法と判断されたのだと思います。その判断が絶対的に正しかったのかどうかは私には解りませんが、先生からそのあたりの事情をもう少し説明があってもよかったのかもしれませんね。ただ、飼い主さんもその病院を選んで診察を受けられた以上、その病院と先生を信頼される事を同じ獣医師としては期待いたします。


  • 「フィラリア予防を始める前に、血液検査が必要である」という動物病院と「血液検査は必要ありません」という動物病院がありますが、どちらが正しいのでしょうか?


    現在日本で使用されているフィラリア予防薬は複数のメーカーから内服薬(毎日もしくは月に一回)滴下薬、注射薬等かなりの種類が存在しますが、その全ての薬の説明書に、「予防を始める前に血液検査によりフィラリア症に罹っていないことを確認してから投与する」と明記されています。その理由も「フィラリア症に罹っている犬に投与するとショック等の副作用を起こす可能性がある」と書いてあります。最悪の場合、死亡するケースもあります。ですから、良識ある病院ではフィラリア予防を始める前には必ず血液検査を実施していると思います。勿論、当院も同様です。
    血液検査が必要ないと主張する病院が存在する理由は、飼い主さんが病院へ犬を連れて行く手間と検査の費用を省いて(恐ろしい副作用の可能性は十分に説明せず)予防薬の売り上げを伸ばす事をだけを重視しているからだと思います。
    獣医師としてその様な病院が少なからず存在することは非情に恥ずべきことだと思っております。以上のことから、どちらの病院の主張が正しいのかご判断ください。


  • かかりつけの病院では診察時によく血液検査をします。例えば、血尿のときに尿検査、打撲したときにレントゲン検査をするのは理解できますが、どうしてその様なときにも血液検査が必要なのでしょうか?


    血尿の患者さんが来院されたら、当院でも尿検査は勿論ですが、可能であれば血液検査も実施すると思います。血尿が認められたら尿路(腎臓から尿管、膀胱、尿道)に異状があるのは間違いありませんが、そもそも尿は腎臓で血液からつくる訳だし、血液の老廃物の対外への排泄が尿の一番重要な役割ですから、血液中のアンモニアや尿素窒素の数値は病気の身体への影響をみるうえでとても大切です。
    打撲を主訴として来院された患者さんでも、その程度によりますがレントゲン撮影と必要に応じて血液検査をします。飼い主さんはレントゲン検査で体の内部のたくさんの事が解ると思われているかもしれませんが、骨折や内臓破裂等は別ですが影の濃淡からそんなに多くの情報が得られるとは限りません。例えばレントゲン写真から肝臓へのダメージが疑われた場合、血液検査の肝機能の項目と照らし合わせることにより、より正確な診断につながると思います。
    ですから、検査をする目的と検査結果からわかった事を先生が飼い主さんに十分説明していればこの様な疑問は生まれなかったのかもしれません。但し、飼い主さんも遠慮なく疑問に思うことは尋ねられた方がよいと思います。