よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ペットの匂い


  • 雑種犬(11歳、雌、避妊手術済み、体重約5㎏)を飼っていますが、時々この子を抱っこした後で私の服に、魚の腐ったような匂いがつくことがあります。どうしてでしょうか?


    普段はそのような匂いがしない、とのことですから恐らく肛門嚢(肛門の両脇にある匂い袋)の分泌液が 抱っこされていてお腹に力を入れたり肛門の付近を圧迫されたりして一時的に搾り出されて飼い主さんの洋服に付着したのではないかと思います。
    この匂い袋には便にその犬独自の匂いを付着する為の液体が分泌、貯蔵されており、排便時に便と共に排出されます。ところが直腸に開口している匂い袋の出口に何かが詰まったりして分泌液がスムーズに排出されにくい状態になる事があり 分泌液が充満してくるとお腹に力を入れたり肛門の付近を圧迫されたり場合にした時に溢れ出る事になるのです。
    更に匂い袋が充満してくると、排便後に肛門を地面にこすり付けたり舐めたりするようになります。加えて足の裏の肉球の部分を舐めたり噛んだりする事もあるようです。
    この状態のまま放っておくと、やがて匂い袋が破裂して肛門の脇の皮膚に穴があいて 分泌液や膿が溢れ出してきます。
    破裂してしまうと、もともと清潔とは言えない場所ですし、デリケートで消毒などの治療も嫌がる場合が多いですから、本人の苦痛と飼い主さんの労力は大きなものになってしまいます。
    ですから、匂い袋に分泌液が貯まっているシグナル(魚の腐ったような匂い、肛門や足裏を痒がる仕草等)をみつけたら、とりあえず病院で絞ってもらいましょう。尚、当院では飼い主さんに絞り方をお教えしております。少し要領がありますがたいていの飼い主さんは御自分で絞れるようになられますから、是非お尋ねください。
    匂い袋が再び貯まるまでの時間をよく質問されますが、非常に個人差があって、たまらない動物は一生貯まりませんし、早ければ一週間でも貯まる場合もありますから、よく観察してシグナルを見落とさないよう気をつけてあげてください。


  • 8歳のヨーキー(雌)を飼っていますが、月に一回は美容室でシャンプーカットしてもらい、週に一回は家でもシャンプーしているのに体臭が臭くて困っています。どうすれば匂いがなくなりますか?


    特に皮膚病等には罹っていないという事なので、年齢と犬種を考えると、歯周病に罹っていて 強い口臭がしている可能性が高いように思います。小型犬は 大型犬に比べて歯が小さくてその隙間も狭いので 歯垢が付着しやすく、それが歯石となり歯周病なりやすいのですが、特にヨーキーとミニチュアダックスは7~8歳になると歯周病に罹っている比率が高いように思います。唇をめくって歯と歯茎の状態をチェックしてみましょう。歯が茶色くなったり、歯茎が赤く腫上がっていたら、歯周病に罹っていると思います。その場合は、なるべく早く動物病院で歯石を除去して、歯茎の治療をする必要があります。放置しておくと歯が抜け落ちて、噛む力が低下し、ひいては寿命を縮める事にもなりかねません。治療をすれば、口臭も殆どなくなると思います。但し歯石は、毎日歯磨きしている人間でもいつのまにか付着しているわけですから、犬の場合もっと短期間で再び付着します。犬用の歯磨きセット等が販売されていますが、殆どの犬は嫌がりますし、あまり強引に磨いても歯茎を傷つけたりして逆効果の場合もありますからあまりお勧めはしません。指にガーゼ等を巻いて歯の表面を拭いながら歯茎のマッサージをしてあげる方が簡単で効果的かもしれませんので試してみてください。歯石の付着しにくいフードが販売されていますが、メーカーや犬種によって その効果はまちまちですから、またご相談ください。
    尚週に一回シャンプーされているそうですが、これは毛にとっても皮膚にとっても非常に負担をかけていますから、最低2週間 できたら3週間は間隔をあけた方がよいと思います。(特殊な皮膚病の治療などで行う薬浴は別です)


  • 3歳のシーズー(雄)を飼っていますが 夏頃から両耳とも繰り返し綿棒で掃除しているのに すぐに汚れてすごく臭いのですがどうすればよいでしょう?


    以前に耳の病気について説明したときにも書きましたが、普通健康な犬の耳はあまり耳垢がこびりついたりして汚れません。勿論 耳の皮膚でも新陳代謝により耳垢はできますが、健康な耳の中は適度に乾燥していますから たまに首を左右に振ることにより飛散してしまうので特にこびりついて汚れたりはしません。
    しかし、細菌やカビ、ダニ等により炎症が起こると浸出液によってジュクジュクした状態になりますから そこに耳垢がこびりついて汚れ、匂いを発生します。恐らくさかんに首を左右に振ったり耳を掻いたりしているのではないでしょうか。
    直ちに病院へ行って外耳炎の治療を受けてください。経過が長いので、慢性化していて治療には時間と労力を要するかもしれませんが頑張って完治するまで続けましょう。治療が終了すれば耳の匂いも自然と無くなっていると思います。
    但し治療が終わっても細菌やカビを完全に死滅させたわけではありませんから、体質的に耳道内の細菌やカビに対する免疫力の弱い犬は再発するする可能性が低くありません。ですから、時々耳の状態をチェックしましょう。
    体質的に毛深い犬は耳の穴の中にも毛が生えてきますから 抜いて風通しをよくしてあげましょう。指で摘まんで抜けると思いますが、難しければ犬用の毛抜きがありますから試してみてください。
    もし、汚れていても綿棒で掃除をする事はおすすめ出来ません。場合によっては耳垢を中へ押しこんだり 炎症の起こっている粘膜に更にダメージを与えるかもしれないからです。
    繰り返し申し上げますが、もし犬の耳が汚れていたら必要なのは適切な治療であって、綿棒等による耳掃除ではありません。