よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

ペットからうつる病気


  • ミニウサギ(2歳メス避妊済み)を飼っていますが、二ヶ月位前から頭部に丸い脱毛が出来て、痒そうにしていました。様子をみているうちに私も腕の内側の部分が円形に赤くなり 掻いているうちに水ぶくれが出来てしまいました。ウサギから皮膚病がうつったのでしょうか?


    ウサギに6月頃から円形にくっきりと脱毛(リングワームと呼ばれます)して痒みを伴っていれば、毛そう白癬菌(真菌 いわゆるカビの一種で人間の水虫の原因菌の仲間)による皮膚病を想定します。まして、飼い主さんに同様の円形の発赤と水ぶくれが認められるなら、この病気は抱っこしたりする時の接触によりヒトに感染しますから、ほぼ間違いないでしょう。
    まず、ウサギは直ぐに動物病院へ行き治療を受けてください。その程度によりますが抗真菌剤の内服又は外用薬を用いれば、少し期間はかかると思いますが治ります。それと同時に 飼い主さんも直ぐに皮膚科で治療を受けてください。ウサギの経過も忘れずに報告してください。診断に役立つでしょう。
    さて、このウサギの毛そう白癬菌症は、カビの一種ですから、生活環境の湿度が高まる事により発生しやすくなります。ですから、特に梅雨から夏場はからっと乾燥するよう注意してください。もし、来年も同様の症状が認められましたら、自然に治る事は殆どありませんから、気付いたら直ぐに病院へ行きましょう。そして、そのような症状がある時はウサギを直接肌に触れるような接触は慎んでください。再び飼い主さんもかかってしまいますよ。


  • うちの孫(8歳)が夜店でミドリガメを買ってきました。「ミドリガメには危険な細菌が付着していて、人間が下痢などを起こす」と新聞で読んだことがありますが、面倒をみさせてもよいでしょうか?


    まず、ミドリガメについて、簡単に説明しておきますと、基本的にこうらが緑色のカメをミドリガメと呼びますが、幼少期だけ緑色で成長すると変色してしまう種類も含めると30~40種類いるそうです。日本でペットとして売られているミドリガメは ほぼ100パーセントがミシシッピーアカミミガメの生後一ヶ月前後のものです。非常に生命力が強く、食欲旺盛です。成長すると、こうらは可愛らしい緑色ではなくなり、性格が獰猛で 扱い辛くなって、近所の池等に放されるケースが多いようですが、その為に日本の在来種(イシガメ、ゼニガメ、クサガメ等)の生態系に大きな悪影響を与えています。一旦飼い始めたら寿命を全うするまで面倒はみてあげて頂きたいと思います。さて、ご心配されている細菌は恐らくサルモネラ菌だと思いますが、確かにミドリガメの約90パーセントから検出され、食中毒を起こす事でよく知られている種類ですね。但し、水中で暮らすカメの類は皆サルモネラ菌をかなりの高率で保有していますが、カメ自身には何の害も及ぼしません。そして、人間がその害を受けるのは、定期的な掃除を怠り カメの生活する水が不潔になって、サルモネラ菌が爆発的に増殖した場合で、その細菌が 人間の口から進入して感染すると、下痢、嘔吐等の症状を起こします。
    ここでよく認識して頂きたいのは次の二点です。
    (1)カメの生活環境の掃除を定期的にきちんとすれば、サルモネラ菌は爆発的には増殖しない事
    (2)カメと接触したら、必ず石鹸で十分に手を洗う事を徹底すれば、サルモネラ菌に感染する可能性は高くない事
    つまり、カメに限らずペットに愛情を持って接すれば、快適に過ごしてもらう為に、こまめに掃除をしてあげる事は苦痛ではないと思いますし、これもカメに限らずペットと触れ合ったら、十分に手を洗う、もし洋服が汚れたら着替える事等はごく当たり前の行動であってそれ程難しい大変な作業ではないと思いますが如何でしょう?お孫さんだけでは、難しいかもしれませんが、周囲の大人の配慮があれば、ミドリガメをきちんと安全に面倒をみてあげる事は出来ると思いますし、優しさや責任感が身につくいい機会ではないでしょうか。


  • うちの息子(小学校6年生)が「オウムを飼いたい」と言い出しました。オウムには人間にうつる「オウム病」があると聞いた事がありますが、飼育させても 大丈夫でしょうか?


    まず知って頂きたい事は、「オウム病」の感染源となる鳥は、セキセイインコが最も多く ハト、十姉妹、オウム、カナリア、文長、九官鳥等 広範囲にわたる事です。
    これらの鳥は「オウム病」に感染しても、殆ど無症状で過ごしますが、ストレス等で体力が低下すると、食欲、元気がなくなり、眼や口が粘液で汚れ、下痢、麻痺等を起こして死亡します。その粘液や下痢の中に大量のオウム病クラミジア(細菌より小さな微生物)が排出されます。ある程度時間が経過して粘液や糞が乾燥すると掃除する時等に飛散し吸入する事で人間に感染します。1~2週間の潜伏期を経て、高熱、咳、頭痛、倦怠感等に続いて肺炎を起こします。これらの経緯がインフルエンザ等によく似ている為、診断を誤り 適切な治療が遅れると、命に関わる場合もあります。

    以上の事から、ペットとして鳥を飼う場合の注意点を整理しますと…
    (1)鳥かごの清掃はこまめに隅々までする
    (2)鳥と接触したらきちんと手を洗う
    (3)鳥に口移しで餌を与えたりしない
    (4)鳥が粘液で汚れ、下痢麻痺等の症状を呈して死亡し、それと前後して飼い主に風邪のような症状が現われた場合、医者に鳥の経過も報告する

    人間が「オウム病」に感染しても、診断が正確につけば特効薬があり、治療は難しくありませんから、それ程恐ろしい病気ではありません。最低限の鳥を飼う為の知識と節度を持った接し方を心掛ければ、ペットを飼うことは、息子さんにとって得るものは大いにあると思いますので、是非前向きに考えてあげてください。