よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

帰化動物について


  • 小学生の息子(7歳)が夏休みに岡山へ里帰りしたときに、川で「ビーバー」を見つけたと大喜びしておりました。地元の人に尋ねると「ヌートリア」というネズミの仲間で岡山にはたくさんいる事を教えていただきました。息子が「また見たい」と申しておりますが、大阪でも見られるのでしょうか?


    「ヌートリア」についてはよく見かけるので物珍しくもない方もいらっしゃれば、初耳でその存在すら御存知ない方もおられるかもしれませんので簡単に説明しておきます。
    げっ歯目ヌートリア科の草食獣(魚や昆虫を食べる事もあるらしい)で、ブラジルからアルゼンチンにかけての河川に生息しています。(ヨーロッバにも帰化している)体長は40~70cm、体重は6~10kgで、風貌は息子さんが勘違いされた様にビーバーに結構似ていると思います。(尻尾の形が全く異なります)日本へは1930年代に軍服用の毛皮を目的として輸入、飼育されるようになりました。第二次大戦後軍服の需要が無くなり、放逐されてから日本の環境に順応しながら増加しその生息域も広がりました。寿命は7~10年で、雌は年に2~3回(1回に平均5匹)出産しますからその繁殖力はかなりのものです。巣穴は水辺の土手に細長い穴を掘り集団で暮らします。最近は川岸がコンクリートで護岸されるようになり、水田の畦等に穴を掘る為、害獣として扱われ、毎年1000~2000頭が殺処分されています。
    さて、前置きが長くなりましたが、大阪で生活している息子さんにすればおそらく初めて自然の中で接したヌートリアに興味を持たれたのでしょうから、その気持ちを大切にしてあげて頂きたく思います。大阪及びその周囲の府県ではヌートリアの存在が確認されていますから、最寄の自然保護センター等に問い合わせてご近所の生息地を確認されればいかがでしょうか。尚、近くから姿を見るだけなら水族館等に飼育されている場合も多いようです。出来ましたら、その姿を見て満足するだけではなくて、日本へやってきた理由やその後の経過、その生活が人間の生活とたまたま摩擦が生じたために害獣として駆除されている現状などについて、少しずつでも話してあげて人間と動物を含めた自然との接し方等について親子で色々と考えるきっかけにして頂ければすばらしい事だと思います。


  • セアカゴケグモが近所で大量にそれも小学校内からまでみつかったというニュースを見ましたが、うちの息子達(小6と小3)は二人とも昆虫等が大好きなので、心配です。息子達にどの様に注意すればよいでしょうか?


    セアカゴケグモが、初めて日本で確認されてから10年位たちますので、このクモについてのある程度の認識は定着しているかと思いますが、大量であり小学校という子供にとって非常に身近な場所であった事に驚きそして心配されている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
    ご存知の方も多いかと思いますが、このクモについて簡単に説明しておきますと、熱帯から亜熱帯に住むゴケグモの一種で、体長は成熟した雌で8~10mm、雄は4~5mm、名のとおり背中に赤い(オレンジ色?)部分が目立つ。寿命は一年位だが、雌はその間に1000個以上の卵を産む。獲物を捕らえるために神経毒を有するが、大人しくて、攻撃されると死んだ振りをする位に攻撃性の乏しい性格である。生息場所は、側溝やその蓋をイメージされる方が多いと思いますが、例えば自動販売機やクーラーの室外機、浄化槽の送風機、外灯等の隙間部分、墓石の線香や花を立てる部分等でも最近ではよく見かけられています。
    このクモによる人間の被害は、1960年代から70年代に1,000件以上報告され、数十人の死亡が確認されています。但し、現在は治療法が確立されていますから、死亡する危険性は殆どありません。
    ゴケグモの名の由来について、「ご主人をこのクモにより亡くして、奥さんが後家さんになるから」という俗説があるそうですが、「交尾後に雌が雄を食べてしまい、自ら後家さんになるから」という説の方が正しそうです。
    さて、息子さんたちへのアドバイスですが、根本的な対策は学校が十二分におこなうでしょうし、必要以上に注意を受けると思いますから、お母さんが更に警戒心をあおるように話されるのはおすすめできません。それよりもむしろ、せっかく生き物に興味を持っておられるのですから、出来る事なら、お母さんと息子さん達でこのクモを探して見られたら如何ですか?今ならインターネットでいくらでも表面的な情報は入手できますが、実物と接する以上の生きた情報はありません。「このクモに注意しなさい」と繰り返すより、実際にいそうな場所を覗いてみて、もし見つかれば多分そのちいささ(1センチ以下)に驚いたり、その動きが結構ゆっくりであるのに安心したり出来ます。クモと接しながら(手袋をしていれば安全です)、どの様に扱えばよいのか、どういう点に注意が必要なのか教えてあげれば、実際に役立つ知識として身につくと思います。
    それから、このクモが日本に棲みつくようになった経過(海外から運ばれて来るコンテナ等によって自ら望んだわけではなくて来日した事、そして好ましくなかった環境に少しずつ順応してきた事)、人間に実質的な被害を及ぼすわけでもないのに、毒を有するというだけで忌み嫌われ、駆除されている事、故郷(オーストラリアや東南アジアでは日本のように目の仇にされずに人間と共存している事等についてゆっくり話してあげて、このクモについて色々と考える機会を作ってあげてください。


  • 琵琶湖でピラニアが捕獲されましたが、来年から琵琶湖では泳げなくなるのですか?


    この類の質問が結構ありましたが、そのような事は私には 全然解りません。正直申し上げて、ご質問を頂く事はとても嬉しいのですが、生き物に関する事なら何でも知っているわけではありませんし、当然納得して頂けるような回答が出来るとは全く限りません。とりあえず、解る範囲での推測を申し上げておきますと、ピラニアは琵琶湖の冬の冷たい水には耐えられないと思います。根拠は以前友人がピラニアを数匹飼育していたのですが、ある日ヒーターのスイッチを入れ忘れた為、簡単に全滅させたのを見た事があるからで、殆ど科学的な裏付けはありません。但し、将来的に琵琶湖がピラニアの為に遊泳出来なくなる可能性は決してゼロではないと思います。根拠は次の二点です。
    (1)ピラニアがペットショップでほんの数百円で簡単に入手できる事です。人間は簡単に入手した物は簡単に手放しますから、今後もピラニアが琵琶湖に限らず池や川に放流される可能性はかなり高いと思われるからです。
    (2)これまでに日本に帰化した多くの動物が、原産地とはかなり隔たりのある日本の環境に次第に順応してきた事実があるからです。

    あまりかしこまった表現はしたくありませんが、ペットを飼い始める時には寿命を全うするまで面倒をみる覚悟をして頂きたいですし、自分の周囲の環境、自然に対する責任を少しだけでも考えて行動していただきたく思います。一度バランスの崩れた自然は元には戻れませんから。