初めての一人暮らしで寂しいので、ペットを飼い始めようと思うのですが、子供の頃にお祭りの夜店から兄が持ち帰ったヒヨコの世話して、ほんの数週間で死なせてしまった時の悲しい思い出があり、なかなか思い切れません。どの様な気持ちでペットを飼い始めたらよいでしょう?


ペットを飼い始める前の段階でのご相談は、珍しいケースです。一般の方がペットを飼う事を検討される場合、まずは家族 場合によっては親しい友人に相談し、ある程度前向きに話が進めば、次いでペットショップやブリーダーの方たちに相談されます。そして、飼い始めたペットの予防注射や健康診断、若しくは病気になったり怪我をした際に 動物病院へ来院されます。ごく自然な事の運びと思われるかもしれませんが、ペットを飼い始める前の段階で獣医師に相談される事を 私としては是非おすすめ致します。理由は、ご家族や友人はペットに関して専門的な知識を持っておられないでしょうし、ペットショップやブリーダーの方に相談されると 動物を飼う事を前提にしてお答えになるのではないかと思います。ペットを売る事で利益を得られるわけですから当然かもしれません。ところが私を含めて獣医師なら、ご相談頂いた方がペットを飼い始められる事に当面の利害関係はありませんから、客観的にお答えできますから、ひょっとするとペットを飼う事をおすすめしないかもしれません。この質問を頂いた方とは、2~3回メールのやり取りをしただけで面識もありませんから、あまり断定的なことは申し上げられませんが、仕事の関係で関西に来られて、生まれて初めての一人暮らしを始められたばかりだそうです。子供の頃のヒヨコを世話して死なせた思い出がある為 これまでに一度もペットを飼った経験がないそうです。現時点では関西に友人、知人は殆どいなくて寂しいので、住居の関係で可能な小鳥若しくはハムスターなどの小動物を飼ってみたら癒されるのではないかと 思われているそうです。私の率直な意見としては、まず仕事や職場の人間関係、そして一人暮らしの生活に慣れる事に努力をされて ある程度落ち着かれてから、ペットを飼うか否かについて もう一度考えられた方が懸命ではないかと思います。仕事に慣れ、職場に馴染み、生活が落ち着く頃には、仕事仲間や 趣味などを通じて友人、ひょっとしたら恋人なんかが出来ているかもしれません。そうなると、ある意味で非常に自由で気楽な一人暮らしが楽しくなり 寂しさなど感じている暇もなくなっているかもしれません。ペットを飼う事は、一緒に遊んでいるときは楽しく気持ちを癒してくれますが、例え小さくても生き物の生命を預かる訳ですから、毎日餌を与えたり掃除をしたり、病気や怪我をすれば病院へ連れて行き必要に応じて看護もしなければならないかもしれません。小さくても動物の面倒をきちんとみるのは、結構面倒で手間暇や金銭がかかります。 数週間面倒をみたヒヨコの死を覚えておらるような優しい気持ちの方ですから、ペットを飼い始めたらきちんと飼い主としての責任をまっとうされる方だと思いますが、仕事やプライベートの面で充実してくると かえって負担になってしまうかもしれません。そして予め知っておいて頂きないのは、小動物の寿命が短かれば一年長くとも数年ですから、常識的には必ずそのペットの死を覚悟しておかなければならない事です。以上の事から、要約すると現在の生活に馴染まれた上で、手間暇がかかることや 飼い始めたらほぼ確実に死を迎える事までの覚悟が出来てから、また相談して頂きたい、という事です。現実にペットを飼う事を決意されたら、どの様な動物が飼い易いかを説明しますので再度連絡を下さい。

よくあるご質問一覧