よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

よくあるご質問


  • フェレット(4歳、メス)を飼っていますが、以前が凄く活発で注意深かったのですが、最近は昼間なのに寝ぼけたようにボーっとして、涎をダラダラ流したりしています。もうボケの症状が始まったのでしょうか?


    フェレットの寿命は、8~10年と言われていますから、ボケが始まるには、ちょっと早すぎるでしょう。3~4歳で、ボーっとしたり涎が続くのなら、膵臓が腫瘍、それも悪性の癌に侵されている場合が予測されます。
    膵臓は、グルカゴンと言って血糖値を上げる働きをするホルモンとインスリンと言って血糖値を下げる働きをするホルモンが分泌されて、血糖値を一定に保つように働いている臓器です。そこに腫瘍が出来ると、インスリンの分泌量が増加して、血糖値が下がりすぎる状態、つまり低血糖の状態になります。フェレットのこの病気をインスリノーマと呼びます。
    症状としては、初期にはボーっとしたり涎が認められます。やがてふらついて腰が抜けたようになったり、痙攣を起こして、昏睡状態になる場合もあります。
    治療法としては、外科的に腫瘍を摘出する方法があります。但し、1~2年のうちに再発する可能性が高いと言われています。内科的治療法は、血糖値を正常にする事を目的とする根治療法ではなくて、低血糖状態になる事を防ぐ為にステロイドホルモン等を死ぬまで投与し続けます。勿論副作用の心配もありますが、手術の危険性と再発の可能性を考えると、私は状態を見ながら内科的な治療を施す方が、本人の苦痛も少なくて長生きできる治療法である場合が多いように思います。
    何れを選択されるかは、飼い主さんが先生と納得のいくまで相談された上で決めてください。


  • セアカゴケグモが近所で大量にそれも小学校内からまでみつかったというニュースを見ましたが、うちの息子達(小6と小3)は二人とも昆虫等が大好きなので、心配です。息子達にどの様に注意すればよいでしょうか?


    セアカゴケグモが、初めて日本で確認されてから10年位たちますので、このクモについてのある程度の認識は定着しているかと思いますが、大量であり小学校という子供にとって非常に身近な場所であった事に驚きそして心配されている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
    ご存知の方も多いかと思いますが、このクモについて簡単に説明しておきますと、熱帯から亜熱帯に住むゴケグモの一種で、体長は成熟した雌で8~10mm、雄は4~5mm、名のとおり背中に赤い(オレンジ色?)部分が目立つ。寿命は一年位だが、雌はその間に1000個以上の卵を産む。獲物を捕らえるために神経毒を有するが、大人しくて、攻撃されると死んだ振りをする位に攻撃性の乏しい性格である。生息場所は、側溝やその蓋をイメージされる方が多いと思いますが、例えば自動販売機やクーラーの室外機、浄化槽の送風機、外灯等の隙間部分、墓石の線香や花を立てる部分等でも最近ではよく見かけられています。
    このクモによる人間の被害は、1960年代から70年代に1,000件以上報告され、数十人の死亡が確認されています。但し、現在は治療法が確立されていますから、死亡する危険性は殆どありません。
    ゴケグモの名の由来について、「ご主人をこのクモにより亡くして、奥さんが後家さんになるから」という俗説があるそうですが、「交尾後に雌が雄を食べてしまい、自ら後家さんになるから」という説の方が正しそうです。
    さて、息子さんたちへのアドバイスですが、根本的な対策は学校が十二分におこなうでしょうし、必要以上に注意を受けると思いますから、お母さんが更に警戒心をあおるように話されるのはおすすめできません。それよりもむしろ、せっかく生き物に興味を持っておられるのですから、出来る事なら、お母さんと息子さん達でこのクモを探して見られたら如何ですか?今ならインターネットでいくらでも表面的な情報は入手できますが、実物と接する以上の生きた情報はありません。「このクモに注意しなさい」と繰り返すより、実際にいそうな場所を覗いてみて、もし見つかれば多分そのちいささ(1センチ以下)に驚いたり、その動きが結構ゆっくりであるのに安心したり出来ます。クモと接しながら(手袋をしていれば安全です)、どの様に扱えばよいのか、どういう点に注意が必要なのか教えてあげれば、実際に役立つ知識として身につくと思います。
    それから、このクモが日本に棲みつくようになった経過(海外から運ばれて来るコンテナ等によって自ら望んだわけではなくて来日した事、そして好ましくなかった環境に少しずつ順応してきた事)、人間に実質的な被害を及ぼすわけでもないのに、毒を有するというだけで忌み嫌われ、駆除されている事、故郷(オーストラリアや東南アジアでは日本のように目の仇にされずに人間と共存している事等についてゆっくり話してあげて、このクモについて色々と考える機会を作ってあげてください。


  • コーギー(生後45日)をペットショップから購入しましたが、我家に来た日から下痢が続き、ショップに相談すると環境に馴染むまで様子をみるように言われました。二三日たっても良くならないので、近所の動物病院で診察を受けると、栄養状態が非常に悪いので、ショップに返す事を勧められました。ショップに相談すると、動物の場合はクーリングオフ出来ないと断られました。何か良い解決策はありませんか?


    ペットショップと飼い主さんの間でよく起こるトラブルの一つです。私は法律の専門家ではありませんので、確実な事は弁護士さんに相談された方がよいと思いますが、私の経験した事から申し上げると、法律的には動物も一般の商品と同じ扱いであるので、購入して二週間以内なら動物をショップに返して、全額返金してもらえるはずです。
    ペットショップによっては、この様なトラブルが頻発しているからかもしれませんが、購入するときに「飼い主の事情で返品はしない」と言った内容の書類に署名捺印を求められる事もあるそうです。もし、その様な書類に署名捺印していたとしても、片方に一方的に不利な書類は無効であるケースもあるそうなので、諦めないで弁護士さんに相談して適切な対処をしてください。
    もし、子犬が重篤な状態になったり死亡した場合、それから一定の期間を過ぎてしまった場合には交渉が難しくなるかもしれませんから、動物を返そうと考えられたら出来るだけスムーズに行動してください。
    動物を返す方法がどうしても難しそうなら、お宅の環境に適応しやすそうな別の子犬と交換してもらう事を交渉してみるのも現実的な解決方法かもしれません。但し、飼い主さんと子犬の縁や飼い主さんとショップの相性というものは不思議な物で、一度上手くいかないと、二匹目でもやはり何かの不都合が生じることも少なくありませんから、二匹目を探すときは一匹目以上に慎重に子犬を選びましょう。


  • モルモットを飼い始めることになりました。どのような餌をどれ位与えればよいのか教えてください?


    モルモットは純粋な草食動物ですが、必要栄養素について同類であるウサギ等と比べて明らかに異なった特徴がいくつかあります。

    1)ビタミンCを体内で合成できない為ビタミンCを増強されたフードである事が必要です。但しビタミンCは空気に触れるだけでもどんどん分解していきますから新鮮な 野菜(ニンジン、ブロッコリー、小松菜等)や果物(リンゴ、イチゴ、ブドウ)で補充してあげる事も必要です(他の草食動物はビタミンCを体内で合成できます)
    2)小腸のうちで盲腸の比率が他の草食動物より大きくて食物繊維の消化率が高いので粗繊維が10パーセント以上含まれる事が望ましい(小腸は空腸、回腸、盲腸の三つの部位に分かれます)
    3)タンパク質やカリウム、マグネシウム等の要求量が多いので、マメ科のアルファルファを主とする干草を十分に与える事が必要です。

    モルモットは以上のような特徴を持つので例えばラビットフードでも代用できないわけではありませんが入手できるならモルモット専用フードとアルファルファを主とする干草に新鮮な野菜、果物を加えて与えてください。
    モルモットはデリケートで下痢をしやすいので食物は常に清潔で新鮮であるよう気をつけましょう。それから、時間をかけて少しずつ食事しますから、餌箱が空にならないように注意してあげてください。


  • 猫(日本猫、2歳)に避妊の手術を受けさせたのですが、手術中に死亡してしまいました。原因は麻酔が身体に合わなかったからだろうと言われました。事前に麻酔が体に合うか合わないかの検査等すべきだったのではありませんか?


    動物病院の獣医師としては、答えにくい内容であり且つストレートな質問を頂きましたのでかなり困っておりますが、逃げずに精一杯のお答えをしたいと思います。
    避妊の手術の主な目的は望まれない妊娠を防ぐ事であり結果的に乳腺腫瘍や子宮蓄膿症等の恐ろしい病気を未然に防ぐメリットもあります。つまり原則的に健康な動物に施す手術でありますから、例えば腫瘍の摘出手術のように健康体になる為に行う手術とは、手術の周囲の状況が全く異なります。
    相談者が仰るように事前に十分な検査を実施すれば何らかの異状を見つけることが出来たかもしれません。その異状に対して先に治療して健康な状態になってから手術すれば無事に終えられたのかもしれません。治療をしなくても手術する獣医師が異状を認識していてそれなりの準備をしていたら術中に猫は死亡せずに済んだかもしれません。勿論、急ぐ必要の無い手術ですからとりあえず延期若しくは取りやめるという選択肢もあったかもしれません。
    只、当院に若くて元気な猫が来院して避妊の手術を希望されたとしたら、過去の病歴や現在の状態等を問診し一般的な診察(体重や体温を測り、目や耳、歯や歯茎、皮膚や毛、爪、肛門等の状態をチェックし、聴診器で心音呼吸状態などを確認、全身の触診等)をして特に心配な点が無ければ、それ以上の検査等はせずに手術の日程を決め準備を始めるでしょう。
    もし、猫がかなりの高齢であったり、著しく肥満若しくは削痩した状態であったり、診察して何か心配な点が見つかれば、飼い主さんに説明して了解の上で必要に応じて検査をするかもしれません。相談者の猫の場合、先生から検査の必要性等の説明が無かったとしたら、問診や診察で特に心配な点は見つからなかったのだと思います。
    もし手術が腫瘍の摘出の場合なら、飼い主さんに説明し了解を頂いて転移の可能性を危惧してレントゲンを撮影するでしょうし、全身的なダメージや状態をチェックする為に血液検査を行うであろうと思います。
    健康である事が前提として行う避妊、去勢の手術で、何も異状が見つからないであろうと推測される検査を実施する事は、レントゲン撮影や採血による猫への負担(大人しい猫なら大したことはありませんが、結構暴れる子が多いです)、手術費用に加えてかかる検査費用という飼い主さんへの負担を考慮すると病院としてもあまりもおすすめ出来ません。
    現実的な話をすれば手術の前に検査をすすめその費用まで説明したら丁寧で親切な病院と判断される飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、もっと安上がりでスムースに手術をしてくれる病院を探される飼い主さんが多いと思います。
    正直に申し上げますと、当院でも避妊、去勢の手術で亡くなった動物はいますし、麻酔などが安定しないので手術を中止したケースもあります。残念な事ですが、同様の悲しい事故が起こっている病院は少なからずあると思います。
    私は、避妊手術中の事故が起こって以来、同様の手術をする場合、健康診断的な意味合いも含めて術前検査をする事を簡単にですがおすすめしています。数百人の飼い主さんに説明しましたが検査を希望された方は現在の所二名だけです。
    相談頂いた飼い主さんももし術前に万が一の危険性を探す検査をすすめられたとして、快く承諾されたでしょうか?そしてもう一つしっかりと認識していただきたい事ですが検査を受けたとしても、死亡原因が確実に見つかる保障はどこにも無いという事です。
    人間の場合どのような手術に対してどの程度の術前検査が実施されるのか分かりませんが、動物の場合残念ながらある程度の限界がある事は理解して頂きたいです。私達獣医師は、この様な不幸な事故が起こらないように出来る範囲で精一杯の準備をし、集中して手術に取り組んでおります。とは言っても人間のすることであり、生き物を相手にする事ですから、絶対に安全な事など無いと思います。自分の大切なペットを失った飼い主さんには、このような事情を100パーセントではなくても、その何割かを理解し納得していただくしかないと考えますが、如何でしょう。


  • いずれアメリカから検査を受けていない牛肉が輸入されそうですが、本当に安全なのでしょうか?


    大変難しい問題で、安全か否かなんて正直に申し上げて私等には到底解りません。勿論興味のある問題ですから、新聞やテレビ、インターネット等で多少は情報を入手して自分なりに考えていることはありますから、その範囲であくまでも個人的な意見を述べさせて頂きます。
    ポイントは
    (1)日本で全頭検査を止めて、20ヶ月令までの牛は検査対象から外すこと
    (2)アメリカから同月令までの未検査の牛肉が輸入がいずれ再開されること
    の2つだと思います。
    (1)について考える前に、全頭検査について勘違いされている方が意外に多いみたいなので、少しその説明させて頂きます。全頭検査とは、病死又はと蓄場でと殺された全ての牛についてその脳の一部に異常ブリオン蛋白が存在するか否かを調べる検査です。生きている牛を検査するわけでも、私たちが実際に食べる肉を検査しているわけでもありません。そして、牛の年令が若くてもし狂牛病に罹っていても異常ブリオン蛋白の量が極めて少なければ陰性と判定する可能性があります。但し、その場合その牛を食用に用いても人間が被害を受ける現実的な危険性も又極めて低いと思います。
    つまり、全頭検査をすれば、狂牛病が100パーセント見つけられる訳ではない事と、そこでもし見逃されたとしても現実的には心配が無いと言う事です。
    だとすれば、ある一定の年令までの牛を検査の対象から外すことは間違いではないと思います。但し、ここで重要なのは生後20ヶ月に線引きをする事が適当かどうかだと思います。これまでに狂牛病と確認された最若令が21ヶ月だったから20ヶ月以下であれば検査不要と言うのは科学的根拠が乏しいけれど、どこかに基準を置かざるを得ないわけですから仕方がないのかもしれません。
    (2)についてはアメリカにおける月令の判断が非情に主観的であいまいな印象を持っているのは私だけではないと思います。ですから、アメリカからの外圧に負けて済し崩し的に輸入を再開するのではなくて国民が納得できるだけの交渉とその内容の十分な説明を小泉首相に期待しております。
    但し、小泉さんが頑張ろうと妥協しようといずれ輸入再開となれば私は時々牛丼を食べに行くでしょう。ですから、アメリカの牛肉を危険な食物とは認知していません。こんな事でご質問に対するお答えになっているのか自信がありませんが、最後は御自分で判断して決めてください。今の日本では、牛肉など食べなくても十分に豊かな食生活はおくれるでしょう。


  • 長年犬を飼っていますが、日本で狂犬病は既に存在しない病気なので予防注射を受けさせた事がありません。特にこれまで不都合もなく罰則をうけた事もありませんが、必要なのでしょうか?


    狂犬病予防法という法律において、犬の飼い主は、犬を所有してから(生後90日以内の場合は90日を経過してから)30日以内に所在地の市町村(区)長に登録を申請して、鑑札の交付を受け、犬に着ける事、そして毎年狂犬病の予防注射を受けさせて、その注射済み票を犬に着ける事が義務付けられています。
    この義務を果たされていない(鑑札や注射済み票を身に着けていない)犬は、狂犬病予防員によって拘留され、場合によっては処分されます。又罰則として、義務を果たさない飼い主は、20万円以下の罰金が定められています。
    予防注射を実施しないだけで、場合によっては殺処分されるなんて、ひどい法律だと思われるかもしれませんが、致し方ありません。何故なら、狂犬病予防法も狂犬病の予防注射も犬の為のものではなくて、国民のの安全を守るためのものだからです。ですから、日本でもう50年以上発生していなくても、世界中で毎年数万人が死亡している現状では、この法律が改正される事は当分ないでしょう。
    但し、予防員によって犬が拘留されたケースや、飼い主さんが罰金を支払った事実は聞いた事がありません。ですから、実質的な罰則は無いに等しいのが現実です。
    しかし、「現実的な罰則が無いから、法律に定められた義務を果たさなくてもよい」という考え方は、恥ずかしいと思いませんか。「自動車運転時のシートベルトの着用」の様に罰則が重くなって、やっと遵守率が高くなるなんて情けない事だと思います。
    それに、公的な罰則が無くても、もし飼い犬が人間若しくは犬とトラブルを起こした場合、登録して予防注射済みの場合に比べて、登録も注射もしてない場合では立場が明らかに不利になります。
    罰則の有無や、損得に関わらず、飼い主さんの義務として認識して頂いて一人でも多くの飼い主さんが登録と定期的な予防注射を実施される事を私は獣医師として期待しております。


  • 狂牛病とはどんな病気なのでしょう?


    詳しいことは、厚生省や保健所などのホームページをご覧頂ければよいと思いますが、「伝達性海綿状脳症の一種であるがその伝達因子は不明である」等と表現されてもなかなかピンとこないと思います。勿論、単純な病気ではないのでそんなに簡単には表現できませんが、私が自分なりに理解している範囲で説明させていただきます。
    狂牛病とは、牛海綿状脳症(BSE)とよばれ、1995年から約19万件発生していますが、その97パーセントはイギリスでアイルランド、ドイツ等のヨーロッパ諸国が数百等単位で続いており、日本では05年の2頭を含めて16頭が確認されています。
    感染経路について完全には解明されていませんが、異常プリオン蛋白(感染した牛の脳に特徴的にみられるスポンジ状に変性した蛋白質で、脳内に少量でも形成されると正常なブリオン蛋白をどんどん変性して増殖し病状を引き起こす)を肉骨粉等の形で摂取することが主な原因と考えられています。尚、この異常ブリオン蛋白は通常の加熱処理等で病原性を無くす事は出来ません。
    牛が感染すると数ヶ月から数年に及ぶ潜伏期間を経て発症し、神経過敏による攻撃性の増大や、逆に沈うつ状態、食欲減少による体重低下、異常姿勢、麻痺や起立不能へと病状が進行します。残念ながら現在の所、有効な治療法がみつかっておらず、数週から数ヶ月で100パーセント死亡する恐ろしい病気です。
    類似する病気には、ヤギやヒツジのスクレイピー、ミンクや猫の海綿状脳症、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病等があります。
    尚狂犬病はウィルスによる伝染病ですから、症状などには類似するところもありますが、全く別の病気です。


  • 柴犬を購入しようと思ってペットショップを探して回っていたら、二軒のショップで生後50日位の子犬を見つけて同じ位気に入ったので迷っています。片方はワクチン接種済み、もう一方は未接種です。ワクチン済みの子犬を扱っているショップの方が信頼できると思いますが、何か選ぶためのポイントがあれば教えてください。


    一般の方が、ペットショップで子犬を購入しようとした時、ワクチンを接種済みの子犬の方が、未接種の子犬より安心できると考えられるのは仕方のないことかもしれません。子犬の場合大切な事は、ペットショップで販売されている時にワクチン済みか否かではなくて接種するべき時期に接種してあるかどうかです。子犬のワクチン接種時期としては、生後60日目と90日目が理想的であると言われています。60日目に一回目の接種をする理由は、子犬が産まれて初めて飲む母乳(初乳)によって母犬から貰い受けた免疫力が生後50~60日で消失すると言われています。従って、生後60日頃が免疫力を持たない状態で一番幼くて心配な時期であるので接種が必要と考えられます。但し、接種時期は早ければ早いほど良いわけではありません。例えば生後40~50日目に接種しても母犬から貰った免疫が消失する時にワクチンによって獲得できるはずの免疫も一緒に消失してしまうからです。
    ご相談頂いた子犬は生後50日位ですから、今申し上げたように既に接種してあるワクチンの実質的な効果は殆ど期待できませんし、幼い子犬に余分なストレスをかけていると言ってもよいでしょう。
    ペットショップの方は、子犬を扱うプロですから、恐らく時期外れのワクチンが無駄である事はご存知だと思います。無駄であってもワクチンが済んでいる事を強調する方が何も御存知ない飼い主さんには売り易いから接種しておられるのではないでしょうか。勿論、殆ど効果の期待できないワクチンの接種料も価格に含まれているはずです。
    以上の事から、ワクチン済である事で、そのショップを信頼できると考えるのは不適切だと思います。逆に、もう一方のショップが、適切な時期に接種する為に現在はワクチンを接種していないのかどうかは分かりませんから、それとなく尋ねてみられたらよいかもしれません。
    いずれにしても、子犬を飼い始めたら大切なのは信頼できるペットショップを見つけることよりも、信頼できるかかりつけの動物病院を探して、小まめに相談にのってもらう事ではないかと思います。
    (補足)最初だけ90日目にもう一度ワクチンを接種する理由は二重免疫効果といって、まだ免疫効果の高い時期にワクチンを追加すると、更に高い免疫を継続できるからです。以前にQ&Aで「ワクチン」を取り上げた時に詳しく説明してありますので、そちらをご覧ください。


  • かかりつけの病院では診察時によく血液検査をします。例えば、血尿のときに尿検査、打撲したときにレントゲン検査をするのは理解できますが、どうしてその様なときにも血液検査が必要なのでしょうか?


    血尿の患者さんが来院されたら、当院でも尿検査は勿論ですが、可能であれば血液検査も実施すると思います。血尿が認められたら尿路(腎臓から尿管、膀胱、尿道)に異状があるのは間違いありませんが、そもそも尿は腎臓で血液からつくる訳だし、血液の老廃物の対外への排泄が尿の一番重要な役割ですから、血液中のアンモニアや尿素窒素の数値は病気の身体への影響をみるうえでとても大切です。
    打撲を主訴として来院された患者さんでも、その程度によりますがレントゲン撮影と必要に応じて血液検査をします。飼い主さんはレントゲン検査で体の内部のたくさんの事が解ると思われているかもしれませんが、骨折や内臓破裂等は別ですが影の濃淡からそんなに多くの情報が得られるとは限りません。例えばレントゲン写真から肝臓へのダメージが疑われた場合、血液検査の肝機能の項目と照らし合わせることにより、より正確な診断につながると思います。
    ですから、検査をする目的と検査結果からわかった事を先生が飼い主さんに十分説明していればこの様な疑問は生まれなかったのかもしれません。但し、飼い主さんも遠慮なく疑問に思うことは尋ねられた方がよいと思います。