よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

よくあるご質問


  • ノミにはどんな種類がいるの?


    日本には約80種類位のノミがいるそうです。以前は、主に人につくヒトノミ、主に犬につくイヌノミ、主に猫につくネコノミが人間の生活に関わる“ノミ”でした。
    しかし近年は犬猫に寄生し、人間にも被害を及ぼしているのは、大部分がネコノミです。
    ですから以前は「犬につくノミは人をささない」といわれていましたが、最近はノミの寄生している犬の飼い主さんにも被害がふえているようです。


  • 自宅で小鳥を飼っていますが 鳥インフルエンザに罹りませんか?また、一緒に暮らしている人間は大丈夫ですか?


    室内で飼っておられるのでしたらベランダ等での野鳥との接触に注意されれば、現実的には殆ど心配はないと思います。但し、鳥インフルエンザは特殊な病気ではなくて風邪の一種ですから、一般的な風邪に対する配慮、例えば急激な気温の変化や乾燥、ストレス等に対しては十分に気を配りましょう。もし、急死した場合は、かかりつけの獣医さんか「大阪府農政室 鳥インフルエンザホットライン」(06-6944-6745)に相談してください。
    鳥から人間への感染が心配されるケースは、例えば解体して内蔵等に直接接触した場合や、糞が乾燥して空気中に飛散して それを吸入してしまった場合などです。だから、ペットとして鳥を飼っておられるのでしたら、鳥インフルエンザの為というよりも ごく一般的なペットに対する接し方として、動物に接触したら手をよく洗いできたらうがいを励行する事、糞の後始末はこまめにしてあげる事等に注意されれば殆ど心配ないと思います。


  • うちの犬は時々赤いおしっこをしますが、病気ですか?


    飼主さんが何度も赤色尿を確認されているのでしたら、病気又はケガの可能性が強いと思います。赤色尿には、血液が尿に混じる血尿と、赤血球が壊れてその赤い色素が混じる血色素尿があります。血尿の原因としては、腎臓や膀胱で結石ができて尿路粘膜を傷つけて出血、炎症を起こす場合(尿石症→膀胱炎)、膀胱に腫瘍ができた場合、事故等により尿路に損傷を受けた場合等が考えられます。血色素尿の原因としては、フィラリアが本来の寄生部位(肺動脈)ではない右心房から大静脈に寄生した場合(大静脈症候群)、ネギや玉ねぎ、ニラ等を摂取してその有毒成分により溶血が起こった場合(ねぎ中毒)、赤血球に住み着く寄生虫(バベシア、ヘモバルトネラ等)により溶血が起こった場合等が考えられます。いずれにしても、重篤な恐ろしい病気ですから、なるべく早く病院で診察を受ける事をおすすめします。


  • うちの猫は最近 頻繁にトイレに長時間座っていますが、あまりおしっこは出ていません。どうしてですか?


    尿検査をしてみないと、はっきりした事は解りませんが、尿中にストルバイト、シュウ酸カルシウム等の結晶が生じ、それらが寄り集まって尿道に詰まってしまい、尿が出難い状態になっている可能性が高いと思われます。尿道が完全に詰まってしまい、尿が全くでない状態になってしまうと、三日くらいで命に関わる場合もありますから、出来るだけ速やかに病院で診察を受け、適切な治療を始めてください。


  • 柴犬(生後4ヶ月、メス)が 近所の病院でニキビダニ症と診断され、「治療は費用が高額で一生続く」と言う理由で「安楽死」をすすめられました。何か他に方法は無いのでしょうか?


    まだ若い年令でいきなり安楽死をすすめられては、さぞびっくりされたことと思います。以前は、そういうケースもあったそうですが、現在では当院でも数匹、全国では多数の犬がこの病気と戦っています。但し、このダニは本来皮膚に常在しており犬の体質や免疫力の低下等によって痒みなどの症状が現われる病気ですから、この戦いは ダニを完全に駆逐しての完治ではなくて、この病気と上手にお付き合いして うまくコントロールし 少しでも快適な生活を目標とします。
    治療費については、その犬の症状や健康状態による違いもありますが、病院によってかなり差があるようなので十分に事前確認をされた上で納得して始められればよいと思います。
    具体的な治療は、ダニの減少を目的とする駆除剤の投与(内服、注射、皮膚への塗布、薬浴)と 二次感染と痒みの軽減を目的とする抗生剤と消炎剤の投与が主となりますが、本人への負担と飼い主さんの手間隙も相当長期にわたることを覚悟して始めてください。
    ペットも家族同様に寿命を全うする権利を持って生まれていると思いますから、飼い主さんのご苦労は一方ならぬ物と思いますが是非頑張ってください。


  • 犬のフィラリア症を予防する前に、血液検査が必要だと聞きましたが、何を調べるのですか?


    前年の夏を過ごしてフィラリア症に感染する可能性のある犬は、例え毎年予防をしていても100パーセント感染していないとは断言できませんから、血液検査をして感染していない事を確認する事が必要です。何故、フィラリア症に感染していない事の確認がそんなに重要かと思われるかもしれませんが、万が一感染していて、予防薬を投与するとショックを起こして最悪の場合死亡する可能性さえあるのです。ですから、感染していない事を確認してから安心して予防を始めましょう。昨年の秋以降に生まれた犬は今年は検査せずに予防が始められますが、来年からは検査を受けましょう。もし、検査でフィラリアに罹っている事が解っても、それなりの対策がありますから諦めないでください。


  • 雑種犬(生後四ヶ月、メス)を庭で飼い始めました。避妊しておいた方が安心だと分かっていますが、自然の摂理に反するようで気がすすみません。避妊手術による身体への悪影響はありませんか?また、妊娠の心配がなくなること以外に何かメリットがありますか?


    犬猫の避妊の手術は、一般的に 開腹して卵巣と子宮を摘出するのですが、若くて健康な動物であれば、手術による体への負担や危険性は低いと思います。当院では、手術の当日は入院していただきますが、翌日には歩いて退院できます。
     手術による身体への影響が全く無いわけではありません。卵巣は女性ホルモンを分泌する重要な器官ですから、その摘出によって体内のホルモンの分泌バランスが狂います。但し、それは一時的で数週間、長くとも数ヶ月で治まりますし、通常の生活には殆ど影響は無いと思います。
     避妊手術によるメリットは以下のようなものがあると思います。
     1)生理による出血が無くなります。(室内犬の場合、部屋が出血で汚れません)
     2)乳腺腫瘍の危険性が低くなります。(乳腺腫瘍は女性ホルモンによって細胞
      の増殖や転移が促進されるからです)
     3)子宮蓄膿症(子宮に細菌が侵入し増殖して膿がたまる病気)、卵巣腫瘍の
      心配が無くなります。(卵巣と子宮を摘出してしまうからです)
     以上の事から、避妊手術は若くて健康な犬猫にとって、身体への負担や悪影響が少なくて比較的安全性の高い手術であり、飼い主さんの意に反する妊娠の心配が無くなる以外にもメリットがありますから、ご家族で十分に相談された上で前向きの結論を出される事を期待します。


  • 鳥インフルエンザとはどんな病気なのですか?


    ウイルスにより鳥類が感染するインフルエンザ(風邪の一種で流行性感冒とも言う)の総称ですが、現在話題になっているのは そのうちの特に急性で罹患率と致死率が高い「高病原性鳥インフルエンザ」の事です。主に接触により感染して一週間ほどの潜伏期間を経て食欲や元気が無くなりクシャミや咳、下痢や顔面浮腫、チアノーゼ、首曲がり等多様な症状を呈し突然死に至ります。
    今回初めてその存在を知られた方が多いと思いますが、日本でも1925年に一度発生していますし、2003年だけでも香港、米国、オランダ、ドイツ、韓国等で発生が確認されている病気です。


  • 先日家の猫(3歳メス)が、深夜に嘔吐を繰り返したので、救急病院へつれていきました。血液検査の為、前足の毛をバリカンで刈って採血されましたがとても嫌がってかなり暴れました。かかりつけの病院では、後足から採血されるとあまり恐がらないのでその様にお願いしましたが聞き入れてもらえませんでした。診断の為に必要な検査をして頂くのはかまいませんが暴れたのでよけいに苦しそうになった様に思います。前足から採血する何か理由があったのでしょうか?


    猫の採血部位は一般的に前足のとう側皮静脈、後足の大腿静脈、首の頸静脈の3箇所だと思います。獣医師によって得手不得手はあると思いますが、私の場合はとう側皮静脈からの採血が一番経験も多いしやりやすく感じます。大腿静脈は後足の内側にありますから保定もしにくいし採血後の止血にも時間がかかりますから、神経質な猫の場合に採血されていることが猫に見えないようにして使う場合がありますがその頻度は高くありません。頸静脈は太い血管ですから多量に血液が必要なときだけ使います。
    さて、救急病院では初めての診察室と先生ですし、ましてや緊急時ですから飼い主さんも動物もかなり緊張し興奮している状態だと思います。その様な状況では、かかりつけの病院で落ち着いて出来る事が同じ様に出来るとは限らないと思います。救急病院の先生はその様な状況を数多く経験されているわけですから、恐らく前足からの採血が結果的には一番確実で安全な方法と判断されたのだと思います。その判断が絶対的に正しかったのかどうかは私には解りませんが、先生からそのあたりの事情をもう少し説明があってもよかったのかもしれませんね。ただ、飼い主さんもその病院を選んで診察を受けられた以上、その病院と先生を信頼される事を同じ獣医師としては期待いたします。


  • 家の老犬(柴犬、避妊済みの雌、16歳)は以前から白内障や歩行障害を起こしていましたが、最近は夜鳴きや徘徊が始まりました。かかりつけの病院では「ボケは老化現象だから治療法がありません。安楽死を希望されるなら対応します。」と言われました。近所迷惑ですし、とても可哀想ですが安楽死等考えたくもありません。何か対処法はありませんか?


    「安楽死」については、万策が尽きた後の選択肢ではあるかも知れませんが、現時点で飼い主さんが考えたくないのは当然だと思います。
    さて、ご相談の件ですが、まず飼い主さんがその犬との対話の時間を出来るだけ取って下さい。出来る範囲で結構ですから、犬に話しかけ犬の対応に反応してあげましょう。犬がボケるのは自分だけの世界に閉じこもってしまう為に時間や場所の感覚が現実とずれてしまい起こります。ですから、可能な限り飼い主さんと心の交流が出来る時間を多く持てば、現実の世界に戻ってきてくれると思います。更に散歩に出かけられると外部の世界の刺激がよい作用をもたらすでしょう。歩行障害があるのなら自転車の籠や乳母車等に乗せるのはどうでしょうか?どうしても嫌がるなら仕方がありませんが、結構機嫌よく運動の為ではなくて気分転換の為の散歩に出かける犬はいますよ。
    それから、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とするサプリメントを試してみられるといいと思います。当院でも十数匹に投与して約半数の犬でボケの症状の改善が認められました。
    犬との対話、気分転換の散歩、サプリメントを紹介しましたが、何れも直ぐに目に見える効果が期待できるわけではありません。出来る範囲で結構ですから数週間から数ヶ月続けられればきっと何らかの効果が現われると思います。
    勿論年齢を考慮すればあと数ヶ月寿命が続く保障もありませんが、もしボケに対する対策の途中で効果のあがる前に寿命が尽きたとしてもその犬にとっては何もしてもらえずに放置されるもしくは安楽死されるよりは、最後まで充実した幸福な人生だったと考えてあげていいのではないでしょうか。