親戚の老犬(柴犬16歳)が寝たきりになり、その介護に非常に苦労されています。我家の犬(シェルティ13歳)は現在の所 元気ですが 何れ同様になるのではないかと心配です。要介護状態になった時の為に 今のうちから準備したり心掛けておくべき事があれば教えて下さい。


人間が要介護状態になったときの為に、家を予めバリアフリー仕様にしておくように、犬が老齢により体が不自由になった時を想定して 生活の場や様式を少しずつ改めていく事はとても良い事だと思います。具体的にどの様にすればよいかは、ケースバイケースですので、ごく一般的なことを幾つか提案してみます。必要と思われることがあれば実行してみてください。

◎足腰の衰え→生活の場を一階へ
人間が老齢化するとまず足腰が弱りますが 犬も同様ですから、階段の上り下りなどを避ける為に、二階若しくはそれ以上で生活している犬は 出来れば一階に生活の場を移しましょう。介護状態になれば、小まめに様子をみてあげられる場所においてあげる事で飼い主さんの負担も軽減できると思います。(勿論、一戸建てのお住まいの方の話で、集合住宅にお住まいの方に引越しまで 提案しているわけではありません)

◎抱っこ→出来なくなるかもしれません
小型犬なら現時点では抱っこして階段などの上り下りが容易かもしれませんが、年齢が進むと例えば心疾患等で胸を圧迫される事を嫌がるようになるかもしれませんし、乳腺腫瘍等ができて 痛がり暴れるかもしれません。ですから生活の場はなるべく抱きかかえて移動する必要の無い場所が望ましいと思います。

◎視力の衰え→見えてるうちに覚えさせましょう
遅かれ早かれ白内障等で視覚が衰えますから、ある程度でも見えているうちに、生活の場に慣れて、例えばトイレの場所等を覚えさせるためにも、まだある程度元気で目が見えているうちに生活の場を要介護状態になったときに過ごす場所へ移しましょう。
◎生活の場の危険な場所→早く見つけて対策
家の中での犬の通り道はある程度限定されていますから、よく観察して例えば頭をぶつけそうな場所には柔軟材で覆いをしたり、コードやコンセントで転びそうな場所には近づき難くする等の対策も早めに心がけましょう。

◎段差→階段やスロープを
玄関やお気に入りのソファー等に段差が結構ある場合は、コンクリートブロック等で段差の小さな階段を作るか、板等を用いてスロープを作る必要があるかもしれません。但し、この様なルートも、慣れておかないと使ってもらえませんから まだ元気なうちから少しずつ階段やスロープを利用し始めましょう。

◎散歩時の排泄→屋内トイレでの排泄
排泄の習慣についてですが、きちんと散歩に決まった時間に連れていっていると、散歩中に便、尿の排泄を済ませる習慣がついている場合多いと思いますが、足腰が弱れば定期的な運動は徐々に難しくなります。(勿論 突然に歩けなくなる場合もあります)ですから、少しずつ屋内での排泄を習慣づけていきましょう。

◎介護用胴輪→馴染む為に早めに利用し始めましょう
足腰が弱ってきたときに、起立や歩行そして寝返り等を補助する為の介護用胴輪(ハーネス)は、嫌がる子もいますが重宝されている方も多いと思います。身体を包み込む形なので体型にフィットして傷害部位にマッチする胴輪を選択し ある程度馴染ませるにはじかんがかかると思います。ですから、歩けなくなってからではなくて、起立が辛くなってきた時期くらいから始められると本人もそれ程違和感を味わわずに利用できると思います。

◎聴覚も衰える→指示は声と動作で
聴覚も衰えますから 犬への指示を、声や音だけで伝えていると徐々に指示が伝わりにくくなります。ですから、指示は視覚と聴覚の両方に訴えて与えた方がよいでしょう。即ち、指示を出すときに声だけでなく飼い主さんの動作も加えましょう。それも小さな動きでは視覚も衰えてくるわけですから少し大袈裟な位の動きを加えたほうが犬には解り易いと思います。

◎脳も衰える→指示は出来るだけシンプルに
脳の衰えも同時に進行しますから、理解力や記憶力も低下します。若い頃には沢山の細かな指示を理解し実行できたかもしれませんが犬への指示は必要最小限のものを出来るだけ解かり易く伝えましょう。

◎定期的な健康診断
これも人間同様ですが老齢になればなるほど、いろんな病気に罹り易くなりますから、早期発見 早期治療を目指して定期的に病院で健康診断を受けられる事をおすすめします。(当院ではペットドックを実施しております。一日お預かりしてかなり細かく調べますから出来れば一年に一回受診されると安心です。実際に病気になられたときの検査実費より料金がずっと安いですし、受信日から一年間の診察料が無料になるなどの特典もあります)

以上、思いつく順に書き並べてみましたが、参考になる事があれば幸いです。具体的に困った事が起こったら、またご相談ください。お待ちしております。

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