よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

  • 柴犬を購入しようと思ってペットショップを探して回っていたら、二軒のショップで生後50日位の子犬を見つけて同じ位気に入ったので迷っています。片方はワクチン接種済み、もう一方は未接種です。ワクチン済みの子犬を扱っているショップの方が信頼できると思いますが、何か選ぶためのポイントがあれば教えてください。


    一般の方が、ペットショップで子犬を購入しようとした時、ワクチンを接種済みの子犬の方が、未接種の子犬より安心できると考えられるのは仕方のないことかもしれません。子犬の場合大切な事は、ペットショップで販売されている時にワクチン済みか否かではなくて接種するべき時期に接種してあるかどうかです。子犬のワクチン接種時期としては、生後60日目と90日目が理想的であると言われています。60日目に一回目の接種をする理由は、子犬が産まれて初めて飲む母乳(初乳)によって母犬から貰い受けた免疫力が生後50~60日で消失すると言われています。従って、生後60日頃が免疫力を持たない状態で一番幼くて心配な時期であるので接種が必要と考えられます。但し、接種時期は早ければ早いほど良いわけではありません。例えば生後40~50日目に接種しても母犬から貰った免疫が消失する時にワクチンによって獲得できるはずの免疫も一緒に消失してしまうからです。
    ご相談頂いた子犬は生後50日位ですから、今申し上げたように既に接種してあるワクチンの実質的な効果は殆ど期待できませんし、幼い子犬に余分なストレスをかけていると言ってもよいでしょう。
    ペットショップの方は、子犬を扱うプロですから、恐らく時期外れのワクチンが無駄である事はご存知だと思います。無駄であってもワクチンが済んでいる事を強調する方が何も御存知ない飼い主さんには売り易いから接種しておられるのではないでしょうか。勿論、殆ど効果の期待できないワクチンの接種料も価格に含まれているはずです。
    以上の事から、ワクチン済である事で、そのショップを信頼できると考えるのは不適切だと思います。逆に、もう一方のショップが、適切な時期に接種する為に現在はワクチンを接種していないのかどうかは分かりませんから、それとなく尋ねてみられたらよいかもしれません。
    いずれにしても、子犬を飼い始めたら大切なのは信頼できるペットショップを見つけることよりも、信頼できるかかりつけの動物病院を探して、小まめに相談にのってもらう事ではないかと思います。
    (補足)最初だけ90日目にもう一度ワクチンを接種する理由は二重免疫効果といって、まだ免疫効果の高い時期にワクチンを追加すると、更に高い免疫を継続できるからです。以前にQ&Aで「ワクチン」を取り上げた時に詳しく説明してありますので、そちらをご覧ください。


  • 狂牛病とはどんな病気なのでしょう?


    詳しいことは、厚生省や保健所などのホームページをご覧頂ければよいと思いますが、「伝達性海綿状脳症の一種であるがその伝達因子は不明である」等と表現されてもなかなかピンとこないと思います。勿論、単純な病気ではないのでそんなに簡単には表現できませんが、私が自分なりに理解している範囲で説明させていただきます。
    狂牛病とは、牛海綿状脳症(BSE)とよばれ、1995年から約19万件発生していますが、その97パーセントはイギリスでアイルランド、ドイツ等のヨーロッパ諸国が数百等単位で続いており、日本では05年の2頭を含めて16頭が確認されています。
    感染経路について完全には解明されていませんが、異常プリオン蛋白(感染した牛の脳に特徴的にみられるスポンジ状に変性した蛋白質で、脳内に少量でも形成されると正常なブリオン蛋白をどんどん変性して増殖し病状を引き起こす)を肉骨粉等の形で摂取することが主な原因と考えられています。尚、この異常ブリオン蛋白は通常の加熱処理等で病原性を無くす事は出来ません。
    牛が感染すると数ヶ月から数年に及ぶ潜伏期間を経て発症し、神経過敏による攻撃性の増大や、逆に沈うつ状態、食欲減少による体重低下、異常姿勢、麻痺や起立不能へと病状が進行します。残念ながら現在の所、有効な治療法がみつかっておらず、数週から数ヶ月で100パーセント死亡する恐ろしい病気です。
    類似する病気には、ヤギやヒツジのスクレイピー、ミンクや猫の海綿状脳症、ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病等があります。
    尚狂犬病はウィルスによる伝染病ですから、症状などには類似するところもありますが、全く別の病気です。


  • 長年犬を飼っていますが、日本で狂犬病は既に存在しない病気なので予防注射を受けさせた事がありません。特にこれまで不都合もなく罰則をうけた事もありませんが、必要なのでしょうか?


    狂犬病予防法という法律において、犬の飼い主は、犬を所有してから(生後90日以内の場合は90日を経過してから)30日以内に所在地の市町村(区)長に登録を申請して、鑑札の交付を受け、犬に着ける事、そして毎年狂犬病の予防注射を受けさせて、その注射済み票を犬に着ける事が義務付けられています。
    この義務を果たされていない(鑑札や注射済み票を身に着けていない)犬は、狂犬病予防員によって拘留され、場合によっては処分されます。又罰則として、義務を果たさない飼い主は、20万円以下の罰金が定められています。
    予防注射を実施しないだけで、場合によっては殺処分されるなんて、ひどい法律だと思われるかもしれませんが、致し方ありません。何故なら、狂犬病予防法も狂犬病の予防注射も犬の為のものではなくて、国民のの安全を守るためのものだからです。ですから、日本でもう50年以上発生していなくても、世界中で毎年数万人が死亡している現状では、この法律が改正される事は当分ないでしょう。
    但し、予防員によって犬が拘留されたケースや、飼い主さんが罰金を支払った事実は聞いた事がありません。ですから、実質的な罰則は無いに等しいのが現実です。
    しかし、「現実的な罰則が無いから、法律に定められた義務を果たさなくてもよい」という考え方は、恥ずかしいと思いませんか。「自動車運転時のシートベルトの着用」の様に罰則が重くなって、やっと遵守率が高くなるなんて情けない事だと思います。
    それに、公的な罰則が無くても、もし飼い犬が人間若しくは犬とトラブルを起こした場合、登録して予防注射済みの場合に比べて、登録も注射もしてない場合では立場が明らかに不利になります。
    罰則の有無や、損得に関わらず、飼い主さんの義務として認識して頂いて一人でも多くの飼い主さんが登録と定期的な予防注射を実施される事を私は獣医師として期待しております。


  • 人間の食物で原材料や産地の偽装が相次いでいますが、ドッグフードの袋に表記されている原材料や保証分析値は信用してもいいのでしょうか?


    関西の人間なら誰もが一度は食事をしてみたいと憧れていた「吉兆」というお店がお客さんの信頼を裏切っていました。少し前なら、雪印や日本ハム、不二家そして歴史のある赤福や世界中何処にでもあるマクドナルドといった誰もが知っていて少なくとも何度かは口にした事のある食品メーカーが消費者に嘘をついていました。
    現在の所、人間の食物よりも多少は軽く考えられてもしょうがないのかもしれない立場のペットフードメーカーに対して飼い主さんがより一層の不安や疑問を持たれるのは当然かもしれません。
    私に限らず普通の開業獣医師は正直申し上げてペットフードメーカーの方たちと直接のお付き合いは殆どないと思います。病院で扱っている一般食(ペットショップ等の一般のお店でも販売しているフード)にしても処方食(病気の治療や予防を目的とする動物病院でしか販売していないフード)にしても薬品を仕入れている問屋さんから購入するからです。
    ただし、処方食については新製品が発売された時などにフードの説明を兼ねた講演会が開かれたり、病院に簡単な勉強会のような形で出向いてきていただいて直接説明を受けたりする事があります。講師は獣医師さんなので製品についてやフードについての私達が普段から抱えている疑問にごく初歩的なことからかなり専門的なことまで教えてもらったりする事もあります。
    その様な機会はそれほど多くはありませんが直接のお付き合いのあるメーカーについてはやはり他のフードメーカーよりも信頼をおいてしまいます。従って、当院で処方食として扱っているフードメーカーは限られています。
    一般食についても飼い主さんにおすすめする、つまり私が信頼をおいているフードメーカーは「ヒルズ」「アイムス」「プロプラン」の三社です。申し訳ないけれどそれ以外のメーカーは基本的に飼い主さんにおすすめしません。(これはあくまでも私がこれまでの乏しい経験や先輩方からの意見を参考にしたうえでの判断ですのであしからず)
    勿論この三社にしてもこれまでにも消費者レベルでのトラブルが全くなかったわけではないですし今後も何らかのトラブルが発生する可能性は否定できませんので参考にしていただければ幸いです。
    尚、フードの保証分析値は正直言って私もそんなに信用していません。理由はそのメーカーにとって都合よく表示する事(保存料等含まれているものを省略する事や実際には含まれていない成分を含まれているかのように表示する事)が割と簡単に出来るという話を聞いたことがあるからです。賞味期限についても申し上げましたが、あまり細かい数値やデーターに振り回されないで飼い主さんが冷静に対応される事を期待します。


  • 子供達が独立して夫婦二人暮しになったら急に寂しくなったので昔から好きだったゴールデンを飼いたいと思っています。なるべく安価で優秀な子犬を購入したいのですが、上手な子犬の購入方法を御存知なら教えてください?


    ある程度ご年配で二人暮しのご夫婦にゴールデンを飼い始めたいと相談されたら、正直申し上げて答えに困ってしまいます。ゴールデンは、きちんと躾けをすれば非常に賢いので大型犬の中では飼い易い犬種の一つでしょう。但し、凄く活動的で遊び好きな性格ですから、十分な散歩や遊んであげる時間が必要だと思います。そして毎日とはいわなくても定期的なブラッシングも必要でしょう。ですから犬の面倒をみる為にたっぷりの時間とかなりの体力が飼い主さんに要求されると思います。
    ご質問頂いたお二人とも年齢の割にはお元気でおられるようですが、大型犬の世話をするのは現在でも体力的にかなり大変だと思います。犬を一旦飼い始めたら十年以上先まで面倒をみる事を考える事が必要でしょう。
    十年後まで大型犬をしっかりと面倒をみられる自信があるのでしたら、何も申し上げる事はありませんが不安があるのなら犬の種類について再考してください。小型犬ならご年配の方でもずっと面倒をみてあげられると思います。

    さて、犬を入手する方法としては、種類や年齢を問わなければ、各都道府県市町村に設けられている動物愛護センター、動物管理指導所、動物一時預かり所、家庭動物相談所等の名称の役所に問い合わせてみてください。運がよければ無料(登録手数料等がかかる場合もある)で割りと簡単に可愛い犬との運命的な出会いがあるかもしれません。他に民間の動物愛護団体でも里親探しをしていますから、インターネットで検索すると色んな切っ掛けが見つかるでしょう。
    但し一旦飼い始めたら予想外に躾けが上手く出来なかったり、家庭の事情などで犬を飼い辛くなったとしても、その犬が天寿を全うするまで面倒をみる覚悟が必要だと思います。特にこの様な施設にいる犬は既に少なくとも一度は飼い主さんとの辛い別れを経験している訳ですから、尚更大切に扱って最後まで面倒をみてあげて欲しいと思います。

    純血種の子犬を入手しようと考えたら、一番オーソドックスな方法は、ペットショップからの購入だと思います。勉強するつもりで少なくとも3~4件は見て回りましょう。まず、店の床やペットの展示してある部屋の清潔さをチェックしましょう。そして子犬の健康状態を解かる範囲で結構ですからチェックしてみましょう。元気がよいか、食欲はあるか、クシャミや咳、涎や目ヤニ等はないか便や尿をしていれば異常がないか、など専門的な知識がなくても注意深く観察しているとある程度分かる様になると思います。店員さんに食事の回数やワクチン接種が必要な時期、展示されている動物の気になる点などを質問してみましょう。店員さんが自信を持って丁寧に分かりやすく説明してくれたら、ある程度信用できる安心なお店だと思います。年配の二人暮しの夫婦がゴールデンを飼う事を希望していると相談してみるのもよいかもしれません。もし、無条件に大型犬を勧める様なら商売本位であまり信用できないのかもしれません。現在は数kgの子犬がほんの数ヶ月先には30kg前後にまで成長して、散歩や面倒をみる事にかなりの体力を必要とすることを説明してくれたり更に五年先十年先を見通して心配をしてくれるようなお店なら良心的で信用できると思います。ある程度信用できるお店を見つけたら、十分に相談に乗ってもらって種類を考えて選ばれればよいと思います。
    もし、ブリーダー(犬を繁殖させて販売している人)さんと直接交渉できるなら、それが最良の購入方法だと思います。私の実家で飼っている犬はパドという無料情報誌で「シーズーの子犬お譲りします」という広告をみて私がブリーダーさんのお宅まで訪ねていって子犬を選びました。同様の情報誌や今ならインターネットで個人的に犬を繁殖、販売している人の情報は割と簡単に入手できると思います。
    ブリーダーさんから直接購入する事のメリットは、母親若しくは両親を確認できる事、数匹の兄弟から自分の好みに会う子を選択できる事、価格がある程度交渉しだいで安くなるかもしれない事等があると思います。まず、人間もそうですがある程度親を見ればその子犬の将来を予想できます。体格や顔つき、スタイル等は勿論育て方にもよりますが、親から譲り受ける部分が大きいので大いに参考にされるとよいでしょう。次に、兄弟が何匹かいればその中から比較検討して選べます。ペットショップなどでは殆ど選択する余地はないでしょう。但し見た目の可愛らしさや元気のよさで選ばれることはあまりおすすめしません。特に何かの目的で色んな事を覚えこませるのではなくて、ペットとして飼うのであれば、兄弟の中で一番のんびりとした子犬がおすすめです。少し離れた所から声をかけてみて一番最後に反応するようなちょっと鈍間な位の子を選ぶとよいと思います。その様な子なら咬み癖や無駄吠えの心配が少ないし、少し覚えるのに時間がかかっても必要最低限の食事や排泄等のルールはきちんと教えれば覚えてくれるでしょう。
    もし犬を飼い始めるまでに時間的な余裕があるのなら近所のお知り合いや親戚等で犬が生まれた時勉強の為に見に行ってみるのもよいと思います。そして、一番素早く反応する子犬と一番のんびりした子犬を見極めておいて出来たら半年後くらいの様子を観察してみればどちらが飼い易い子犬だったか一目瞭然だと思います。
    最後の価格交渉についてはその子犬に対する愛情が相手に伝われば案外値引きしてもらえるかもしれませんから頑張ってみてください。


  • 子犬を購入したペットショップから、「成長期だからカルシウムとビタミンのサプリメントが必要です。」と言われてフードとともに与えていました。所が、ワクチン接種に行った病院で「サプリメントは必要ない。」と言われました。どちらの指示に従うべきでしょう?


    一般論として、健康である子犬を育てる場合、必要な栄養素がバランスよく含まれていてそこそこの嗜好性も兼ね備えているフードを適切な量と回数で与えていれば、特にサプリメントの類を与える必要はないと思います。
    もし、その子犬に健康面で何らかの問題があるのなら、三大栄養素やビタミン、ミネラルのうちの幾つかを食餌に加えて補う必要があるのかもしれません。ただ、健康上問題がある子犬を飼い主さんに販売しているのならそのペットショップ自体に大いに問題があるように思います。
    もし、子犬は健康であるがすすめているドッグフードの栄養バランスが悪い為に、サプリメントで補わなければならないのであれば、その様なフードを与える事をすすめるペットショップにはやはり問題があるのではないでしょうか。
    もし、子犬が健康でありドッグフードの栄養バランスも取れているのに、不必要なサプリメントをすすめているのであれば、やっぱりそのペットショップに問題があるように思います。
    食餌のバランスを考える時に特に成長期であったりすると不足することは誰もが心配しますが、逆に摂取し過ぎて過剰症の状態になることも健康上望ましい事ではありません。極端な話をすれば、ビタミンCには致死量がないわけではありません。勿論朝から晩までイチゴやキウイフルーツを食べ続けても摂取出来ないような途方もなく多い量ですから、現実的には心配ありませんが、大切な事はバランスよく適量を摂取する事です。
    私達獣医師は、どうしても動物の健康の事を考えると理想論ばかりを並べ立てる傾向がある事は否定しません。ペットショップさんにはペットショップさんの都合があると思いますから、例えば利益率のよい商品を飼い主さんにすすめる事があるでしょうし、在庫を大量に抱えた商品や期限切れが近い商品を積極的に売り出す事もあって当然だと思います。
    そして、飼い主さんの立場から考えても犬にかけられるお金には勿論限りがあるでしょうから、健康によいとすすめられたフードよりも安売りをしているフードを選ばれる事があっても当たり前だと思います。
    ただ、人間にしても犬や猫にしても、健康は日頃の生活習慣(食事を含む)によって形成されますから、長い目で見ると少々高くても健康の事を考えて作られているフードを選択しておいた方が、病気になってその治療にかかる費用を考えたら結局は安上がりである可能性は強いと思います。
    以上これまでに申し上げた事を参考にしていただいて、飼い主さん自身が納得される指示に従われればよいのではないでしょうか。


  • アメリカンコッカー(7歳、雄、去勢済み)が、若い頃から患っている外耳炎が治らず困っています。耳の穴に生えている毛をこまめに抜くように病院から指示されましたので、犬用の毛抜きを用意して試してみましたが、嫌がって上手くいきません。上手に毛を抜く方法はありませんか?


    コッカースパニエルは、耳が垂れていて内側までびっしりと毛が生えていますから、耳の穴の風通しが悪くて、外耳炎等の耳の病気の多い犬種です。特に体質的に毛深い犬の場合、耳の穴の中まで毛が密集していたりして、適切な治療を施して一旦症状が無くなっても、直ぐに再発するケースは当院の患者さんにもいらっしゃいますので、正直なところ私も手を焼いています。
    解決策と言うより、少しでも状態を改善する為の方策としては、とにかく耳の穴の換気をよくして、少しでも乾燥させるように努める事で、外耳炎の原因である細菌やカビの増殖しにくい環境を作ることです。具体的には、定期的に(治療中は出来れば週に一回位)耳の内側の毛を刈り込み、穴に生えている毛を除去する事です。耳の穴の毛の除去は健康な状態なら飼い主さんにも出来るかもしれませんが、治療の必要な状況では痛みを伴う為嫌がって難しいでしょうから、無理をせず病院に任せましょう。そして、飼い主さんは毎日の点耳薬の効果的な投与に頑張りましょう。
    以上の事をある程度継続されれば一旦は、外耳炎の症状(痒み、腫れ、耳垢による汚れ、匂い等)が、殆ど無くなると思います。とは言っても、耳の穴の奥の外耳炎を起こしていた細菌やカビを根絶やしに出来たわけではなくて、症状が現われない程度に減少させたに過ぎません。ですから、細菌やカビが増殖する条件さえ揃えば、いつでも再発する可能性はあります。ですから、一旦症状が治まっても、その状態を少しでも長く維持する為に毛の刈り込みと穴の毛の除去を定期的に行う事が望ましいと思います。毛を刈る間隔や毛抜きの使い方、犬の保定の仕方等具体的な事は病院に相談してください。丁寧に指導して貰えない様なら、別の病院を探しましょう。きっと直ぐに見つかるでしょう。


  • 私は人間と接する事は苦手ですが、動物と仲良くなる事は得意なので、動物病院の先生になりたいと思っている中学二年生です。
    テレビで「最近は動物病院を開業する事が難しくなってきた」と聞きました。学校の勉強を頑張る事の他に、どのような準備をしたらよいでしょう?


    動物病院の仕事は,どのような業種に分類されるかご存知ですか?私は国勢調査に来られた調査員の方に教えて頂いたのですがサービス業に分類されます。ちょっと意外ではありませんか。
    さて、動物病院の先生は、動物を相手にする仕事だと思われがちですが、実際には飼い主さんという人間相手の仕事である事をまず知ってください。勿論、診察して治療する対象は動物ですが、最初にどの病院へ行くかを判断をするのは飼い主さんですし、診察してその動物の健康状態や、治療法や予後の見通し等を説明して理解して頂くのも飼い主さんです。ですから、動物病院の先生は人間と接するのが苦手では、大変です。
    まだ、貴方は中学生ですから、「人間と接するのが苦手」と決め付けてしまわずに、少しずつでいいから人と接する機会を作るように努力してください。私自身もあまり人付き合いの得意な人間ではありませんが、それなりに努力して現在に至っています。(獣医師を目指す人間というのは、結構人付き合いが不得手である人間が多いように思います)
    具体的には、相手が家族であれ、同級生であれ、クラブ活動の先輩、後輩であれ、その日の朝初めて顔を合わせたら必ず「お早うございます」と声をかけてみるのはどうでしょうか。恐らく今まで朝の挨拶などしていなかったのではありませんか?
    朝の挨拶をされて不愉快な人は殆どいませんから、最初は驚かれるかもしれませんが頑張って一週間も続ければかなりの人から挨拶が返って来るようになって、それを切っ掛けにして何かしら喋れる様になったりするかもしれません。最初はすごく勇気がいるかもしれませんが何もいきなり親友や恋人を作ろうとするわけではありませんから気楽に考えましょう。動物と仲良くなれるのだったら、素直で正直な性格なのだと思いますから、切っ掛けさえあれば、いろんな人間関係がきっと広がると思います。
    将来、開業獣医師になるにしろ、他の職業に就くにしろそのような人間関係はとても重要だと思います。
    さて、「動物病院の開業が難しくなっている」という表現の具体的な意味は解りませんが、確かに近年は次の二つの点で開業するのが大変になっているようには思います。
    まず一つ目は、その地域により差がありますが、例えば大阪府等では既に動物病院の密度がかなり高く、更に毎年、千人以上の獣医師が誕生し、その何割かは開業しますから、今後も動物病院の数はどんどん増えていくわけで、その中に割って入っていくのはかなり不安な気持ちになるかもしれません。でも、自分の病院に対する理想やポリシー(こんな病院にしたい、このような方針で動物を治療したい、こんな形で社会に貢献したい等)を持てれば、勇気が沸いて来ると思います。
    二つ目に、最近の動物病院は開業時にかなりの設備や検査機器等揃える為に,かなりの資金が必要になる場合が多い事です。土地や建物を所有している場合、土地建物を賃貸で始める場合等条件により異なりますが、少なくとも数千万円はかかると思います。当然、開業する人の殆どが借金をして始めるわけで、私の場合は実家の土地を担保に国民金融公庫から借り入れしました。何かの担保がないと資金の借り入れが出来ずに、開業できない場合もあるようです。この点については、中学生の貴方が今から悩んでも解決できるような問題ではありませんし、これから少しずつ自分の将来や夢についてご両親に相談して解決の道を御家族で探してください。尚、開業獣医師になる為には、大学の獣医学科に六年間通い卒業して、毎年3月に実施される国家試験に合格して獣医師免許を取得しなければなりません。獣医学科のある大学は限られていますから(国公立大11校、私立大5校)、自宅から通学できない場合の生活費に加えて入学金、授業料等の経済的負担も考慮してください。(特に私立大の場合入学金と授業料はかなりかかります)


  • 家の猫(日本猫、11才、オス)は、若い頃は綺麗好きで身づくろいを欠かしませんでした。所が10歳になった頃から徐々に身づくろいをしなくなり、目ヤニや毛の汚れ、毛玉等が目立つようになりみすぼらしくなってしまいました。人間に抱かれる事が嫌いなので今まで殆ど接触がなかったのですが、今後どうしてあげればよいでしょう?


    肉体的若しくは精神的なストレスがかかると、猫も人間と同様に毎日の日課だった事が出来なくなる場合があります。
    肉体的なストレスとは例えば、十歳を過ぎて視覚、聴覚、嗅覚等の感覚が急に鈍ってしまい、綺麗好きだった猫がずぼらな性格に変わって、身づくろいをめんどくさがる様になったケースがありました。それから、肥満体になった為に徐々に背中などに口が届かなくなりグルーミングが出来なくなった場合もありました。更に、年齢的にも心臓や腎臓を病気におかされて体調が悪くなりグルーミングどころではなくなるケースもありました。
    これらのケースは病院で治療や体質の改善を心掛ける事によって、再びセルフグルーミングを頑張り始める可能性がありますので、一度病院で診察を受けてみる事をおすすめします。。
    精神的なストレスとは、例えば引っ越しをして環境が変わったり、小さな事ならトイレや食器が変わった事に気を取られて、グルーミングがおろそかになったケースがありました。赤ちゃんが誕生したり、誰かが亡くなられたりして家族構成が変化した事や新しく猫を飼い始めたこと等がストレスになったケースもありました。
    猫は犬のように感情をあまり表に出しませんから、どの様なことが精神的なストレスになっているかを判別する事が難しいと思いますが、昨年から今年にかけてこの猫の周囲で変わったことがなかったか、ご家族全員でよく思い出してあげてください。
    引越しが原因ならどうしてあげようもありませんが、例えば一番可愛がってくれていたお婆ちゃんが亡くなって寂しい事が原因なら他のご家族で出来るだけ寂しさを紛らわしてあげればよいですし、新しく同居した猫と馴染めないのなら、生活環境を分離して顔を合わせない様にしてあげる事で解決できるのかもしれません。
    治療や飼い主さんの協力で取り除いてあげられるストレスは出来るだけ取り除いてあげてください。
    11歳という年齢まで人間との接触を避けてきた猫の場合、なかなか実行するのは難しいかもしれません。でも若い頃に比べて気力や体力も落ちてきて、性格も少しは穏やかになってきているかもしれませんから、取敢えず身体を触ってあげることから少しずつ努力してみてください。ある程度身体を触れるようなら、ドライシャンプーや蒸しタオルを利用して身体を清潔にしてあげる事くらいなら出来るかもしれません。いろんな事を試してみて何かしてあげられる事がないか見つけてあげましょう。


  • チンチラ(3歳、メス)を飼っていますが、一ヶ月くらい前から、口をもごもごしながら涎を流す仕草が目立つようになりました。食欲も落ちて、痩せてきているので心配です。何かの病気でしょうか?


    チンチラは、自然の中では大人しくて弱い存在なので、攻撃を避ける為にケガや病気を隠そうとする習性があります。ですから、体調の異変に気づきにくい種類の動物ですので、日頃から注意して様子を見てあげましょう。
    口の中をもごもごして涎を流す場合ですが、不正咬合つまり歯が正しくない方向に伸びてかみ合わせが悪くなっている可能性があります。チンチラはネズミやウサギと同様に一生歯が伸び続ける動物で、健康であれば一年間に5~7cm位伸びるそうです。
    不正咬合が起こる原因としては、与えている餌に食物繊維が不足して十分に磨り減らない場合や、甘いものを与えて虫歯になる事からアンバランスが生じる場合等があります。
    治療としては、前歯の不正咬合であれば、顔を動かないようにしっかりと捕まえて歯を適当な長さに切断します。奥歯の場合は、軽い麻酔をかけてから適当な形に削る事になります。歯茎や唇に損傷を受けている場合は、内服薬での治療が必要になります。
    治療後は、虫歯が原因なら甘いものを与えないようにする事が前提ですが、繊維質の多い食事を十分に与える事で歯が磨り減り易くしましょう。但し一旦正しくない方向になってしまった歯は元には戻りませんからどうしても正しく磨り減りません。ですから、定期的に口内の診察を受けて、必要に応じて適切な処置を継続してください。