よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

  • 「フィラリア予防を始める前に、血液検査が必要である」という動物病院と「血液検査は必要ありません」という動物病院がありますが、どちらが正しいのでしょうか?


    現在日本で使用されているフィラリア予防薬は複数のメーカーから内服薬(毎日もしくは月に一回)滴下薬、注射薬等かなりの種類が存在しますが、その全ての薬の説明書に、「予防を始める前に血液検査によりフィラリア症に罹っていないことを確認してから投与する」と明記されています。その理由も「フィラリア症に罹っている犬に投与するとショック等の副作用を起こす可能性がある」と書いてあります。最悪の場合、死亡するケースもあります。ですから、良識ある病院ではフィラリア予防を始める前には必ず血液検査を実施していると思います。勿論、当院も同様です。
    血液検査が必要ないと主張する病院が存在する理由は、飼い主さんが病院へ犬を連れて行く手間と検査の費用を省いて(恐ろしい副作用の可能性は十分に説明せず)予防薬の売り上げを伸ばす事をだけを重視しているからだと思います。
    獣医師としてその様な病院が少なからず存在することは非情に恥ずべきことだと思っております。以上のことから、どちらの病院の主張が正しいのかご判断ください。


  • 猫(日本猫、2歳)に避妊の手術を受けさせたのですが、手術中に死亡してしまいました。原因は麻酔が身体に合わなかったからだろうと言われました。事前に麻酔が体に合うか合わないかの検査等すべきだったのではありませんか?


    動物病院の獣医師としては、答えにくい内容であり且つストレートな質問を頂きましたのでかなり困っておりますが、逃げずに精一杯のお答えをしたいと思います。
    避妊の手術の主な目的は望まれない妊娠を防ぐ事であり結果的に乳腺腫瘍や子宮蓄膿症等の恐ろしい病気を未然に防ぐメリットもあります。つまり原則的に健康な動物に施す手術でありますから、例えば腫瘍の摘出手術のように健康体になる為に行う手術とは、手術の周囲の状況が全く異なります。
    相談者が仰るように事前に十分な検査を実施すれば何らかの異状を見つけることが出来たかもしれません。その異状に対して先に治療して健康な状態になってから手術すれば無事に終えられたのかもしれません。治療をしなくても手術する獣医師が異状を認識していてそれなりの準備をしていたら術中に猫は死亡せずに済んだかもしれません。勿論、急ぐ必要の無い手術ですからとりあえず延期若しくは取りやめるという選択肢もあったかもしれません。
    只、当院に若くて元気な猫が来院して避妊の手術を希望されたとしたら、過去の病歴や現在の状態等を問診し一般的な診察(体重や体温を測り、目や耳、歯や歯茎、皮膚や毛、爪、肛門等の状態をチェックし、聴診器で心音呼吸状態などを確認、全身の触診等)をして特に心配な点が無ければ、それ以上の検査等はせずに手術の日程を決め準備を始めるでしょう。
    もし、猫がかなりの高齢であったり、著しく肥満若しくは削痩した状態であったり、診察して何か心配な点が見つかれば、飼い主さんに説明して了解の上で必要に応じて検査をするかもしれません。相談者の猫の場合、先生から検査の必要性等の説明が無かったとしたら、問診や診察で特に心配な点は見つからなかったのだと思います。
    もし手術が腫瘍の摘出の場合なら、飼い主さんに説明し了解を頂いて転移の可能性を危惧してレントゲンを撮影するでしょうし、全身的なダメージや状態をチェックする為に血液検査を行うであろうと思います。
    健康である事が前提として行う避妊、去勢の手術で、何も異状が見つからないであろうと推測される検査を実施する事は、レントゲン撮影や採血による猫への負担(大人しい猫なら大したことはありませんが、結構暴れる子が多いです)、手術費用に加えてかかる検査費用という飼い主さんへの負担を考慮すると病院としてもあまりもおすすめ出来ません。
    現実的な話をすれば手術の前に検査をすすめその費用まで説明したら丁寧で親切な病院と判断される飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、もっと安上がりでスムースに手術をしてくれる病院を探される飼い主さんが多いと思います。
    正直に申し上げますと、当院でも避妊、去勢の手術で亡くなった動物はいますし、麻酔などが安定しないので手術を中止したケースもあります。残念な事ですが、同様の悲しい事故が起こっている病院は少なからずあると思います。
    私は、避妊手術中の事故が起こって以来、同様の手術をする場合、健康診断的な意味合いも含めて術前検査をする事を簡単にですがおすすめしています。数百人の飼い主さんに説明しましたが検査を希望された方は現在の所二名だけです。
    相談頂いた飼い主さんももし術前に万が一の危険性を探す検査をすすめられたとして、快く承諾されたでしょうか?そしてもう一つしっかりと認識していただきたい事ですが検査を受けたとしても、死亡原因が確実に見つかる保障はどこにも無いという事です。
    人間の場合どのような手術に対してどの程度の術前検査が実施されるのか分かりませんが、動物の場合残念ながらある程度の限界がある事は理解して頂きたいです。私達獣医師は、この様な不幸な事故が起こらないように出来る範囲で精一杯の準備をし、集中して手術に取り組んでおります。とは言っても人間のすることであり、生き物を相手にする事ですから、絶対に安全な事など無いと思います。自分の大切なペットを失った飼い主さんには、このような事情を100パーセントではなくても、その何割かを理解し納得していただくしかないと考えますが、如何でしょう。


  • モルモットを飼い始めることになりました。どのような餌をどれ位与えればよいのか教えてください?


    モルモットは純粋な草食動物ですが、必要栄養素について同類であるウサギ等と比べて明らかに異なった特徴がいくつかあります。

    1)ビタミンCを体内で合成できない為ビタミンCを増強されたフードである事が必要です。但しビタミンCは空気に触れるだけでもどんどん分解していきますから新鮮な 野菜(ニンジン、ブロッコリー、小松菜等)や果物(リンゴ、イチゴ、ブドウ)で補充してあげる事も必要です(他の草食動物はビタミンCを体内で合成できます)
    2)小腸のうちで盲腸の比率が他の草食動物より大きくて食物繊維の消化率が高いので粗繊維が10パーセント以上含まれる事が望ましい(小腸は空腸、回腸、盲腸の三つの部位に分かれます)
    3)タンパク質やカリウム、マグネシウム等の要求量が多いので、マメ科のアルファルファを主とする干草を十分に与える事が必要です。

    モルモットは以上のような特徴を持つので例えばラビットフードでも代用できないわけではありませんが入手できるならモルモット専用フードとアルファルファを主とする干草に新鮮な野菜、果物を加えて与えてください。
    モルモットはデリケートで下痢をしやすいので食物は常に清潔で新鮮であるよう気をつけましょう。それから、時間をかけて少しずつ食事しますから、餌箱が空にならないように注意してあげてください。


  • コーギー(生後45日)をペットショップから購入しましたが、我家に来た日から下痢が続き、ショップに相談すると環境に馴染むまで様子をみるように言われました。二三日たっても良くならないので、近所の動物病院で診察を受けると、栄養状態が非常に悪いので、ショップに返す事を勧められました。ショップに相談すると、動物の場合はクーリングオフ出来ないと断られました。何か良い解決策はありませんか?


    ペットショップと飼い主さんの間でよく起こるトラブルの一つです。私は法律の専門家ではありませんので、確実な事は弁護士さんに相談された方がよいと思いますが、私の経験した事から申し上げると、法律的には動物も一般の商品と同じ扱いであるので、購入して二週間以内なら動物をショップに返して、全額返金してもらえるはずです。
    ペットショップによっては、この様なトラブルが頻発しているからかもしれませんが、購入するときに「飼い主の事情で返品はしない」と言った内容の書類に署名捺印を求められる事もあるそうです。もし、その様な書類に署名捺印していたとしても、片方に一方的に不利な書類は無効であるケースもあるそうなので、諦めないで弁護士さんに相談して適切な対処をしてください。
    もし、子犬が重篤な状態になったり死亡した場合、それから一定の期間を過ぎてしまった場合には交渉が難しくなるかもしれませんから、動物を返そうと考えられたら出来るだけスムーズに行動してください。
    動物を返す方法がどうしても難しそうなら、お宅の環境に適応しやすそうな別の子犬と交換してもらう事を交渉してみるのも現実的な解決方法かもしれません。但し、飼い主さんと子犬の縁や飼い主さんとショップの相性というものは不思議な物で、一度上手くいかないと、二匹目でもやはり何かの不都合が生じることも少なくありませんから、二匹目を探すときは一匹目以上に慎重に子犬を選びましょう。


  • セアカゴケグモが近所で大量にそれも小学校内からまでみつかったというニュースを見ましたが、うちの息子達(小6と小3)は二人とも昆虫等が大好きなので、心配です。息子達にどの様に注意すればよいでしょうか?


    セアカゴケグモが、初めて日本で確認されてから10年位たちますので、このクモについてのある程度の認識は定着しているかと思いますが、大量であり小学校という子供にとって非常に身近な場所であった事に驚きそして心配されている方も少なからずいらっしゃるかもしれません。
    ご存知の方も多いかと思いますが、このクモについて簡単に説明しておきますと、熱帯から亜熱帯に住むゴケグモの一種で、体長は成熟した雌で8~10mm、雄は4~5mm、名のとおり背中に赤い(オレンジ色?)部分が目立つ。寿命は一年位だが、雌はその間に1000個以上の卵を産む。獲物を捕らえるために神経毒を有するが、大人しくて、攻撃されると死んだ振りをする位に攻撃性の乏しい性格である。生息場所は、側溝やその蓋をイメージされる方が多いと思いますが、例えば自動販売機やクーラーの室外機、浄化槽の送風機、外灯等の隙間部分、墓石の線香や花を立てる部分等でも最近ではよく見かけられています。
    このクモによる人間の被害は、1960年代から70年代に1,000件以上報告され、数十人の死亡が確認されています。但し、現在は治療法が確立されていますから、死亡する危険性は殆どありません。
    ゴケグモの名の由来について、「ご主人をこのクモにより亡くして、奥さんが後家さんになるから」という俗説があるそうですが、「交尾後に雌が雄を食べてしまい、自ら後家さんになるから」という説の方が正しそうです。
    さて、息子さんたちへのアドバイスですが、根本的な対策は学校が十二分におこなうでしょうし、必要以上に注意を受けると思いますから、お母さんが更に警戒心をあおるように話されるのはおすすめできません。それよりもむしろ、せっかく生き物に興味を持っておられるのですから、出来る事なら、お母さんと息子さん達でこのクモを探して見られたら如何ですか?今ならインターネットでいくらでも表面的な情報は入手できますが、実物と接する以上の生きた情報はありません。「このクモに注意しなさい」と繰り返すより、実際にいそうな場所を覗いてみて、もし見つかれば多分そのちいささ(1センチ以下)に驚いたり、その動きが結構ゆっくりであるのに安心したり出来ます。クモと接しながら(手袋をしていれば安全です)、どの様に扱えばよいのか、どういう点に注意が必要なのか教えてあげれば、実際に役立つ知識として身につくと思います。
    それから、このクモが日本に棲みつくようになった経過(海外から運ばれて来るコンテナ等によって自ら望んだわけではなくて来日した事、そして好ましくなかった環境に少しずつ順応してきた事)、人間に実質的な被害を及ぼすわけでもないのに、毒を有するというだけで忌み嫌われ、駆除されている事、故郷(オーストラリアや東南アジアでは日本のように目の仇にされずに人間と共存している事等についてゆっくり話してあげて、このクモについて色々と考える機会を作ってあげてください。


  • いずれアメリカから検査を受けていない牛肉が輸入されそうですが、本当に安全なのでしょうか?


    大変難しい問題で、安全か否かなんて正直に申し上げて私等には到底解りません。勿論興味のある問題ですから、新聞やテレビ、インターネット等で多少は情報を入手して自分なりに考えていることはありますから、その範囲であくまでも個人的な意見を述べさせて頂きます。
    ポイントは
    (1)日本で全頭検査を止めて、20ヶ月令までの牛は検査対象から外すこと
    (2)アメリカから同月令までの未検査の牛肉が輸入がいずれ再開されること
    の2つだと思います。
    (1)について考える前に、全頭検査について勘違いされている方が意外に多いみたいなので、少しその説明させて頂きます。全頭検査とは、病死又はと蓄場でと殺された全ての牛についてその脳の一部に異常ブリオン蛋白が存在するか否かを調べる検査です。生きている牛を検査するわけでも、私たちが実際に食べる肉を検査しているわけでもありません。そして、牛の年令が若くてもし狂牛病に罹っていても異常ブリオン蛋白の量が極めて少なければ陰性と判定する可能性があります。但し、その場合その牛を食用に用いても人間が被害を受ける現実的な危険性も又極めて低いと思います。
    つまり、全頭検査をすれば、狂牛病が100パーセント見つけられる訳ではない事と、そこでもし見逃されたとしても現実的には心配が無いと言う事です。
    だとすれば、ある一定の年令までの牛を検査の対象から外すことは間違いではないと思います。但し、ここで重要なのは生後20ヶ月に線引きをする事が適当かどうかだと思います。これまでに狂牛病と確認された最若令が21ヶ月だったから20ヶ月以下であれば検査不要と言うのは科学的根拠が乏しいけれど、どこかに基準を置かざるを得ないわけですから仕方がないのかもしれません。
    (2)についてはアメリカにおける月令の判断が非情に主観的であいまいな印象を持っているのは私だけではないと思います。ですから、アメリカからの外圧に負けて済し崩し的に輸入を再開するのではなくて国民が納得できるだけの交渉とその内容の十分な説明を小泉首相に期待しております。
    但し、小泉さんが頑張ろうと妥協しようといずれ輸入再開となれば私は時々牛丼を食べに行くでしょう。ですから、アメリカの牛肉を危険な食物とは認知していません。こんな事でご質問に対するお答えになっているのか自信がありませんが、最後は御自分で判断して決めてください。今の日本では、牛肉など食べなくても十分に豊かな食生活はおくれるでしょう。


  • 気に入った子犬が見つかったので購入しようとしたら、そのショップではペット保険に加入する事が条件だと言われました。保険は慎重に条件を調べて選びたいので断ると販売できないと言われました。納得できなくても保険に加入すべきか、他のショップをあたるべきか迷っているのでアドバイスをお願いします。


    ペットの保険に加入する事に前向きの考えをお持ちであるのならば、まずそのショップから勧められている保険を他社の保険と比較しながらよく調べて検討されればよいでしょう。その保険に納得できれば問題はないでしょうし、他にもっと魅力的な保険が見つかれば、その事情を説明して理解を求められたらどうでしょう。
    それでも、受け入れられなければ、方法は二つあると思います。ショップが保険の加入を条件にしているのは、勿論一件契約が成立するごとに某かの利益があがるからでしょう。そして一件でも加入せずに販売する前例を作ると今後同様の事が繰り返されるかもしれないし既に販売した飼い主さんからクレームがつく事も心配されます。
    そんなショップに納得が出来ないのなら、他の子犬を探すしかないでしょう。どっちみちそんな儲ける事ばかりを優先するショップが扱っている子犬を購入しても、ろくな事はないと気持ちを切り替えられればよいと思います。
    もう一つの方法は、黙ってショップの条件をのんで子犬を購入する事です。保険は一年毎位で更新するタイプでしょうから、すぐに解約する事も出来るでしょうが勿体無いのでおすすめしません。その一年の間にじっくりと納得の出来る保険をみつけておいて一年後から自分の選んだ保険に加入されればいいでしょう。

    ここからは、私の個人的な見解を申し上げますので、ほんの一寸した参考にでもして頂ければ幸いです。私は普通に健康な犬を飼われているのなら、ペット保険の類は、飼い主さんにとってあまりメリットがあるようにはおもえません。数社のペット保険を比較検討して、実際に当院に来院されている犬でシュミレーションしてみましたが、掛け金と戻ってくる金額、諸々の手続きの煩わしさ等を考え合わせたら、少なくとも私自身が加入したいと考えられるような保険は残念ながらありませんでした。ですから、当院へ来られている飼い主さんからペット保険についてのご相談を頂いた場合、決して加入を積極的にはおすすめしません。
    もし何らかの病気にかかっていて長期間にわたって高額の費用のかかる治療を継続する必要のある犬の飼い主さんなら、保険に加入するメリットはあるかもしれません。ただし、飼い主さんにとってメリットがあるという事は、保険会社のサイドからみればデメリットがあるわけで、その様な場合は保険会社が契約を拒否するかもしれません。


  • 私は将来、倒産等の不安のない公務員になろうと思っていますが、「獣医師の免許を持っていると、公務員試験に受かり易い。」という話を聞きました。本当でしょうか?(17歳高校生)


    獣医学科の卒業生の就職先については、一般の方は大部分が開業獣医師になると思われているかもしれませんが、実際はそうでもありません。私は岐阜大学の獣医学科を平成3年に卒業しましたが、約30名の同級生で開業を目指して動物病院へ就職した者が約10名、民間企業(製薬会社、食品会社等)へ就職した者が約10名、公務員(保健所、試験場、と蓄場等)となった者が約10名、大学院へ進学した者が若干名でした。勿論、現在では学生の男女の比率も大きく変化して(平成3年頃は女子が2~3割だったのが、現在では5~6割に増加している)就職先も民間企業や公務員の割合が高まる傾向にあるようです。
    不景気な世の中で、多額の借金を抱えて開業するより、リストラされるかもしれない民間企業に勤めるより、ご質問頂いた方と同じ様に安定志向で公務員を目指す人が増えるのは自然なのかもしれません。
    さて、やっとご質問へのお答えになりますが、獣医師免許を取得していれば、獣医師職の公務員試験は殆ど無競争に近い形で合格できる場合が多いようです。但しその後の配属先については、かなり幅広いですから本人の意向も多少は考慮されるでしょうが意にそぐわない場合もある事は覚悟してください。具体的な内容は自分で調べてください。
    それから、獣医学科の授業は実習も多くてすごくハードですから「絶対獣医師になるんだ」という強い信念を持ってのぞまないと、途中で脱落する者も結構います。
    獣医師免許の国家試験は合格率が80~90パーセントと割と高いので簡単なのかと思われるかもしれませんがそれは卒業するまでに合格するに足る知識を叩き込まれるからだと思います。「公務員試験に受かり易いから」等という安易な気持ちでは挫折する可能性が高いですから良く考えて進路を決めてください。


  • 先日からハムスターを飼い始めたのですが、ヒマワリの種を主食に時々野菜や果物を与えています。友人から「ヒマワリの種は太りやすいので健康によくない」と言われました。現在の所、その兆候はありませんが本当によくないのですか?


    「ハムスターのご飯」といえば、ヒマワリの種を思い浮かべられる方は多いと思いますし、事実ヒマワリの種の袋にはハムスターが描かれていたりします。
    しかし、本来ハムスターは涼しくて乾燥した砂地で生活していますからヒマワリの種の様に高脂肪の食物を摂取する機会は殆どありません。そして、一晩で10km以上歩き回る程運動量が豊富な動物なのです。
    ところが、ペットとして飼われた場合の生活環境をみると、ハムスター用の混合飼料等は栄養価の高すぎる種子(ヒマワリ、クルミ、ビスタチオ等)の比率が多すぎる傾向がありますし、スペースの問題で致し方ないのでしょうが運動量が不足してしまい肥満気味である場合が来院されるハムスターをみても多いように思います。そして、肥満から肝臓や心臓の負担が大きくなり長生きできないケースも少なくありません。ですから、ご友人の忠告は正しいと思います。
    犬や猫の場合、肥満対策として一番簡単なのは、餌の供与量を減らすことですが、ハムスターはご存知の方も多いと思いますが、頬袋やねぐらに食物を貯蔵する習慣があります。ですから、供与料を制限して、摂取量をコントロールすることは難しく、そのフードの内容を総合的に考慮する必要があります。
    ハムスターは、かなり草食性の強い雑食動物ですから、ラビットフード等の草食動物用ペレットを中心に(勿論ハムスター用のペレットもOK)野菜(ブロッコリー、ニンジン、サラダ菜等)、野草(タンポポ、ハコベ、クローバー等)果物(リンゴ、バナナ、イチゴ等)などを与えればよいと思います。蛋白源として、時々ゆで卵や煮干を与えてください。
    もし種子類を与えるのであれば、脂肪率の低いヒエ、アワ、カナリアシード等を選ばれれば問題ないと思います。
    尚、脂肪率の高い種子は美味しいので主食となるべきペレット等をあまり食べなくなる場合が少なからずあることも、フードとしておすすめしない理由のひとつです。
    (cf)リスの食事についてもハムスターとほぼ同様とお考え頂いて構いません


  • かかりつけの病院では診察時によく血液検査をします。例えば、血尿のときに尿検査、打撲したときにレントゲン検査をするのは理解できますが、どうしてその様なときにも血液検査が必要なのでしょうか?


    血尿の患者さんが来院されたら、当院でも尿検査は勿論ですが、可能であれば血液検査も実施すると思います。血尿が認められたら尿路(腎臓から尿管、膀胱、尿道)に異状があるのは間違いありませんが、そもそも尿は腎臓で血液からつくる訳だし、血液の老廃物の対外への排泄が尿の一番重要な役割ですから、血液中のアンモニアや尿素窒素の数値は病気の身体への影響をみるうえでとても大切です。
    打撲を主訴として来院された患者さんでも、その程度によりますがレントゲン撮影と必要に応じて血液検査をします。飼い主さんはレントゲン検査で体の内部のたくさんの事が解ると思われているかもしれませんが、骨折や内臓破裂等は別ですが影の濃淡からそんなに多くの情報が得られるとは限りません。例えばレントゲン写真から肝臓へのダメージが疑われた場合、血液検査の肝機能の項目と照らし合わせることにより、より正確な診断につながると思います。
    ですから、検査をする目的と検査結果からわかった事を先生が飼い主さんに十分説明していればこの様な疑問は生まれなかったのかもしれません。但し、飼い主さんも遠慮なく疑問に思うことは尋ねられた方がよいと思います。