よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

  • うちの猫は最近 頻繁にトイレに長時間座っていますが、あまりおしっこは出ていません。どうしてですか?


    尿検査をしてみないと、はっきりした事は解りませんが、尿中にストルバイト、シュウ酸カルシウム等の結晶が生じ、それらが寄り集まって尿道に詰まってしまい、尿が出難い状態になっている可能性が高いと思われます。尿道が完全に詰まってしまい、尿が全くでない状態になってしまうと、三日くらいで命に関わる場合もありますから、出来るだけ速やかに病院で診察を受け、適切な治療を始めてください。


  • うちの犬は時々赤いおしっこをしますが、病気ですか?


    飼主さんが何度も赤色尿を確認されているのでしたら、病気又はケガの可能性が強いと思います。赤色尿には、血液が尿に混じる血尿と、赤血球が壊れてその赤い色素が混じる血色素尿があります。血尿の原因としては、腎臓や膀胱で結石ができて尿路粘膜を傷つけて出血、炎症を起こす場合(尿石症→膀胱炎)、膀胱に腫瘍ができた場合、事故等により尿路に損傷を受けた場合等が考えられます。血色素尿の原因としては、フィラリアが本来の寄生部位(肺動脈)ではない右心房から大静脈に寄生した場合(大静脈症候群)、ネギや玉ねぎ、ニラ等を摂取してその有毒成分により溶血が起こった場合(ねぎ中毒)、赤血球に住み着く寄生虫(バベシア、ヘモバルトネラ等)により溶血が起こった場合等が考えられます。いずれにしても、重篤な恐ろしい病気ですから、なるべく早く病院で診察を受ける事をおすすめします。


  • 自宅で小鳥を飼っていますが 鳥インフルエンザに罹りませんか?また、一緒に暮らしている人間は大丈夫ですか?


    室内で飼っておられるのでしたらベランダ等での野鳥との接触に注意されれば、現実的には殆ど心配はないと思います。但し、鳥インフルエンザは特殊な病気ではなくて風邪の一種ですから、一般的な風邪に対する配慮、例えば急激な気温の変化や乾燥、ストレス等に対しては十分に気を配りましょう。もし、急死した場合は、かかりつけの獣医さんか「大阪府農政室 鳥インフルエンザホットライン」(06-6944-6745)に相談してください。
    鳥から人間への感染が心配されるケースは、例えば解体して内蔵等に直接接触した場合や、糞が乾燥して空気中に飛散して それを吸入してしまった場合などです。だから、ペットとして鳥を飼っておられるのでしたら、鳥インフルエンザの為というよりも ごく一般的なペットに対する接し方として、動物に接触したら手をよく洗いできたらうがいを励行する事、糞の後始末はこまめにしてあげる事等に注意されれば殆ど心配ないと思います。


  • ノミにはどんな種類がいるの?


    日本には約80種類位のノミがいるそうです。以前は、主に人につくヒトノミ、主に犬につくイヌノミ、主に猫につくネコノミが人間の生活に関わる“ノミ”でした。
    しかし近年は犬猫に寄生し、人間にも被害を及ぼしているのは、大部分がネコノミです。
    ですから以前は「犬につくノミは人をささない」といわれていましたが、最近はノミの寄生している犬の飼い主さんにも被害がふえているようです。


  • うちの猫が 一週間ほど前に子猫を三匹生んでしいました。幸いに里親が見つかりましたので離乳するまで面倒を見てから渡そうと思います。その時期や離乳食について教えてください。


    現在、授乳中だと思いますが、この時期には 一週間毎位に子猫の体重を計って、三匹の成長具合を確認しましょう。体格や性格の違いにより、母乳のよく出る乳首が独占されたりして、体重に大きな差がつく場合があります。母猫は無頓着ですから、飼主さんがちょっと配慮してあげる事で 三匹がそろって元気に成長できると思います。それから、母猫は母乳を作るために十分な栄養を必要としますから子猫用のフードを与えましょう。(子猫用のフードの包装をみるとたいてい妊娠、授乳期の母猫用と併記されています) さて、離乳の時期ですが、およそ生後40日位から離乳食を少しずつ与え始めて 一週間から十日位で子猫用の缶詰またはドライフードをふやかした物に移行できればよいと思います。離乳食は販売されているようですが、子猫用のフード(缶詰またはドライ)をお湯で粥状に溶かして猫用ミルクを混ぜたものでも代用できます。子猫を母猫から離すのは生後60日位になって、子猫用のフードに慣れてからにしたほうが肉体面からも精神面からもよいと思います。


  • ミニウサギ(2才、オス)を飼っていますが、梅雨時になると昨年に続いて今年も、食欲が低下し元気がなくなりました。去年はいつの間にか元気になりました、今度も様子をみていて大丈夫でしょうか?


    蒸し暑い梅雨時は、人間だって多少食欲が落ちますから、ウサギだって普段より2~3割食べる量が減少するくらいなら、しばらく様子をみてもいいかもしれませんが、それ以上なら毛の生え変わる時期でもありますから毛球症が心配されます。
    猫の毛球症はよく知られていますが、猫の場合は身づくろいで飲み込んだ毛が胃に溜まって毛玉となります。但し、猫は何か異状があると簡単に嘔吐する動物なので、殆どの場合は面倒な事にならないうちに口から吐いて解決します。
    ウサギも同様に身づくろいをする事で毛を飲み込みますが普通は少しずつ腸へ流れて便とともに体外へ出てしまいます。所が飲み込む毛の量が多いと胃の中で毛玉になってしまう場合があります。
    ウサギは喉の構造が特殊で非常に嘔吐しにくい動物なので厄介です。毛玉が出来ると胃の活動が低下するので食欲が低下してしまい、体力が落ちて極端な場合は命に関わる場合もあります。
    治療法は毛玉を溶かす薬がありますから、食欲が戻るまで様子をみながら内服させます。毛玉が溶けて、胃の活動が正常に戻れば食欲が戻ります。もし毛玉が大きくて溶けない場合や、胃の出口の部分に毛玉が詰まってしまった場合は胃を切開して毛玉を摘出する手術が必要になる場合もあります。
    ですから、早めに動物病院で診察を受けて、毛球症ならすぐにでも治療を始めた方がよいと思います。
    毛球症の予防には、干草や藁などの食物繊維の豊富な餌を毎日与える事と、ブラッシングを毎日十分にしてあげて、飲み込む毛の量を減らすようにしてあげてください。


  • 小学生の息子(7歳)が夏休みに岡山へ里帰りしたときに、川で「ビーバー」を見つけたと大喜びしておりました。地元の人に尋ねると「ヌートリア」というネズミの仲間で岡山にはたくさんいる事を教えていただきました。息子が「また見たい」と申しておりますが、大阪でも見られるのでしょうか?


    「ヌートリア」についてはよく見かけるので物珍しくもない方もいらっしゃれば、初耳でその存在すら御存知ない方もおられるかもしれませんので簡単に説明しておきます。
    げっ歯目ヌートリア科の草食獣(魚や昆虫を食べる事もあるらしい)で、ブラジルからアルゼンチンにかけての河川に生息しています。(ヨーロッバにも帰化している)体長は40~70cm、体重は6~10kgで、風貌は息子さんが勘違いされた様にビーバーに結構似ていると思います。(尻尾の形が全く異なります)日本へは1930年代に軍服用の毛皮を目的として輸入、飼育されるようになりました。第二次大戦後軍服の需要が無くなり、放逐されてから日本の環境に順応しながら増加しその生息域も広がりました。寿命は7~10年で、雌は年に2~3回(1回に平均5匹)出産しますからその繁殖力はかなりのものです。巣穴は水辺の土手に細長い穴を掘り集団で暮らします。最近は川岸がコンクリートで護岸されるようになり、水田の畦等に穴を掘る為、害獣として扱われ、毎年1000~2000頭が殺処分されています。
    さて、前置きが長くなりましたが、大阪で生活している息子さんにすればおそらく初めて自然の中で接したヌートリアに興味を持たれたのでしょうから、その気持ちを大切にしてあげて頂きたく思います。大阪及びその周囲の府県ではヌートリアの存在が確認されていますから、最寄の自然保護センター等に問い合わせてご近所の生息地を確認されればいかがでしょうか。尚、近くから姿を見るだけなら水族館等に飼育されている場合も多いようです。出来ましたら、その姿を見て満足するだけではなくて、日本へやってきた理由やその後の経過、その生活が人間の生活とたまたま摩擦が生じたために害獣として駆除されている現状などについて、少しずつでも話してあげて人間と動物を含めた自然との接し方等について親子で色々と考えるきっかけにして頂ければすばらしい事だと思います。


  • 家の老犬(柴犬、避妊済みの雌、16歳)は以前から白内障や歩行障害を起こしていましたが、最近は夜鳴きや徘徊が始まりました。かかりつけの病院では「ボケは老化現象だから治療法がありません。安楽死を希望されるなら対応します。」と言われました。近所迷惑ですし、とても可哀想ですが安楽死等考えたくもありません。何か対処法はありませんか?


    「安楽死」については、万策が尽きた後の選択肢ではあるかも知れませんが、現時点で飼い主さんが考えたくないのは当然だと思います。
    さて、ご相談の件ですが、まず飼い主さんがその犬との対話の時間を出来るだけ取って下さい。出来る範囲で結構ですから、犬に話しかけ犬の対応に反応してあげましょう。犬がボケるのは自分だけの世界に閉じこもってしまう為に時間や場所の感覚が現実とずれてしまい起こります。ですから、可能な限り飼い主さんと心の交流が出来る時間を多く持てば、現実の世界に戻ってきてくれると思います。更に散歩に出かけられると外部の世界の刺激がよい作用をもたらすでしょう。歩行障害があるのなら自転車の籠や乳母車等に乗せるのはどうでしょうか?どうしても嫌がるなら仕方がありませんが、結構機嫌よく運動の為ではなくて気分転換の為の散歩に出かける犬はいますよ。
    それから、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を主成分とするサプリメントを試してみられるといいと思います。当院でも十数匹に投与して約半数の犬でボケの症状の改善が認められました。
    犬との対話、気分転換の散歩、サプリメントを紹介しましたが、何れも直ぐに目に見える効果が期待できるわけではありません。出来る範囲で結構ですから数週間から数ヶ月続けられればきっと何らかの効果が現われると思います。
    勿論年齢を考慮すればあと数ヶ月寿命が続く保障もありませんが、もしボケに対する対策の途中で効果のあがる前に寿命が尽きたとしてもその犬にとっては何もしてもらえずに放置されるもしくは安楽死されるよりは、最後まで充実した幸福な人生だったと考えてあげていいのではないでしょうか。


  • 先日家の猫(3歳メス)が、深夜に嘔吐を繰り返したので、救急病院へつれていきました。血液検査の為、前足の毛をバリカンで刈って採血されましたがとても嫌がってかなり暴れました。かかりつけの病院では、後足から採血されるとあまり恐がらないのでその様にお願いしましたが聞き入れてもらえませんでした。診断の為に必要な検査をして頂くのはかまいませんが暴れたのでよけいに苦しそうになった様に思います。前足から採血する何か理由があったのでしょうか?


    猫の採血部位は一般的に前足のとう側皮静脈、後足の大腿静脈、首の頸静脈の3箇所だと思います。獣医師によって得手不得手はあると思いますが、私の場合はとう側皮静脈からの採血が一番経験も多いしやりやすく感じます。大腿静脈は後足の内側にありますから保定もしにくいし採血後の止血にも時間がかかりますから、神経質な猫の場合に採血されていることが猫に見えないようにして使う場合がありますがその頻度は高くありません。頸静脈は太い血管ですから多量に血液が必要なときだけ使います。
    さて、救急病院では初めての診察室と先生ですし、ましてや緊急時ですから飼い主さんも動物もかなり緊張し興奮している状態だと思います。その様な状況では、かかりつけの病院で落ち着いて出来る事が同じ様に出来るとは限らないと思います。救急病院の先生はその様な状況を数多く経験されているわけですから、恐らく前足からの採血が結果的には一番確実で安全な方法と判断されたのだと思います。その判断が絶対的に正しかったのかどうかは私には解りませんが、先生からそのあたりの事情をもう少し説明があってもよかったのかもしれませんね。ただ、飼い主さんもその病院を選んで診察を受けられた以上、その病院と先生を信頼される事を同じ獣医師としては期待いたします。


  • 鳥インフルエンザとはどんな病気なのですか?


    ウイルスにより鳥類が感染するインフルエンザ(風邪の一種で流行性感冒とも言う)の総称ですが、現在話題になっているのは そのうちの特に急性で罹患率と致死率が高い「高病原性鳥インフルエンザ」の事です。主に接触により感染して一週間ほどの潜伏期間を経て食欲や元気が無くなりクシャミや咳、下痢や顔面浮腫、チアノーゼ、首曲がり等多様な症状を呈し突然死に至ります。
    今回初めてその存在を知られた方が多いと思いますが、日本でも1925年に一度発生していますし、2003年だけでも香港、米国、オランダ、ドイツ、韓国等で発生が確認されている病気です。