よくあるご質問

飼い主さんからよく受ける質問にお答えします。
※10年前に掲載した内容もあり、情報が古い場合もございます。お気付きの点がありましたらご指摘、ご指導ください。

飼い主さんの勘違い


  • うちの猫が今朝から何度も嘔吐していますので、脱水状態にならないように 吐く度に温めた牛乳や白湯を飲ませているのですが、嘔吐は治まらず 飲むことを嫌がるようになりました。無理してでも 水分は補った方が良いと思うのですが、どうしてあげればよいでしょう?


    嘔吐や下痢を繰り返した場合、水分が対外へ流出したわけですから脱水状態になることを心配されるのは間違っていません。
    但し、何度も嘔吐している場合、胃が固形物であれ液体であれ、うけつけがたい状態のわけですから、慌てて何かを飲ませるとそれが誘い水になって更に嘔吐を引き起こしよけいに脱水する場合が少なくありません。
    ですから、一度でも嘔吐したら 少なくとも5~6時間は一切食物も飲み物も与えないで様子を見られた方が良いと思います。どうしても水を飲みたがる場合は氷でも舐めさせて口中を潤す程度で辛抱してもらいましょう。
    何も与えなくても嘔吐が止まらなければ直ちに動物病院で診察を受けて適切な治療を受けましょう。数時間嘔吐しなければ、ほんの少しずつ十分に間隔をあけながら、水分や固形物を与えてみてください。それでも、嘔吐を繰り返すような場合は、やはり直ぐに病院で診察と適切な治療を受けられる事をおすすめします。
    尚、嘔吐が続いている状態で、飼い主さんだけが内服薬を求めて来院される場合がありますが、投与しても更に吐く事が予想されますから効果はあまり期待できません。出来れば点滴と共に注射で薬剤を投与する治療から始めた方が効果は速やかに現われると思いますから、ペットを連れて病院へいきましょう。


  • 1才の柴犬を飼っていますが、動物病院からワクチンの時期を知らせるハガキが届きました。予防注射は子犬の時期を過ぎても必要なのですか?


    飼い主の皆さんは、犬を飼い始めた時それなりに勉強されて例えば躾についてとかワクチンやフィラリアの予防について等のいろいろな知識を身につけておられますが、一年もたつと当然なのですが、忘れてしまったり、うっかりされるている事も少なくないのではないでしょうか。
    ですから当院でも混合ワクチンの接種時期にはハガキでお知らせしています。最初にワクチンを接種するときに、どうして一月間隔で二回接種するのか(二重免疫効果と言って一生続く高い免疫効果を得る為)とか、何故一年間隔で追加免疫が必要なのか(予防効果は接種後数週間でピークに達して約一年でかなり低下してしまう為)について、私なりに一生懸命説明させて頂いているつもりですが、どの程度飼い主さんが理解して一年後まで覚えて頂けているのかあまり自信はありません。
    前置きが長くなってしまいましたが、前回接種されたワクチンによる免疫効果は全て失われたわけではありませんが、かなり低下しているはずですからこの時期にもう一度接種されますと、またこれから一年間安心して過ごせると思います。
    そして、久しぶりに病院で簡単な健康診断のつもりで体重や体温、眼や耳、歯、皮膚や爪等の状態をチェックしてもらえば、気付かずにいた病気が見つかるかもしれませんし、生活習慣などについてのよきアドバイスが得られるかもしれません。
    言葉で身体の異状を表現できない動物のために病院へ行く良い機会だと思って頂ければ嬉しく思います。


  • 飼っている猫の体調が悪そうだったので、体温計で脇の下の熱をはかったら、37度ありました。病院で診てもらったほうがよいでしょうか?


    人間でも体調がおかしいかなと思った時、体温は解りやすい判断材料になると思います。犬や猫でも家で体温をはかってあげることは、言葉で症状を表現できませんから、人間以上に有効であるかもしれません。但し、適切な体温のはかり方と平熱を知っていおいてください。犬や猫は、肛門に体温計を1~2cm挿入して検温します。平熱は人間が脇の下ではかって36度台であるのに対して、犬や猫は38度台です。犬や猫の体に触れると暖かく感じますよね。だから、人間よりも平熱が2度高いと覚えておいてください。勿論、体温が平熱であったとしても体調が悪い場合はいくらでもありますから、動物の様子が何か普段と違うと飼い主さんが感じられたら、念の為動物病院で診察を受けておかれた方が安心だと思います。尚、体温は平熱であるにこしたことはありませんが、平熱より高くなるのは 身体が病気や怪我と戦って直そうとしている場合が多いので、病院で検温して高くても私はそれ程心配しません。もし、平熱より低くなっていれば身体が平熱を維持できなくなっているわけですからとても心配な状態です。極端な表現をすれば、人間も動物も死ぬ時には冷たくなるわけですから、すぐに治療が必要な状態だと思います。


  • ミニチュアプードル(3歳 雌 避妊済み)を飼っていますが、耳がすごく汚れ易い体質なので 週に一度は耳掃除用の洗浄液と綿棒で掃除をしています。プードルは耳が汚れ易い犬種だと聞いていますが、毎回とても嫌がって可哀そうです。掃除の仕方等に問題があるのでしょうか?

    このQ&Aのページでも何度か説明しましたが、健康な犬の耳の穴はきれいですから、掃除の必要はありません。もし、耳の穴が汚れていたら 細菌やカビ、ダニ等による外耳炎が起こっているものと考えられますから、下手に綿棒などを使うとかえって病状を悪化させる場合もあります。ですから、直ぐに病院で診察を受けて原因に応じた適切な治療を始めましょう。尚、プードル等の耳のたれている犬種は、柴犬やポメラニアン等の耳が立っている犬種より、耳の中の風通しが悪い分外耳炎等の耳の病気にかかり易いのは間違いありませんから、一旦治療して治ったとしても 時々再発していないかチェックしてあげましょう。特に梅雨時から夏場は要注意です。

獣医師について


  • 私は将来、倒産等の不安のない公務員になろうと思っていますが、「獣医師の免許を持っていると、公務員試験に受かり易い。」という話を聞きました。本当でしょうか?(17歳高校生)


    獣医学科の卒業生の就職先については、一般の方は大部分が開業獣医師になると思われているかもしれませんが、実際はそうでもありません。私は岐阜大学の獣医学科を平成3年に卒業しましたが、約30名の同級生で開業を目指して動物病院へ就職した者が約10名、民間企業(製薬会社、食品会社等)へ就職した者が約10名、公務員(保健所、試験場、と蓄場等)となった者が約10名、大学院へ進学した者が若干名でした。勿論、現在では学生の男女の比率も大きく変化して(平成3年頃は女子が2~3割だったのが、現在では5~6割に増加している)就職先も民間企業や公務員の割合が高まる傾向にあるようです。
    不景気な世の中で、多額の借金を抱えて開業するより、リストラされるかもしれない民間企業に勤めるより、ご質問頂いた方と同じ様に安定志向で公務員を目指す人が増えるのは自然なのかもしれません。
    さて、やっとご質問へのお答えになりますが、獣医師免許を取得していれば、獣医師職の公務員試験は殆ど無競争に近い形で合格できる場合が多いようです。但しその後の配属先については、かなり幅広いですから本人の意向も多少は考慮されるでしょうが意にそぐわない場合もある事は覚悟してください。具体的な内容は自分で調べてください。
    それから、獣医学科の授業は実習も多くてすごくハードですから「絶対獣医師になるんだ」という強い信念を持ってのぞまないと、途中で脱落する者も結構います。
    獣医師免許の国家試験は合格率が80~90パーセントと割と高いので簡単なのかと思われるかもしれませんがそれは卒業するまでに合格するに足る知識を叩き込まれるからだと思います。「公務員試験に受かり易いから」等という安易な気持ちでは挫折する可能性が高いですから良く考えて進路を決めてください。


  • 私は人間と接する事は苦手ですが、動物と仲良くなる事は得意なので、動物病院の先生になりたいと思っている中学二年生です。
    テレビで「最近は動物病院を開業する事が難しくなってきた」と聞きました。学校の勉強を頑張る事の他に、どのような準備をしたらよいでしょう?


    動物病院の仕事は,どのような業種に分類されるかご存知ですか?私は国勢調査に来られた調査員の方に教えて頂いたのですがサービス業に分類されます。ちょっと意外ではありませんか。
    さて、動物病院の先生は、動物を相手にする仕事だと思われがちですが、実際には飼い主さんという人間相手の仕事である事をまず知ってください。勿論、診察して治療する対象は動物ですが、最初にどの病院へ行くかを判断をするのは飼い主さんですし、診察してその動物の健康状態や、治療法や予後の見通し等を説明して理解して頂くのも飼い主さんです。ですから、動物病院の先生は人間と接するのが苦手では、大変です。
    まだ、貴方は中学生ですから、「人間と接するのが苦手」と決め付けてしまわずに、少しずつでいいから人と接する機会を作るように努力してください。私自身もあまり人付き合いの得意な人間ではありませんが、それなりに努力して現在に至っています。(獣医師を目指す人間というのは、結構人付き合いが不得手である人間が多いように思います)
    具体的には、相手が家族であれ、同級生であれ、クラブ活動の先輩、後輩であれ、その日の朝初めて顔を合わせたら必ず「お早うございます」と声をかけてみるのはどうでしょうか。恐らく今まで朝の挨拶などしていなかったのではありませんか?
    朝の挨拶をされて不愉快な人は殆どいませんから、最初は驚かれるかもしれませんが頑張って一週間も続ければかなりの人から挨拶が返って来るようになって、それを切っ掛けにして何かしら喋れる様になったりするかもしれません。最初はすごく勇気がいるかもしれませんが何もいきなり親友や恋人を作ろうとするわけではありませんから気楽に考えましょう。動物と仲良くなれるのだったら、素直で正直な性格なのだと思いますから、切っ掛けさえあれば、いろんな人間関係がきっと広がると思います。
    将来、開業獣医師になるにしろ、他の職業に就くにしろそのような人間関係はとても重要だと思います。
    さて、「動物病院の開業が難しくなっている」という表現の具体的な意味は解りませんが、確かに近年は次の二つの点で開業するのが大変になっているようには思います。
    まず一つ目は、その地域により差がありますが、例えば大阪府等では既に動物病院の密度がかなり高く、更に毎年、千人以上の獣医師が誕生し、その何割かは開業しますから、今後も動物病院の数はどんどん増えていくわけで、その中に割って入っていくのはかなり不安な気持ちになるかもしれません。でも、自分の病院に対する理想やポリシー(こんな病院にしたい、このような方針で動物を治療したい、こんな形で社会に貢献したい等)を持てれば、勇気が沸いて来ると思います。
    二つ目に、最近の動物病院は開業時にかなりの設備や検査機器等揃える為に,かなりの資金が必要になる場合が多い事です。土地や建物を所有している場合、土地建物を賃貸で始める場合等条件により異なりますが、少なくとも数千万円はかかると思います。当然、開業する人の殆どが借金をして始めるわけで、私の場合は実家の土地を担保に国民金融公庫から借り入れしました。何かの担保がないと資金の借り入れが出来ずに、開業できない場合もあるようです。この点については、中学生の貴方が今から悩んでも解決できるような問題ではありませんし、これから少しずつ自分の将来や夢についてご両親に相談して解決の道を御家族で探してください。尚、開業獣医師になる為には、大学の獣医学科に六年間通い卒業して、毎年3月に実施される国家試験に合格して獣医師免許を取得しなければなりません。獣医学科のある大学は限られていますから(国公立大11校、私立大5校)、自宅から通学できない場合の生活費に加えて入学金、授業料等の経済的負担も考慮してください。(特に私立大の場合入学金と授業料はかなりかかります)


  • 私の息子(10歳)は、生き物が大好きで「動物病院の先生になりたい。」と申しておりますが、算数がすごく苦手なので心配しております。やはり、塾や家庭教師によって克服させる事が必要でしょうか?


    息子さんが現在の所は、「将来は獣医師になりたい。」と言う希望を持っておられることは獣医師として嬉しく思いますが、子供の頃の将来への夢は簡単にコロコロと変わったりしますから(私もそうでしたし、ご両親も似た様な経験をお持ちではありませんか)、あまり深刻に受け取らない方が賢明かもしれません。
    但し10歳位で「算数が苦手」というのは、本質的に本人に向いているか否かと言った次元ではなくて、例えばたまたま図形問題が嫌いだったとか、掛け算の九九が詰まらずにうまく言えなかったとか、たまたまテストで低い点数をとってしまった等の些細な事から嫌悪感と持ってしまい、苦手意識に結び付いているのではないでしょうか。
    だとしたらその切っ掛けとなった部分を上手に取り除いてあげれば、ひょっとしたら好きな科目、得意分野へ変わるかもしれませんから、是非ご両親が細かく話を聞いてあげていい方向に導いてあげてください。塾の先生や家庭教師等の他人に頼るより、ご家族で努力される方が良い結果が出るように思います。
    獣医師になるには、やはりある程度 理数系科目が得意な方が受験の時に有利ですし、獣医師以外の夢に向かわれるにしても、苦手な科目、不得手の分野を放置せず、解決に向けて努力した経験は、きっと人生においてプラスに作用すると思います。
    私のような若輩者が偉そうな事を申し上げてしまいましたが、,ほんの少しでも参考にして頂ければ幸いです。

動物の言い伝え


  • 妊婦さんは猫と接触してはいけないと言うのは本当ですか?


    人間や猫を含めた多くのほ乳類、鳥類に経口感染して、主に筋肉に寄生するトキソプラズマという原虫を心配して言われているようです。確かに、女性が妊娠中に初めて感染すると、胎児に移行して流産や水頭症、視覚障害等を起こす可能性がありますから注意が必要ですが、以下の事実をまず知ってください。

    1)感染能力があるのは、その猫がトキソプラズマに初感染してからのほんの2~3週間であり、殆どが子猫の時期である。
    2)トイレ掃除の後十分に手を洗う事、濃厚な接触(口移しで食べ物を与えたり、一緒に寝る等)を避ける事等に気をつければ、猫からの感染の可能性は低い。
    3)日本人の成人の2~3割が感染しているが、最大の原因は鶏肉や豚肉を十分に加熱せずに食べる事である。(肉を生食する機会の多いフランス人は7~8割が感染している)
    4)妊娠してからの検査でトキソプラズマ陽性の結果がでたら、いつ感染したのかを調べましょう。(感染しても殆ど自覚症状はありません) 妊娠前なら心配ないし、妊娠中でも必ず胎児に移行するとは限りませんし、治療法があります。

    以上の事から、飼い主さんが知識と節度をもって猫と接するのであれば、現実的にトキソプラズマの危険性はかなり低く、逆に精神的な癒し効果も期待できるのではないでしょうか。


  • 「犬の鼻の頭が乾いていたら病気」と言うのは本当ですか?


    例えば、人間が脱水状態になったら、口の中は乾いた状態になります。でも、すごく緊張しただけでも同様に口の中がからからに乾く事はあります。ですから、普段湿っている犬の鼻の頭が乾いていたとしても、病気であるとは限りません。逆に、潤っていたとしても病気である場合もありますから、鼻の頭の状態だけで犬の健康状態は、判断できないでしょう。


  • 「動物は傷口をなめて治す」と言うのは本当ですか?


    病院で外傷の治療をする場合、必要に応じて毛を刈り、泥などの異物や血液、膿等を除去し、消毒液で洗浄し、状態に応じて縫合、保定等の処置をします。もし傷口に顔がとどく場合、エリカラー等でなめられないようにして、出来るだけ清潔で乾燥した状態に保ちます。傷口は痛みや痒みを伴うのでなめたがりますが、なめる事により潤いと口中の雑菌を与えて、化膿しやすくなり回復を遅らせる場合が多いからです。だから、傷口をなめても治る事はあるでしょうが、逆に悪化させる事も多くて、「なめて治す」と言う表現が適切だとは思いません。

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